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第19話 兎追いし彼の山
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うーさーぎおーいしかーのーやーまー♪
うさぎっておいしいのかな?
え?意味が違う?
知らんがな。こっちは魔獣食わされるところなんだよ。
「妙な歌、歌ってないで手伝ってください」
なんでこの子当たり前のように魔獣食べようとしてるの?
魔獣だよ?
「血抜きと内臓を取る作業をしますよ」
メリアは近くの木に縄を括り付け、それでイノシシの足を吊るしてる。
なんでこの子こんなに手際が良いの?
普段から食べてるの?
「いやー今日はごちそうにありつけますねー」
「え?おいしいんですか?」
おいしいなら話は変わってくる。
「なんなら家畜の肉よりおいしいですよ」
ガチか。
何が魔獣をおいしくさせてる要因なんだろう?
メリアがイノシシの腹を割って内臓を取り出した。
うっ……。グロい。
いやね、うちの村では畜産もやってたから見たことがないわけじゃないよ?
でもどうにも苦手なんだよね。
メリアはすごいなぁ。
結局僕が手伝えることなんて大してなかった。
血を抜くのには半刻ほどかかるらしい。
「今日はここでこのまま野営ですねー」
どうやら血抜きよりも精肉の方が時間がかかるらしい。
「今食べる分以外はそのまま保存はできないので干し肉にしたいのですが……ちらっ」
「『ちらっ』って言葉に出ちゃってますよ」
僕はふうとため息をつき、
「さっき役に立たなかったので協力しますよ。何をすればいいですか?」
「じゃあ魔法で大量の塩を出してください」
無理です。
「メリアも魔法が使えるならそれが無理なことはわかるでしょう?」
「ですよねー。すごい魔法使いって聞いてたので期待したのですが」
メリアさん、ナチュラルに毒舌!
「僕はすごい魔法使いじゃないですよ」
「オリジナル魔法を開発したって聞いてますけど」
ああ、そういう。
「開発したって言っても不可能を可能にするものではありませんよ」
メリアはなぜか納得がいかなそうな顔をしている。
開発したと言っても新しい魔法を作ったわけでもなんでもなくて、既存の魔法で自然現象を再現しただけだったりする。
熱と風を操ることで上昇気流を作り、それによって雨雲ができ、雨を降らせるとか、そんな程度。
直接雲を作ったり、晴れにしたり、雨を降らしたりはできない。
「わかりました。じゃあ、私が肉を切り分けるので、それを熱で殺菌してください。そのあとは二人で乾燥させましょう」
メリアは未だ納得はしていなさそうな表情だけど、とりあえず話を先に進めることにしたらしい。
「了解」
メリアが切り分けたお肉を順次殺菌していく。
僕の作業を見たメリアが質問してきた。
「便利ですねーそれ。どうやってるんです?」
「んと、お肉を空気の層で包んでその中を温めて……というか熱してる形ですね」
本当は層内部の圧力を上げてやれば高温にできるんだろうけど、加減がわからないので魔法で直接熱を起こす形をとっている。
学生時代にもうちょっと勉強しておけば前者もできたのかなぁ。
「へぇー。空気の層を作ると熱くならないんですねー」
「そうですそうです。もこもこした服を着るとあったかいでしょう?あれも同じ原理ですよ」
メリアは「ふーん」とあまり興味がなさそうだ。
そっちから聞いてきたのに……。
そうこうしている間に一通り作業が終了する。
辺りの色もだいぶ変わっていて、いつの間にか夕刻になっていた。
「次は何をしたらいいのですか?」
「次は温風を当てて乾燥ですかねー。本来は時間がかかるんですけど、レイさんには熱を出してもらいます。それを風魔法であたしが肉に当てて乾燥させましょう。これなら一刻ほどで作れます」
あーそれなら僕一人でできそうかな?魔法の多重発動すればいいだけだから。
「それ、たぶん、僕一人でできますね」
「え?それじゃあお願いしていいですか?そしたらあたしは夕飯作っちゃいますので」
そういうわけで当番決定。
鍋と調味料をメリアに渡す。
さっそくメリアは夕飯づくりに取り掛かった。
僕も頑張ろう。
僕が魔力を練っているとメリアから待ったがかかる。
「あ、言い忘れていましたけど、温度は人肌か、それよりちょっと低いくらいでお願いしますね。その方が油が残りますし、なんでかおいしいんですよね」
言われた通り、低温と風でゆっくり乾燥させていく。
長時間の魔法行使だし、温度を上げすぎないように調整が必要なので割と集中力がいる。
ひたすら集中していると、お肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。
そういやお昼も食べてない気がする。
お腹空いたなー。
「レイさーん。スープと串焼きができますよー。干し肉も時間的にもちょうどいいですし、お肉を並べたらこっちに来てください」
とのことなので、乾燥させていたお肉を洗浄した木の葉の上に並べ、メリアのもとに向かう。
メリアお墨付きの魔獣の味、堪能させてもらおうじゃあないの!
