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動乱 編
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世界魔術士協会。
それは、世界中の術師と呼ばれる、科学とは違う《魔術》を使う事の出来る者たちと協力・共存し。
科学では対処のできない、現象や犯罪を人知れずに処理を行う機関。
魔術、神術、陰陽術、呪術、仙術、精霊術、占星術、超能力などの、世間一般では眉唾物の存在を一纏めにした総称を魔術と呼んでいる。
勿論、世間一般的には、魔術などと言う存在は公開されておらず。
この世界魔術士協会も例外では無く、世間一般には知られていない。
世界魔術士協会の存在を知っているのは、各国の首相や大統領と言ったトップの者たちだけで。
その者たちも、協会の発行した特殊な書類にサインをさせられて。
トップの座を引いた時には、書類の効力によって世界魔術士協会の存在を忘れている。
その世界魔術士協会の一室で、7人の人物が会談を行っていた。
七五三 芳乃。
彼の存在は、世界魔術士協会でも頭の痛くなる存在であった。
「しかし、Nо7。 日本に戦力が集中しているのは、些か問題では無いのかね。」
相対している人物たちはスクリーンに投影されており。
声も機械的な合成音に変換され男女の区別はつくが、それが本人の声なのかも妖しい所だ。
「Nо1。 そうは言うが、彼は術師としては未熟です。
実力で言えば、やっと。 兵士級。 良くて闘士級です。」
そして、この部屋の者たちは、名前で呼び合わずに番号で呼ぶ事に為って居る。
それは、個人を特定させないようにしているから。
更に、世界魔術士協会の技術によって。 全ての言語は自動翻訳と呼ばれる術式で、自動的に話している相手の言葉が自国語に変換されている。
「しかしNо7。 能力的には闘士級どころか、騎士級だろうに。」
「Nо4。 能力は有っても経験が圧倒的に足りていない。
並の術者なら、10年以上を掛けて培う能力を、彼は1日で得てしてしまったのだ。」
「そう言うなら、Nо4。 貴方の所の闘士3人と、彼をトレードしたらどうなのかね?」
「Nо6。 それでは、こちらの戦力が減ってしまう。」
「Nо4。 それは自分で、彼を評価してないって言ってのと同じだよ。」
小さな声で笑うNо6。
「Nо6。 そう煽るな。」
「失礼。Nо3。」
「提案なんだけど。Nо7。」
「何でしょう? Nо2。」
「彼を、私の所に一ヶ月ほど貸してはくれないだろうか?
もちろん、代わりの人材として、そちらには騎士1人と、闘士1人を派遣しようと思うのだけど。」
「騎士を送るとは、随分と大判振る舞いだな。Nо2。」
「Nо5。 それだけ興味があるのですよ。 彼に。」
「Nо2。 正直、彼に尽いては国としての意見よりも。 個人としての意見を尊重していますので。
すぐに返答をする訳にはいかないのですが。」
「心得ていますNо7。 別に慌てる必要は無いので。 彼の意見を尊重してください。
こちらとしては、彼に興味があって間近で観察と言っては言い方が悪いのですが。
実際に会って話して、少しの期間を過ごしてみたいと言う事です。」
「判りました。Nо2。 彼には伝えておきます。」
「お願いします。Nо7。 ちょっとした、海外旅行気分だとでも思ってくださいと伝えてください。」
「それでは、時間も詰まっているので。 此処までにして置こうか。 皆さん、お疲れ様です。」
Nо2の退席合図を皮切りに、次々とスクリーンが黒くなっていく。
* * * * * * *
「ふう・・・まったく。 どいつも、こいつも。 彼を何だと思っているんだ・・・。」
大きな溜め息をつきながら、椅子の背もたれに背中を預ける大門。
「お疲れ様です。」
「そう思うなら、君がやってくれないか。」
「ご遠慮しておきます。 その為に、貴方を引き抜いたのですから。」
大門の言葉を軽く受け流す中嶋。
「ようやく、厄介な部署から引く事が出来たと思ったら。
