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あんなことを言ってしまって、気まずくなってしまうかもなんて心配はよそに、ルイ様はいつも通りだった。
いつもと同じようになんてことない話をしながら、朝食をとる。
話が途切れたところで、ルイ様が私を見つめたかと思うと、少し遠慮がちに口を開いた。
「君は聞かなかったことにしてくれと言ったけど、昨日のこと、少し考えてしまったんだ」
「……そうでしたか」
やっぱりそうだよね。なかったことにはならないよね。
「やはり私には、“好き”というものがなんなのかわからないんだ。
もし良ければ、どうすれば“好き”となるのか教えて貰えないかな」
「……私の場合は、これから先もルイ様と一緒にいたいと思ったんです。ルイ様より長く生きて、もうルイ様が悲しい思いをしなければいいと」
「それが、“好き”?」
「分かりません。
ドキドキだとか、キュン?だとかいう話も聞いたことがあります。
でも私はただ、この先ルイ様以外を選ぶことはないだろうなと思ったので、これが“好き”かなって」
「なんでそう思うの?」
私との時間を大切にしてくれて、私を大切にしてくれて、私もこの人が大切だと思える。
こんな人が人生に再び現れるとは思えない。
「それはもちろん、ルイ様以上に美しい人は存在しないと思うので」
「それはとても君らしい回答だね」
そう言って微笑むルイ様。
本当に綺麗な顔。この笑顔は世界を救えると思う。
「それと……」
「ん?」
「昨日、ルイ様がオスカー様のお話をした時に、ルイ様は私と他の方が一緒にいる未来も見えているのかと思うと、少し嫌でした」
「……それなら私も、君が私を置いて他の人と結ばれるのを想像するのは、あまり良い気分ではなかったように思う」
「そうなんですか?」
「うん。
君とこの先も一緒に居たいと思うこの気持ちが“好き”なら、私は君のことが好きだと思う。
……ん?というか、そもそも“好き”は必要なのかな?
君は私とこの先もずっと一緒に居たいと思ってくれてる。そうでしょう?」
「はい」
「私も君と居たいと思っている。
それではダメかな?」
そう言われてみると特に何の問題もないし、いろいろ難しく考える必要なんてなかったかもしれないと思う。
「ダメじゃないです」
「良かった。
じゃあ契約でもしようか」
「……えっ、それはちょっと怖いです」
この前聞いた契約内容が怖すぎて、契約を破ることはないと思っていても怖い。
少し考えたような様子を見せたあと、ルイ様が真剣な表情をみせる。
「それなら君から名前が欲しいな」
「えっ!?それはさすがに……。
私たち以上に名前が大切な方々じゃないですか」
思ってもみない提案に驚いてしまった。
だって、最初に名前を与えることがどれだけ重大なことか聞いているから。
「だからこそ、このままよりも君からの物が欲しいんだ」
「でもルイ様はルイ様だし……」
「ルイと呼んでもいいよ。前の名前との縁が切れるわけじゃないと思うし。
……いや、君の魔力が母のものを上回っていればその限りではないか……」
「魔力?関係あるんですか?」
「うん。名前は強力な契約の一種だからね。
魔物が主人から離れないようにするためのね」
結局契約……。
「でもそれじゃあ、もし魔力がルイ様のお母様を上回ってしまった場合、ルイ様はずっと私と居ないといけなくなるし、ご両親からの大切な贈り物との縁も切れるってことですか」
「そうだね。でも私はそれを望んでるよ。
両親よりも君と共に在りたい。言い方は人間的ではないかもしれないが、君の所有物になりたいんだ」
「……確かにその言い方は人間的ではないですね」
けどルイ様の伝えたいことは分かる。
言葉だけでなく本当の意味で生涯を共にするということだろう。
まさかの展開すぎて、頭が追いつかない。
「人間はなんて言うんだっけ。動物でいうところの番いのような」
「ふうふ、ですかね」
「ふうふか。覚えた」
「けど最近は途中で離れる人も多いらしく、生涯を共にという考えの人は減ってるのかもしれないですね」
「それじゃあダメだ。私たちはふうふにはならない。君と離れたくはないからね。
まあ名称なんてなんでもいい。私と共に居て欲しい」
「それはこちらこそなんですけど……」
「名前のことは今すぐじゃなくていい。少し考えてみてほしい。