うさぎっておいしいのかな?
え?意味が違う?
知らんがな。こっちは魔獣食わされるところなんだよ。
「妙な歌、歌ってないで手伝ってください」
なんでこの子当たり前のように魔獣食べようとしてるの?
魔獣だよ?
「血抜きと内臓を取る作業をしますよ」
メリアは近くの木に縄を括り付け、それでイノシシの足を吊るしてる。
なんでこの子こんなに手際が良いの?
普段から食べてるの?
「いやー今日はごちそうにありつけますねー」
「え?おいしいんですか?」
おいしいなら話は変わってくる。
「なんなら家畜の肉よりおいしいですよ」
ガチか。
何が魔獣をおいしくさせてる要因なんだろう?
メリアがイノシシの腹を割って内臓を取り出した。
うっ……。グロい。
いやね、うちの村では畜産もやってたから見たことがないわけじゃないよ?
でもどうにも苦手なんだよね。
メリアはすごいなぁ。
結局僕が手伝えることなんて大してなかった。
血を抜くのには半刻ほどかかるらしい。
「今日はここでこのまま野営ですねー」
どうやら血抜きよりも精肉の方が時間がかかるらしい。
「今食べる分以外はそのまま保存はできないので干し肉にしたいのですが……ちらっ」
「『ちらっ』って言葉に出ちゃってますよ」
僕はふうとため息をつき、
「さっき役に立たなかったので協力しますよ。何をすればいいですか?」
「じゃあ魔法で大量の塩を出してください」
無理です。
「メリアも魔法が使えるならそれが無理なことはわかるでしょう?」
「ですよねー。すごい魔法使いって聞いてたので期待したのですが」
メリアさん、ナチュラルに毒舌!
「僕はすごい魔法使いじゃないですよ」
「オリジナル魔法を開発したって聞いてますけど」
ああ、そういう。
「開発したって言っても不可能を可能にするものではありませんよ」
メリアはなぜか納得がいかなそうな顔をしている。
開発したと言っても新しい魔法を作ったわけでもなんでもなくて、既存の魔法で自然現象を再現しただけだったりする。
熱と風を操ることで上昇気流を作り、それによって雨雲ができ、雨を降らせるとか、そんな程度。
直接雲を作ったり、晴れにしたり、雨を降らしたりはできない。
「わかりました。じゃあ、私が肉を切り分けるので、それを熱で殺菌してください。そのあとは二人で乾燥させましょう」
メリアは未だ納得はしていなさそうな表情だけど、とりあえず話を先に進めることにしたらしい。
「了解」
メリアが切り分けたお肉を順次殺菌していく。
僕の作業を見たメリアが質問してきた。
「便利ですねーそれ。どうやってるんです?」
「んと、お肉を空気の層で包んでその中を温めて……というか熱してる形ですね」
本当は層内部の圧力を上げてやれば高温にできるんだろうけど、加減がわからないので魔法で直接熱を起こす形をとっている。
学生時代にもうちょっと勉強しておけば前者もできたのかなぁ。
「へぇー。空気の層を作ると熱くならないんですねー」
「そうですそうです。もこもこした服を着るとあったかいでしょう?あれも同じ原理ですよ」
メリアは「ふーん」とあまり興味がなさそうだ。
そっちから聞いてきたのに……。
そうこうしている間に一通り作業が終了する。
辺りの色もだいぶ変わっていて、いつの間にか夕刻になっていた。
「次は何をしたらいいのですか?」
「次は温風を当てて乾燥ですかねー。本来は時間がかかるんですけど、レイさんには熱を出してもらいます。それを風魔法であたしが肉に当てて乾燥させましょう。これなら一刻ほどで作れます」
あーそれなら僕一人でできそうかな?魔法の多重発動すればいいだけだから。
「それ、たぶん、僕一人でできますね」
「え?それじゃあお願いしていいですか?そしたらあたしは夕飯作っちゃいますので」
そういうわけで当番決定。
鍋と調味料をメリアに渡す。
さっそくメリアは夕飯づくりに取り掛かった。
僕も頑張ろう。
僕が魔力を練っているとメリアから待ったがかかる。
「あ、言い忘れていましたけど、温度は人肌か、それよりちょっと低いくらいでお願いしますね。その方が油が残りますし、なんでかおいしいんですよね」
言われた通り、低温と風でゆっくり乾燥させていく。
長時間の魔法行使だし、温度を上げすぎないように調整が必要なので割と集中力がいる。
ひたすら集中していると、お肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。
そういやお昼も食べてない気がする。
お腹空いたなー。
「レイさーん。スープと串焼きができますよー。干し肉も時間的にもちょうどいいですし、お肉を並べたらこっちに来てください」
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