腐りかけが一番美味い(強い)んです

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泥沼の迷宮

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「クッソ、こんな会社今すぐ辞めてやる!!」

ダンジョンの一角、冒険者達が落としていった(殺して奪った)安酒でベロベロによったゾラの愚痴を淡々と聞くアンデッド達。

「あ゛ぁあ……(しょうがないっすよ、俺達飢えて死んだりしないですし今までお給料貰ったことないです」。

「だからってよぉ……お前達悔しくねぇのかよ」。

死ぬのだって唯じゃない、言う通り飢えも死にもしない、しないが仕事に見合った報酬は成されるべきだ。

物思いに耽り、考えて、辿り着いたのがこれだった。

「────おれさ、ここ抜けるわ」。

その言葉にギョッとする一同


「あ゛ぁ……あ(無理ですよ、俺達はここに入った時点でこの階層から外に出る事を禁じられてるんですから。」

十六階層まである【泥沼の迷宮】各階層の者たちは自分の階層以外へ行く事を禁じられている、それはトラブルやいざこざを回避する為とされているがおそらく俺の様な奴の身動きを取れなくするためだろう。

ここに入った時点で、フェクトの許可無く外へ出る事は固く禁じられるのだ。しかし唯、ただ一つだけここから逃げる方法に心当たりがない事もない。それはとてもリスキーで人生で一番の賭けであった。

「俺がもしここを出れたとして、お前達には大きな迷惑を掛けるかもしれない」。

「あ゛ぁ……あ(俺達はなアンタが来るまで他の階層の奴等に奴隷みたいに扱われていたんだ。)」

「あ…あ゛…あ(特にヴォルフの奴にはひどい目にあったぜ、俺達死なねぇからって燃やされるんだ言う通りにしねぇと」。

「あぁ゛……あ(そんなヴォルフの手から救ってくれたのはゾラさんアンタだ)」。

「あぁ゛……あー(もし逃げ出すってのが冗談でも何でも俺達はゾラさんに感謝してんだ)」。

「あ゛ぁーあ゛ぁー(羨むってのはあるかも知れねぇが恨むなんて奴ァ、ここには一人もいねぇよ)」。

皆がうなずく。

表情等は有りはしない彼等の爛れて腐った顔面が少しダケ微笑んだように見えた。

アンデッド達は経験してきたのだ。俺が一ヶ月で音を上げた様な事なんかよりもよっぽど酷い事を何年、何十年も。

「何だよっお前等、照れる事言うんじゃねぇよ!!辛気臭え顔してないで今日は飲むぞッ宴会だァッ!!」


そうだ、俺はこんないい奴等に二度と昔みたいな思いをさせてはいけない。心に深く刻む。

ゾラは日が沈み皆が寝静まった後一人のの元へと足を運んだ。

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