君に負担をかけてしまったようで申し訳ないけれど」
「わかりました」
いつもと同じようになんてことない話をしながら、朝食をとる。
話が途切れたところで、ルイ様が私を見つめたかと思うと、少し遠慮がちに口を開いた。
「君は聞かなかったことにしてくれと言ったけど、昨日のこと、少し考えてしまったんだ」
「……そうでしたか」
やっぱりそうだよね。なかったことにはならないよね。
「やはり私には、“好き”というものがなんなのかわからないんだ。
もし良ければ、どうすれば“好き”となるのか教えて貰えないかな」
「……私の場合は、これから先もルイ様と一緒にいたいと思ったんです。ルイ様より長く生きて、もうルイ様が悲しい思いをしなければいいと」
「それが、“好き”?」
「分かりません。
ドキドキだとか、キュン?だとかいう話も聞いたことがあります。
でも私はただ、この先ルイ様以外を選ぶことはないだろうなと思ったので、これが“好き”かなって」
「なんでそう思うの?」
私との時間を大切にしてくれて、私を大切にしてくれて、私もこの人が大切だと思える。
こんな人が人生に再び現れるとは思えない。
「それはもちろん、ルイ様以上に美しい人は存在しないと思うので」
「それはとても君らしい回答だね」
そう言って微笑むルイ様。
本当に綺麗な顔。この笑顔は世界を救えると思う。
「それと……」
「ん?」
「昨日、ルイ様がオスカー様のお話をした時に、ルイ様は私と他の方が一緒にいる未来も見えているのかと思うと、少し嫌でした」
「……それなら私も、君が私を置いて他の人と結ばれるのを想像するのは、あまり良い気分ではなかったように思う」
「そうなんですか?」
「うん。
君とこの先も一緒に居たいと思うこの気持ちが“好き”なら、私は君のことが好きだと思う。
……ん?というか、そもそも“好き”は必要なのかな?
君は私とこの先もずっと一緒に居たいと思ってくれてる。そうでしょう?」
「はい」
「私も君と居たいと思っている。
それではダメかな?」
そう言われてみると特に何の問題もないし、いろいろ難しく考える必要なんてなかったかもしれないと思う。
「ダメじゃないです」
「良かった。
じゃあ契約でもしようか」
「……えっ、それはちょっと怖いです」
この前聞いた契約内容が怖すぎて、契約を破ることはないと思っていても怖い。
少し考えたような様子を見せたあと、ルイ様が真剣な表情をみせる。
「それなら君から名前が欲しいな」
「えっ!?それはさすがに……。
私たち以上に名前が大切な方々じゃないですか」
思ってもみない提案に驚いてしまった。
だって、最初に名前を与えることがどれだけ重大なことか聞いているから。
「だからこそ、このままよりも君からの物が欲しいんだ」
「でもルイ様はルイ様だし……」
「ルイと呼んでもいいよ。前の名前との縁が切れるわけじゃないと思うし。
……いや、君の魔力が母のものを上回っていればその限りではないか……」
「魔力?関係あるんですか?」
「うん。名前は強力な契約の一種だからね。
魔物が主人から離れないようにするためのね」
結局契約……。
「でもそれじゃあ、もし魔力がルイ様のお母様を上回ってしまった場合、ルイ様はずっと私と居ないといけなくなるし、ご両親からの大切な贈り物との縁も切れるってことですか」
「そうだね。でも私はそれを望んでるよ。
両親よりも君と共に在りたい。言い方は人間的ではないかもしれないが、君の所有物になりたいんだ」
「……確かにその言い方は人間的ではないですね」
けどルイ様の伝えたいことは分かる。
言葉だけでなく本当の意味で生涯を共にするということだろう。
まさかの展開すぎて、頭が追いつかない。
「人間はなんて言うんだっけ。動物でいうところの番いのような」
「ふうふ、ですかね」
「ふうふか。覚えた」
「けど最近は途中で離れる人も多いらしく、生涯を共にという考えの人は減ってるのかもしれないですね」
「それじゃあダメだ。私たちはふうふにはならない。君と離れたくはないからね。
まあ名称なんてなんでもいい。私と共に居て欲しい」
「それはこちらこそなんですけど……」
「名前のことは今すぐじゃなくていい。少し考えてみてほしい。
君に負担をかけてしまったようで申し訳ないけれど」
「わかりました」
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