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エピローグ
新学期のお話
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新学年。それはとても胸が踊り、同時に新たな世界にほんの少しの不安がくる。
それでもマリーナは楽しみにしていた。去年と同じ、もしくはそれ以上に楽しい時間がくるだろうと。
ラナへの偏見は一年ですっかり変わりはてた。そのほとんどは自力で獲得したものだ。攻撃系統ということで不審な目で見られていたといっても、嫌がられていたわけではない。一部の者は嫌がらせをしていたが、それも徐々におさまっていった。
そもそも偏見の理由は魔力系統もさることながら、平民ながらに貴族へ食らいつける学力があるという嫉妬ゆえだ。更にいうならチームメイトのマリーナとアランが、貴族の中でも比較的高い位の位置にあることでそれは加速したのだろう。最もマリーナの場合、家族面でのいざこざもあってお近づきになるには難しかったこともあるが。
結果、今では平民からすると貴族でも引けを取らない女性として、貴族からすると引き込めば今後の立場に有利になりそうな人物として見られている。だから今年は逆に騒がしくなるだろう、とアランから教えてもらった時には、独占状態だったものがなくなる状況の寂しさと、やっと彼女の悩みは消え去るという喜びで複雑だった。
だというのに、肝心のラナはクラスに見当たらない。持ち上がりであるから別のところに分かれた、ということもない。具合が悪いのかと思ったが、昨夜の夕飯時に見た彼女は特に変化はなかった。
珍しく寝坊したのだろうか。そう思いつつ待っていたが、とうとう教師がきてもラナは姿を見せない。よくよく見るとラナ以外の何人か、来ていない者もいるようだ。
流石におかしいとアランへ目配せすると、彼もまた違和感を感じているのだろう。困惑したような目をマリーナへ送った。
「新学年の挨拶へ行く前に知らせがある。空席の者らについてだが、学園を辞める者達だ。よってチームの再編成を行うから、全員、そのつもりでいるように」
ざわり、と空気が蠢いた。
ルーミア学園は国人を育てることを第一としているが、それが全てではない。むしろ副産物だともいえるだろう。
本来開設された理由は、常人よりある魔力を暴走しないよう、上手く制御するためだ。よって知識・技能ともに問題ないとされた者によっては一年で辞める者もいる。大体は将来性があり給与も良い国人へなることが多いゆえ、忘れられがちであるが。
しかし、あれだけ国人になれるよう頑張っていたラナがこの中にいない。ということは、辞めたというわけで。クラスが騒ついたのはそのことに気づいたからだ。
(ラナ。貴方は、私に相談してくれなかったのですね……。何も、かも。一人で背負いこんでしまったのですね……)
友人だと思っていた。そう伝えてきてくれていた。仲のいいチームメイトであると実感していたというのに、この仕打ちはないとマリーナは哀しくなった。
だからだろう、教師が続けて発した言葉は頭に入ってこなかった。
それでもマリーナは楽しみにしていた。去年と同じ、もしくはそれ以上に楽しい時間がくるだろうと。
ラナへの偏見は一年ですっかり変わりはてた。そのほとんどは自力で獲得したものだ。攻撃系統ということで不審な目で見られていたといっても、嫌がられていたわけではない。一部の者は嫌がらせをしていたが、それも徐々におさまっていった。
そもそも偏見の理由は魔力系統もさることながら、平民ながらに貴族へ食らいつける学力があるという嫉妬ゆえだ。更にいうならチームメイトのマリーナとアランが、貴族の中でも比較的高い位の位置にあることでそれは加速したのだろう。最もマリーナの場合、家族面でのいざこざもあってお近づきになるには難しかったこともあるが。
結果、今では平民からすると貴族でも引けを取らない女性として、貴族からすると引き込めば今後の立場に有利になりそうな人物として見られている。だから今年は逆に騒がしくなるだろう、とアランから教えてもらった時には、独占状態だったものがなくなる状況の寂しさと、やっと彼女の悩みは消え去るという喜びで複雑だった。
だというのに、肝心のラナはクラスに見当たらない。持ち上がりであるから別のところに分かれた、ということもない。具合が悪いのかと思ったが、昨夜の夕飯時に見た彼女は特に変化はなかった。
珍しく寝坊したのだろうか。そう思いつつ待っていたが、とうとう教師がきてもラナは姿を見せない。よくよく見るとラナ以外の何人か、来ていない者もいるようだ。
流石におかしいとアランへ目配せすると、彼もまた違和感を感じているのだろう。困惑したような目をマリーナへ送った。
「新学年の挨拶へ行く前に知らせがある。空席の者らについてだが、学園を辞める者達だ。よってチームの再編成を行うから、全員、そのつもりでいるように」
ざわり、と空気が蠢いた。
ルーミア学園は国人を育てることを第一としているが、それが全てではない。むしろ副産物だともいえるだろう。
本来開設された理由は、常人よりある魔力を暴走しないよう、上手く制御するためだ。よって知識・技能ともに問題ないとされた者によっては一年で辞める者もいる。大体は将来性があり給与も良い国人へなることが多いゆえ、忘れられがちであるが。
しかし、あれだけ国人になれるよう頑張っていたラナがこの中にいない。ということは、辞めたというわけで。クラスが騒ついたのはそのことに気づいたからだ。
(ラナ。貴方は、私に相談してくれなかったのですね……。何も、かも。一人で背負いこんでしまったのですね……)
友人だと思っていた。そう伝えてきてくれていた。仲のいいチームメイトであると実感していたというのに、この仕打ちはないとマリーナは哀しくなった。
だからだろう、教師が続けて発した言葉は頭に入ってこなかった。
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