まさか、前の部署よりも酷くなるとは思っていなかったよ。」
「おや? 仕事量的には、前の所より遥かにマシだと思うのですが?」
「心労で、胃に穴が開きそうだよ。」
「ははは。確かに。 それで、どうしますか?」
「聞いてた通りだ。 七五三くんに話してみるさ。
Nо2が、彼を御指名だ。」
「大丈夫でしょうか?」
「なに。 Nо2は割と人身的な人物だ。」
「おや?Nо2をご存じで?」
「ああ。 昔の仕事の関係でね。 代替わりして居なければ、私の知っている人物と同じはずだよ。
まぁ、代替わりしていても、彼が馬鹿な人選をする筈は無いと思う事を祈るよ。」
「それでは、私の方から七五三さんには伝えておきます。」
「お願いします。」
「それと、もし仮に。七五三さんが承諾した場合ですが。
向こうからの人材は、出来れば闘士を3人でお願いしたいのですが。」
「確かに、質より量が欲しい所だね。」
「はい。 どうにも日本は、量より質を選ぶ傾向がありますので。
その質に関しても、他の所と比べたら。 闘士クラスでさえ、他国の騎士クラスに匹敵するので。」
「職人気質が表に出てるからね。日本は。」
苦笑気味に言う大門。
「まったく。 術者は使い捨ての道具じゃないっていい加減に気が付いて欲しいのですけどね。」
「仕方がないさ。 上の者は、数字でしか考えていない。
現場の事など、お構いなしさ。 悲しいけど。 これも、お国柄ってヤツだよ。」
「ほんと、なんちゃってブラックが多くて困りますね。」
「君も大概だけどね。」
「適材適所ですよ。 僕が、あの老害たちの相手をしたら、三ヶ月で胃に穴が空くのは間違いないですから。」
「ふふ。 そうしておこう。 それじゃ、七五三くんに宜しく。」
「はい。 行って来ます。」
それは、世界中の術師と呼ばれる、科学とは違う《魔術》を使う事の出来る者たちと協力・共存し。
科学では対処のできない、現象や犯罪を人知れずに処理を行う機関。
魔術、神術、陰陽術、呪術、仙術、精霊術、占星術、超能力などの、世間一般では眉唾物の存在を一纏めにした総称を魔術と呼んでいる。
勿論、世間一般的には、魔術などと言う存在は公開されておらず。
この世界魔術士協会も例外では無く、世間一般には知られていない。
世界魔術士協会の存在を知っているのは、各国の首相や大統領と言ったトップの者たちだけで。
その者たちも、協会の発行した特殊な書類にサインをさせられて。
トップの座を引いた時には、書類の効力によって世界魔術士協会の存在を忘れている。
その世界魔術士協会の一室で、7人の人物が会談を行っていた。
七五三 芳乃。
彼の存在は、世界魔術士協会でも頭の痛くなる存在であった。
「しかし、Nо7。 日本に戦力が集中しているのは、些か問題では無いのかね。」
相対している人物たちはスクリーンに投影されており。
声も機械的な合成音に変換され男女の区別はつくが、それが本人の声なのかも妖しい所だ。
「Nо1。 そうは言うが、彼は術師としては未熟です。
実力で言えば、やっと。 兵士級。 良くて闘士級です。」
そして、この部屋の者たちは、名前で呼び合わずに番号で呼ぶ事に為って居る。
それは、個人を特定させないようにしているから。
更に、世界魔術士協会の技術によって。 全ての言語は自動翻訳と呼ばれる術式で、自動的に話している相手の言葉が自国語に変換されている。
「しかしNо7。 能力的には闘士級どころか、騎士級だろうに。」
「Nо4。 能力は有っても経験が圧倒的に足りていない。
並の術者なら、10年以上を掛けて培う能力を、彼は1日で得てしてしまったのだ。」
「そう言うなら、Nо4。 貴方の所の闘士3人と、彼をトレードしたらどうなのかね?」
「Nо6。 それでは、こちらの戦力が減ってしまう。」
「Nо4。 それは自分で、彼を評価してないって言ってのと同じだよ。」
小さな声で笑うNо6。
「Nо6。 そう煽るな。」
「失礼。Nо3。」
「提案なんだけど。Nо7。」
「何でしょう? Nо2。」
「彼を、私の所に一ヶ月ほど貸してはくれないだろうか?
