とても快適な生贄?ライフ

九 一

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コンコン

ルイ様が待っているはずの部屋の扉をノックする。


「どうぞ」


「失礼します」


「あぁ、お茶会は終わったの?」


「はい」


「楽しかった?」


「えぇ、とても!」


お話するのはもちろん、いくつもの甘味とお茶も美味しかった。


「それは良かった。
じゃあ帰ろうか」


「あの、ルイ様」


さっきのを聞いてみないと。


「ん?」


「……私が他の男性と仲良くしていたら、どう思いますか?」


「えっ……、んー、まずはクソ王子予備軍でないか確認するかな」


クソなんてルイ様からそんな言葉が出るとは。
しかも心做しか怒りが籠ってるような……。
無事だったからかな。


「それは重要ですね」


「それと、顔の造形も確認するね」


「もし美形だったら?」


「でも私以上に美しい人はいないんでしょう?」


「そうですね。それは間違いないです」


「それならどっちにしろ、私と仲良くする方がいいんじゃないかな」


「確かに」


「でも君が仲良くしたいと思った人が危険でない限りは、私は口は出さないから安心して」


「ありがとうございます」


……答えがよく分からない。
私と同じ答えではない気がするけど。

やっぱり“好き”ではない?

でも、一緒に居たいと言ってくれるなら、それは必ずしも必要ではないと思うし。

でも……。


「サラ?」


「はいっ」


「何か考えごと?」


「いえ、大したことじゃないので」


「最近考え事が多いね。大丈夫?」


「はい」


「今日は何を悩んでたの?」


さすがに正直には言えないよね。
ルイ様が“好き”かどうか知りたかったなんて。


「言いづらいなら言わなくても大丈夫だよ。
でも私に手伝えそうなことがあればいつでも言ってね。
それに話してみたら意外と難しくなかった、ってこともあるかもしれないし」


「これはとても難しいと思います」


「そうなの?」


「はい。この間、ルイ様も分からないって言っていたことなので」


「そっか。それじゃあ私は力になれないかもしれないな」


なんとなくだけど、少し落ち込んじゃった?のかな?


「あっ」


「うん?」


「ルイ様の顔みてたら段々とどうでも良くなってくる気がします」


「……そんなことある?」


「あります!ルイ様はとんでもなくお綺麗な顔をしてるので」


「なんとも万能な顔だな」


「ですね。やっぱりルイ様が王になった方がいいですね。
そうすれば国民は、争いごとも悩みも何もかもなくなりますね」


「前も言ったけど、私は王には向いてないんだよ。
こんなことを言ったら薄情なやつだと思われるかもしれないけど、私は君が心穏やかに過ごせるならそれでいいからね。

たとえば君が危険にさらされたとしたら、私はあっさりと国を捨て君を助けに行く。
こんなやつに王が務まるわけがない」


思っていた回答は得られなかったけど、思った以上のものが得られたかもしれない。


「悩みなくなりました」


「えっ、ほんとに?今の会話で?」


「はい。もうすっきりさっぱりなくなりました」


「それは良かったけど、どこで何が解決したのか……」


「内緒です」
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