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僕の拾った可愛い子ちゃん
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悲しげな鳴き声のする方へ草を掻き分けて入っていくと、目の前に竜が居た。
僕は竜を見るのは初めてだった。竜は高額で取引されると噂では聞いたことがあったけれど、なるほど美しい生き物だった。いや、美しくなりそうが、正解かな?
目の前の竜は僕が頑張れば抱えられそうな大きさの小さな竜だった。子供かもしれない。噂で聞く竜はもう少し大きい筈だ。
とはいえ、前世持ちの僕には竜のイメージが色々過ぎてどのサイズが正解かもハッキリしない。
竜は僕を見るとビクッとして鋭い歯をカチカチ鳴らして威嚇してきた。僕は前世で飼っていた性悪なうちの犬を思い出して、こいつも噛みつき魔かもしれないなと苦笑いしてしまった。
僕はゆっくり近づくと、威嚇する子竜の周囲をぐるぐる回ってあの悲しい声の原因を探した。原因は直ぐに見つかった。片足がザックリ切れて血が出ていた。
僕は優しい声を掛けながらどうしようかと考えた。この世界では竜は金持ちの見栄を張るために飼われるペットだ。
でも僕の記憶の竜は神様だったり、どちらかと言えば尊いものだ。前世の記憶に引っ張られがちな僕は、この小さな、ちょっとぽっちゃりした竜を助けて逃してあげようと思った。
僕は竜の側にしゃがみ込むと、爬虫類特有の縦に割れる、大きな青い綺麗な目を覗き込んで言った。
「ねぇ、君。ここにいたら、君は多分捕まってお金のために売り飛ばされると思うんだ。僕はね、内緒だけど前世持ちで、竜は大事な神様みたいな生き物だって思ってる。だから君を助けて逃してあげたいんだ。
君、どうする?僕について来るかい?もし僕について来るなら、お願いだからその鋭い歯や爪で、僕を傷つけないで欲しい。すごく痛そうだもの。約束してくれるなら、僕の家で傷に薬を塗ってあげるよ?」
小さな竜は僕をじっと見つめて、それからキュウと優しい声で鳴いた。
僕はこの竜を助けてあげられる事にホッとして、恐る恐る近づいて、僕の髪を結んでいたスカーフで傷をぎゅっと縛った。攻撃されない事に安心して、抱っこするねーと言いながら後ろから抱き上げた。
思ったより重かったので、はぁはぁと息を切らしながら、やっとこさ家の前まで運んだ。
赤い屋根の小さなお家は、絵本に出てくる家のようで僕のお気に入りだった。前の世界でいえば、ワンルーム型一軒家だ。
その代わり狭いので、僕は自分のベッドに子供の竜をそっと下ろすと、手当をしてあげた。本当は縫ってあげた方が良いぐらいの怪我だったけれど、僕はお医者さんじゃないし、他の人にはあまり見せないほうが良いと思った。
僕はよく効きそうな薬草を後で取りに行こうと思いながら、竜に尋ねた。
「ねぇ、お腹空いてない?君って何を食べるんだろう。今から僕はランチを作るけど、その中で食べられそうな物を食べてね。」
僕はぽっちゃり竜の滑らかな銀色のキラキラした鱗を撫でるとお布団を掛けて、キッチンに立った。
カチャカチャと僕が料理してる様子をジッと見つめていた竜は気づくとクークー言いながら眠っていた。
僕は野生?の竜が僕のお家で安心して眠っているのを見つめて、まるで絵本の中のお話のようだなとクスリと笑うと、いつもより沢山の食事を作った。ほら、竜って凄く食べそうだから。まぁ、残ったら近所のロンおじさんに食べてもらおう。あの人はいつも腹ペコだから。
食事が冷めるかな、いや、爬虫類は温かい物はダメかなとか色々考えながら、用意できた食事と眠っている竜を交互に見つめて考え込んでいた。
僕は竜の側に屈み込むと、小さい声で呼んでみた。
「ねぇ、君。ごはん食べるかい?」
竜は目をパチっと開けると、僕をハッとした様に顔を持ち上げて見つめた。
相変わらずうっとりとするくらい綺麗な青い目だった。縦に割れた黒い瞳が青い宝石を切り裂くようで、僕は不思議な気持ちで竜の目を見つめていた。
僕は竜を見るのは初めてだった。竜は高額で取引されると噂では聞いたことがあったけれど、なるほど美しい生き物だった。いや、美しくなりそうが、正解かな?
目の前の竜は僕が頑張れば抱えられそうな大きさの小さな竜だった。子供かもしれない。噂で聞く竜はもう少し大きい筈だ。
とはいえ、前世持ちの僕には竜のイメージが色々過ぎてどのサイズが正解かもハッキリしない。
竜は僕を見るとビクッとして鋭い歯をカチカチ鳴らして威嚇してきた。僕は前世で飼っていた性悪なうちの犬を思い出して、こいつも噛みつき魔かもしれないなと苦笑いしてしまった。
僕はゆっくり近づくと、威嚇する子竜の周囲をぐるぐる回ってあの悲しい声の原因を探した。原因は直ぐに見つかった。片足がザックリ切れて血が出ていた。
僕は優しい声を掛けながらどうしようかと考えた。この世界では竜は金持ちの見栄を張るために飼われるペットだ。
でも僕の記憶の竜は神様だったり、どちらかと言えば尊いものだ。前世の記憶に引っ張られがちな僕は、この小さな、ちょっとぽっちゃりした竜を助けて逃してあげようと思った。
僕は竜の側にしゃがみ込むと、爬虫類特有の縦に割れる、大きな青い綺麗な目を覗き込んで言った。
「ねぇ、君。ここにいたら、君は多分捕まってお金のために売り飛ばされると思うんだ。僕はね、内緒だけど前世持ちで、竜は大事な神様みたいな生き物だって思ってる。だから君を助けて逃してあげたいんだ。
君、どうする?僕について来るかい?もし僕について来るなら、お願いだからその鋭い歯や爪で、僕を傷つけないで欲しい。すごく痛そうだもの。約束してくれるなら、僕の家で傷に薬を塗ってあげるよ?」
小さな竜は僕をじっと見つめて、それからキュウと優しい声で鳴いた。
僕はこの竜を助けてあげられる事にホッとして、恐る恐る近づいて、僕の髪を結んでいたスカーフで傷をぎゅっと縛った。攻撃されない事に安心して、抱っこするねーと言いながら後ろから抱き上げた。
思ったより重かったので、はぁはぁと息を切らしながら、やっとこさ家の前まで運んだ。
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その代わり狭いので、僕は自分のベッドに子供の竜をそっと下ろすと、手当をしてあげた。本当は縫ってあげた方が良いぐらいの怪我だったけれど、僕はお医者さんじゃないし、他の人にはあまり見せないほうが良いと思った。
僕はよく効きそうな薬草を後で取りに行こうと思いながら、竜に尋ねた。
「ねぇ、お腹空いてない?君って何を食べるんだろう。今から僕はランチを作るけど、その中で食べられそうな物を食べてね。」
僕はぽっちゃり竜の滑らかな銀色のキラキラした鱗を撫でるとお布団を掛けて、キッチンに立った。
カチャカチャと僕が料理してる様子をジッと見つめていた竜は気づくとクークー言いながら眠っていた。
僕は野生?の竜が僕のお家で安心して眠っているのを見つめて、まるで絵本の中のお話のようだなとクスリと笑うと、いつもより沢山の食事を作った。ほら、竜って凄く食べそうだから。まぁ、残ったら近所のロンおじさんに食べてもらおう。あの人はいつも腹ペコだから。
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