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第17話 山越え、開始
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三日後。
そろそろメリア式地獄の矯正訓練にも少しずつ慣れてきたころ。
「いやー気持ちいい青空ですねー」
メリアが伸びをしながら言った。
今僕たちはタキンチ村から6つ目の村に向かって歩いている。
6つ目の村は山越えの先にあるので、1日か2日は野宿の予定だ。
山越えと言ってもまだ山に入ったわけじゃない。
それに、山に入っても境界が明確に決まっているわけじゃないので、山に入った実感は湧きにくいのだとか。
実際、まだその辺には猫いちごが赤く可愛い実を付けてるのが見える。
植生の変化はまだしばらくないとメリアは言う。
「山越えなんて初めてなので緊張します」
山越えの準備として、先ほど発った村ではできる限り必要品をそろえてきた。
山でもニニギ草が見つかるとも限らないので少し多めに。
ボタバッグにも井戸水を汲んできた。
魔法で水を作らないのかだって?
無から水を作る魔法は、可か不可かで言えば可だ。
ただ、消費魔力量が尋常ではない。
例えるなら、エネルギーを直接「質量」に変換しているようなものだ。
あまりにも効率が悪すぎる。
日常用途で使うには、現実的じゃない。
――というのが定説だ。
だから師匠もボタバッグを用意してくれたし、僕も使ってるわけだ。
あとは、地図、コンパス、携帯食料、それと、まだ季節は春なので少し厚着をした方がいいと思い、ローブの内側に着る服も買ってきた。
「まさかもう一つバッグを持つ羽目になるとは思わなかった……」
独り言ちる僕にメリアは笑いながら、
「まーあたしは軽装ですけどねー」
と言ってきた。
彼女はバッグを持っていない。
あるのは少し大きめのポーチくらいなもので、必要な物はそこに全部ぶち込んであるのだとか。
「じゃあ、これから山に入るわけですが」
メリアが声をかけてきたので耳を傾ける。
「まず、私の後をちゃんとついてきてください。遅れそうだったり、体調が優れなくなったらすぐに声をかけてください。これを怠ると最悪死に向かうと思ってくださいね」
僕はうんうんと頷く。
「それと、あたしも周囲の警戒はしますが、何か違和感や気になることがあったらすぐに声をかけてください」
そしてメリアは神妙な顔つきで
「最後に、あたしの指示には絶対に従ってください。勝手な行動を取られると守れるものも守れなくなりますので」
と言ってきた。
僕も死にたいわけじゃないので大きく頷く。
「とまぁ、脅しをかけましたけど、たぶん大丈夫でしょう。気楽にいきましょー」
そう言っていつもの調子に戻ったメリアだったが、僕は気を引き締めた。
山越えが大変というだけじゃないんだ。だって――
「この山、ガガダの縄張りですよね?」
そうなんだ。
父さんと母さんが襲われたのもこの山だった。
「そうですねー。でもそのためにあたしが派遣されたわけで」
メリアが言った意味がわからず首をかしげると
「いやー自分で言うのもなんですが、あたしって実は結構優秀でして」
デヘヘと後頭部をかきながらメリア。
「索敵も割と得意なんですよー」
まぁ、優秀なのは予想はしてたけど。
魔法の構築速度、制御、どちらもかなりすごい領域にいるのも確認してるからね。
……酷い目にあったけど。
「戦闘面でもご期待ください!自信ありですよ」
僕の恐怖克服訓練の時もやたら命中精度高いしなー。
「じゃあ行きましょうか。さっき言ったこと、忘れずに」
頷き、後をついていく。
春だからか、いろいろな鳥の鳴き声が聞こえる。
残念ながら鳥に明るくない僕は何の鳥の鳴き声かはさっぱりだけど。
しばらく進んで一刻ほど。
メリアが後ろ手に僕を制止して話しかけてきた。
「おかしいですね。こんなところに魔獣がいます」
魔獣とは、魔力で変異した獣だ。
基本的には『魔物の領域』と呼ばれる魔力だまりに生息している。
「この辺は魔物の領域ではないですよ」
この辺りが魔物の領域であれば、きっと山賊たちも縄張りにはしないだろう。
「そうですねー。新たに魔力だまりができたか、あるいはガガダが使役しているかですね」
それがメリアの推測らしい。
「とりあえず戻ったら隊長に報告ですねー。あ……」
メリアの視線の先を辿ると魔獣がこちらを見ていた。
「見付かっちゃいましたねー。よし!じゃあ、あとは頑張って!」
言うが早いか、メリアは僕の手を掴んで引っ張った。
僕はその勢いで魔獣の前まで出てしまう。
あれ?これピンチじゃない!?
