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新しい力:9

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『そうなの。だから、このサイズでの自己自律ではなくて、自己確立での試作品プロトタイプなの。私は。』

「ちなみに、自己自律と自己確立って、どう違うんだ?」

健太が尋ねる。

『自己自律は、中央メインサーバーの管理の影響下を離れるけど。

私たちは、中央メインサーバーの管理体制から離れる事はできないわ。』


「000-MUGEN。

試作品プロトタイプって事は、他にも正規版がるんだよな?

それと、何かの条件を満たして君が出てこれた?」



『正規のMUGENシリーズは居るよ。何体かは言えないけど。

条件としては。いくつか有るんだけど。

悠夜の場合は。

進化の時に、素材全部を次ぎこんだ上に所持クレジットを全額突っ込み。

尚且つ、ダブルアップを敢行する様なバカなプレイヤーなら、私みたいな小さいサイズの異性には興味は抱かないだろうと。

まぁ、その条件をクリアしても私を引き当てる確率は1万分の1の確率なんだけどね。

それに、私を引き当てる程の強運の持ち主なら。

何をしても運の良さだけで、運営の思惑を無駄にさせる部類に入るか。

現実世界リアルでの運を使い果たして、人生終わったプレイヤーだろうと言う開発者の判断だよ。』

「・・・・・・・・・」

健太とアイザックは、何とも言えない表情で俺を見ていた。

確かに、普通のプレイヤーはそんな馬鹿な事はしない。

やるとしたら、そのゲームを引退すると決めた時くらいだ。

そして、俺は2人のせいで。偶然にも、その条件をクリアしてしまった。

しかも、最後に余計な言葉を付け足して・・・・。

おう・・・俺の場合は、現実世界リアル半分以上終わった人生が待っているのか・・・。


『悠夜ぁ~。』

猫撫で声で、000-MUGENが、半分放心している俺の名を呼ぶ。

「ん?なんだ?」

力なく、000-MUGENに返事をする俺。

『私にも、名前を付けてよぉ。』

小さな体をクネクネさせながら俺に言ってくる000-MUGENに。

「あれ?データは引き継いでいるんろ?だったら、名前はゼロじゃないのか?」

『データは引き継いでるけど。進化させて、別のCPUメイン・コンピューターに為ったんだから。名前の変更は可能だよ。』

「ゼロじゃ駄目なのか?」

『どうせなら、もっと可愛い名前が良いかな?』

俺の胸辺りに来て、浮かんだままで上目遣いで俺を見てくる000-MUGEN。

可愛いじゃやないか・・・・。
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