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プロローグ
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5月11日から 月末まで、毎日19時30分 更新です
* * * * *
時は西暦 2020年。
利礼 弐年 九月。
残暑の残る暑さの中。
茶色のツナギを着た男が咥え煙草で道を歩ている。
擦れ違う人たちは、その男の事を特に気にした様子も無く擦れ違って行く。
男は、雑居ビルの前で立ち止まると空を見る。
《良い天気だなあぁ~。》
空を見て心の中で思う。
ズボンのポケットから携帯灰皿を取り出して。
咥えていた煙草を入れて揉み消す。
そして男は、ビルの中に入っていくと、エレベーターのボタンを押してドアが開くと中に入り6階を押す。
エレベーターが止まり廊下に出て右側に歩く。
十数歩の所で、左側のドアを開けて中に入る。
いや、入ろうとした。
そのまま黙って、ドアを閉めて部屋番を確認する。
601 と確認できた。
間違ってはいない。
男は大きく息を吸って吐き出す。
心の準備を整えて、再びドアノブに手を掛けて開く。
部屋の中には、男性4人と女性2人が居た。
「何か。 見えちゃいけない者が見えているくらいに身体の調子が悪いので。 このまま帰らせてもらいますね。」
右手で額を揉み解しながら言い。 ドアを閉めて退室しようとしたのだが。
「芳乃ちゃん。 現実逃避しちゃダメよぉ~。」
いつの間にか、男の右腕を自分の両手で抱きしめていた緑色の髪の女性が言う。
「諦めろ。 芳乃・・・・。」
部屋の中の最奥の椅子に腰かけた中年男性が言う。
芳乃は、部屋の中に視線を向け、もう1度見渡して。
何もかも諦めたような表情で部屋の中に入る。
「それで・・・。 なんで大精霊様が4人揃ってんですかね? 世界の破滅でも起こるのですかね?
どう考えても、厄介事しか浮かんでこないんですけどね。 大門さん。」
大門の前に立って言う芳乃。
「当たらずとも遠からずだ。」
「はぁ!?」
「唐突ですが。芳乃。 魔王が降臨します。」
茶色の髪の男性が言う。
「はあぁ?」
「だから、魔王が現れると言っておるのだ。」
赤色の髪の男性。
「魔王? って?」
「だから、魔王だと言っているでしょう。」
緑の髪の女性。
「えっと・・・。 魔王? 魔の王と書いて魔王?」
「そう。その魔王よ。」
水色の髪の女性。
「どこに?」
「地球にだ。」
大門。
「事務所に魔王が降臨?」
「違うわっ! 地球に魔王が降臨するんだよっ!」
赤色の髪の男性が怒鳴る様に言う。
「怒鳴らなくても聞こえてるよ。 イフリート。 大体にして地球だぞ此処はっ。
なんで魔法世界の象徴みたいな魔王なんてのが降臨するんだよっ。」大声で抗議したい心境を必死に抑えて言う芳乃。
「よく考えるのじゃ芳乃よ。
我ら大精霊が居るんだぞ。
魔王や勇者が居ても不思議ではあるまいに。」
青い髪の女性、ローレライが言う。
「十分不思議だよ。 大体、大精霊だけでも、俺の頭の中は許容オーバーなのに。
このうえに魔王とか訳わからんねえよ。」
大きく溜め息をつきながら言う芳乃。
この場に居る、俺を除いた6人の内、4人は大精霊と呼ばれる存在。
赤色の髪の男性は、火の大精霊イフリート。
水色の髪の女性は、水の大精霊ローレライ。
茶色の髪の男性は、土の大精霊ベヒモス。
緑色の髪の女性は、風の大精霊ジン。
黒髪の中年男性は、この事務所の所長の 大門 悟。 ロマンスグレーの似合う40歳。
もう一人の男性は、中島 紘一。 イケメン28歳。
内閣特殊調査課 の室長だ。
「落ち着いてください。 七五三さん。」
中嶋君が、俺の名前を呼ぶ。
さて、ここで問題だ。
七五三 と書いて何て読む?