もちろん、代わりの人材として、そちらには騎士1人と、闘士1人を派遣しようと思うのだけど。」
「騎士を送るとは、随分と大判振る舞いだな。Nо2。」
「Nо5。 それだけ興味があるのですよ。 彼に。」
「Nо2。 正直、彼に尽いては国としての意見よりも。 個人としての意見を尊重していますので。
すぐに返答をする訳にはいかないのですが。」
「心得ていますNо7。 別に慌てる必要は無いので。 彼の意見を尊重してください。
こちらとしては、彼に興味があって間近で観察と言っては言い方が悪いのですが。
実際に会って話して、少しの期間を過ごしてみたいと言う事です。」
「判りました。Nо2。 彼には伝えておきます。」
「お願いします。Nо7。 ちょっとした、海外旅行気分だとでも思ってくださいと伝えてください。」
「それでは、時間も詰まっているので。 此処までにして置こうか。 皆さん、お疲れ様です。」
Nо2の退席合図を皮切りに、次々とスクリーンが黒くなっていく。
* * * * * * *
「ふう・・・まったく。 どいつも、こいつも。 彼を何だと思っているんだ・・・。」
大きな溜め息をつきながら、椅子の背もたれに背中を預ける大門。
「お疲れ様です。」
「そう思うなら、君がやってくれないか。」
「ご遠慮しておきます。 その為に、貴方を引き抜いたのですから。」
大門の言葉を軽く受け流す中嶋。
「ようやく、厄介な部署から引く事が出来たと思ったら。
まさか、前の部署よりも酷くなるとは思っていなかったよ。」
「おや? 仕事量的には、前の所より遥かにマシだと思うのですが?」
「心労で、胃に穴が開きそうだよ。」
「ははは。確かに。 それで、どうしますか?」
「聞いてた通りだ。 七五三くんに話してみるさ。
Nо2が、彼を御指名だ。」
「大丈夫でしょうか?」
「なに。 Nо2は割と人身的な人物だ。」
「おや?Nо2をご存じで?」
「ああ。 昔の仕事の関係でね。 代替わりして居なければ、私の知っている人物と同じはずだよ。
まぁ、代替わりしていても、彼が馬鹿な人選をする筈は無いと思う事を祈るよ。」
「それでは、私の方から七五三さんには伝えておきます。」
「お願いします。」
「それと、もし仮に。七五三さんが承諾した場合ですが。
向こうからの人材は、出来れば闘士を3人でお願いしたいのですが。」
「確かに、質より量が欲しい所だね。」
「はい。 どうにも日本は、量より質を選ぶ傾向がありますので。
その質に関しても、他の所と比べたら。 闘士クラスでさえ、他国の騎士クラスに匹敵するので。」
「職人気質が表に出てるからね。日本は。」
苦笑気味に言う大門。
「まったく。 術者は使い捨ての道具じゃないっていい加減に気が付いて欲しいのですけどね。」
「仕方がないさ。 上の者は、数字でしか考えていない。
現場の事など、お構いなしさ。 悲しいけど。 これも、お国柄ってヤツだよ。」
「ほんと、なんちゃってブラックが多くて困りますね。」
「君も大概だけどね。」
「適材適所ですよ。 僕が、あの老害たちの相手をしたら、三ヶ月で胃に穴が空くのは間違いないですから。」
「ふふ。 そうしておこう。 それじゃ、七五三くんに宜しく。」
「はい。 行って来ます。」
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