そろそろメリア式地獄の矯正訓練にも少しずつ慣れてきたころ。
「いやー気持ちいい青空ですねー」
メリアが伸びをしながら言った。
今僕たちはタキンチ村から6つ目の村に向かって歩いている。
6つ目の村は山越えの先にあるので、1日か2日は野宿の予定だ。
山越えと言ってもまだ山に入ったわけじゃない。
それに、山に入っても境界が明確に決まっているわけじゃないので、山に入った実感は湧きにくいのだとか。
実際、まだその辺には猫いちごが赤く可愛い実を付けてるのが見える。
植生の変化はまだしばらくないとメリアは言う。
「山越えなんて初めてなので緊張します」
山越えの準備として、先ほど発った村ではできる限り必要品をそろえてきた。
山でもニニギ草が見つかるとも限らないので少し多めに。
ボタバッグにも井戸水を汲んできた。
魔法で水を作らないのかだって?
無から水を作る魔法は、可か不可かで言えば可だ。
ただ、消費魔力量が尋常ではない。
例えるなら、エネルギーを直接「質量」に変換しているようなものだ。
あまりにも効率が悪すぎる。
日常用途で使うには、現実的じゃない。
――というのが定説だ。
だから師匠もボタバッグを用意してくれたし、僕も使ってるわけだ。
あとは、地図、コンパス、携帯食料、それと、まだ季節は春なので少し厚着をした方がいいと思い、ローブの内側に着る服も買ってきた。
「まさかもう一つバッグを持つ羽目になるとは思わなかった……」
独り言ちる僕にメリアは笑いながら、
「まーあたしは軽装ですけどねー」
と言ってきた。
彼女はバッグを持っていない。
あるのは少し大きめのポーチくらいなもので、必要な物はそこに全部ぶち込んであるのだとか。
「じゃあ、これから山に入るわけですが」
メリアが声をかけてきたので耳を傾ける。
「まず、私の後をちゃんとついてきてください。遅れそうだったり、体調が優れなくなったらすぐに声をかけてください。これを怠ると最悪死に向かうと思ってくださいね」
僕はうんうんと頷く。
「それと、あたしも周囲の警戒はしますが、何か違和感や気になることがあったらすぐに声をかけてください」
そしてメリアは神妙な顔つきで
「最後に、あたしの指示には絶対に従ってください。勝手な行動を取られると守れるものも守れなくなりますので」
と言ってきた。
僕も死にたいわけじゃないので大きく頷く。
「とまぁ、脅しをかけましたけど、たぶん大丈夫でしょう。気楽にいきましょー」
そう言っていつもの調子に戻ったメリアだったが、僕は気を引き締めた。
山越えが大変というだけじゃないんだ。だって――
「この山、ガガダの縄張りですよね?」
そうなんだ。
父さんと母さんが襲われたのもこの山だった。
「そうですねー。でもそのためにあたしが派遣されたわけで」
メリアが言った意味がわからず首をかしげると
「いやー自分で言うのもなんですが、あたしって実は結構優秀でして」
デヘヘと後頭部をかきながらメリア。
「索敵も割と得意なんですよー」
まぁ、優秀なのは予想はしてたけど。
魔法の構築速度、制御、どちらもかなりすごい領域にいるのも確認してるからね。
……酷い目にあったけど。
「戦闘面でもご期待ください!自信ありですよ」
僕の恐怖克服訓練の時もやたら命中精度高いしなー。
「じゃあ行きましょうか。さっき言ったこと、忘れずに」
頷き、後をついていく。
春だからか、いろいろな鳥の鳴き声が聞こえる。
残念ながら鳥に明るくない僕は何の鳥の鳴き声かはさっぱりだけど。
しばらく進んで一刻ほど。
メリアが後ろ手に僕を制止して話しかけてきた。
「おかしいですね。こんなところに魔獣がいます」
魔獣とは、魔力で変異した獣だ。
基本的には『魔物の領域』と呼ばれる魔力だまりに生息している。
「この辺は魔物の領域ではないですよ」
この辺りが魔物の領域であれば、きっと山賊たちも縄張りにはしないだろう。
「そうですねー。新たに魔力だまりができたか、あるいはガガダが使役しているかですね」
それがメリアの推測らしい。
「とりあえず戻ったら隊長に報告ですねー。あ……」
メリアの視線の先を辿ると魔獣がこちらを見ていた。
「見付かっちゃいましたねー。よし!じゃあ、あとは頑張って!」
言うが早いか、メリアは僕の手を掴んで引っ張った。
僕はその勢いで魔獣の前まで出てしまう。
あれ?これピンチじゃない!?
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