初見で当てれたら大したものだ。
「落ちつけれると思うかい!? 中島君。
大精霊と知り合ってから。 俺が、どんな状況になっていると思ってるんだ?」
4人を睨むように見る芳乃。
「何を言ってるんですか。 僕らの能力を存分に使っているでしょう。」
ベヒモスは言う。
「そうそう。 水よ癒せっ! とか。 大地よ拘束せよっ! とか。
楽しそうに使ってるじゃないの。」
ローレライが言う。
「くっ!」
床に手と膝を着き、うなだれる芳乃。
「七五三さん。 黒歴史の1つや2つ。 誰でも持っているものですよ。」
そう言って、俺の肩に手を置き。 遠くを見つめるように中嶋君。
そう。 俺こと七五三 芳乃 50歳。
精霊たちの使い魔である。
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時は西暦 2020年。
利礼 弐年 九月。
残暑の残る暑さの中。
茶色のツナギを着た男が咥え煙草で道を歩ている。
擦れ違う人たちは、その男の事を特に気にした様子も無く擦れ違って行く。
男は、雑居ビルの前で立ち止まると空を見る。
《良い天気だなあぁ~。》
空を見て心の中で思う。
ズボンのポケットから携帯灰皿を取り出して。
咥えていた煙草を入れて揉み消す。
そして男は、ビルの中に入っていくと、エレベーターのボタンを押してドアが開くと中に入り6階を押す。
エレベーターが止まり廊下に出て右側に歩く。
十数歩の所で、左側のドアを開けて中に入る。
いや、入ろうとした。
そのまま黙って、ドアを閉めて部屋番を確認する。
601 と確認できた。
間違ってはいない。
男は大きく息を吸って吐き出す。
心の準備を整えて、再びドアノブに手を掛けて開く。
部屋の中には、男性4人と女性2人が居た。
「何か。 見えちゃいけない者が見えているくらいに身体の調子が悪いので。 このまま帰らせてもらいますね。」
右手で額を揉み解しながら言い。 ドアを閉めて退室しようとしたのだが。
「芳乃ちゃん。 現実逃避しちゃダメよぉ~。」
いつの間にか、男の右腕を自分の両手で抱きしめていた緑色の髪の女性が言う。
「諦めろ。 芳乃・・・・。」
部屋の中の最奥の椅子に腰かけた中年男性が言う。
芳乃は、部屋の中に視線を向け、もう1度見渡して。
何もかも諦めたような表情で部屋の中に入る。
「それで・・・。 なんで大精霊様が4人揃ってんですかね? 世界の破滅でも起こるのですかね?
どう考えても、厄介事しか浮かんでこないんですけどね。 大門さん。」
大門の前に立って言う芳乃。
「当たらずとも遠からずだ。」
「はぁ!?」
「唐突ですが。芳乃。 魔王が降臨します。」
茶色の髪の男性が言う。
「はあぁ?」
「だから、魔王が現れると言っておるのだ。」
赤色の髪の男性。
「魔王? って?」
「だから、魔王だと言っているでしょう。」
緑の髪の女性。
「えっと・・・。 魔王? 魔の王と書いて魔王?」
「そう。その魔王よ。」
水色の髪の女性。
「どこに?」
「地球にだ。」
大門。
「事務所に魔王が降臨?」
「違うわっ! 地球に魔王が降臨するんだよっ!」
赤色の髪の男性が怒鳴る様に言う。
「怒鳴らなくても聞こえてるよ。 イフリート。 大体にして地球だぞ此処はっ。
なんで魔法世界の象徴みたいな魔王なんてのが降臨するんだよっ。」大声で抗議したい心境を必死に抑えて言う芳乃。
「よく考えるのじゃ芳乃よ。
我ら大精霊が居るんだぞ。
魔王や勇者が居ても不思議ではあるまいに。」
青い髪の女性、ローレライが言う。
「十分不思議だよ。 大体、大精霊だけでも、俺の頭の中は許容オーバーなのに。
このうえに魔王とか訳わからんねえよ。」
大きく溜め息をつきながら言う芳乃。
この場に居る、俺を除いた6人の内、4人は大精霊と呼ばれる存在。
赤色の髪の男性は、火の大精霊イフリート。
水色の髪の女性は、水の大精霊ローレライ。
茶色の髪の男性は、土の大精霊ベヒモス。
緑色の髪の女性は、風の大精霊ジン。
黒髪の中年男性は、この事務所の所長の 大門 悟。 ロマンスグレーの似合う40歳。
もう一人の男性は、中島 紘一。 イケメン28歳。
内閣特殊調査課 の室長だ。
「落ち着いてください。 七五三さん。」
中嶋君が、俺の名前を呼ぶ。
さて、ここで問題だ。
七五三 と書いて何て読む?
初見で当てれたら大したものだ。
「落ちつけれると思うかい!? 中島君。
大精霊と知り合ってから。 俺が、どんな状況になっていると思ってるんだ?」
4人を睨むように見る芳乃。
「何を言ってるんですか。 僕らの能力を存分に使っているでしょう。」
ベヒモスは言う。
「そうそう。 水よ癒せっ! とか。 大地よ拘束せよっ! とか。
楽しそうに使ってるじゃないの。」
ローレライが言う。
「くっ!」
床に手と膝を着き、うなだれる芳乃。
「七五三さん。 黒歴史の1つや2つ。 誰でも持っているものですよ。」
そう言って、俺の肩に手を置き。 遠くを見つめるように中嶋君。
そう。 俺こと七五三 芳乃 50歳。
精霊たちの使い魔である。
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