ハーレムBLゲーム、転生の俺にはデスゲーム

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
16 / 17
白薔薇学園ゲーム

徳永の話

しおりを挟む
 「藤原君、ちょっと良いかな。」

 授業終わりにそう声を掛けられて、冬馬は無意識に顔を強張らせた。あまり目の前の男とはお近づきになりたくない。

「…あー、何?」

 すると徳永はその可愛い顔を微笑ませて、話があるからと冬馬を教室から連れ出そうとしてきた。冬馬は大和から忠告を受けていた事もあって、やんわりと言った。

「悪いけど、真琴の事ここで待ってないといけないから。話があるならここで聞くよ。」


 すると徳永は周囲にひと気が無くなるのをチラッと見てから、さっきまでの柔らかな態度を急に豹変させて言った。

「へぇ、藤原って結構食えない奴なんだね。せっかく僕が特別扱いしてあげようって画策したのに。…しょうがないな。ね、藤原って誰かと付き合ってる?花柳先輩って事はないよね?

 花柳先輩のお気に入りが藤原なんじゃないかなって思ってさ、ちょっと信じられないけど。この学校に転校してきたのも、花柳先輩のためなんだから、邪魔はさせないよ?」


 そう馬鹿にした様に言いながら、徳永は手元のスマホに何か打ち込んだ。

 一方、冬馬は徳永の裏の顔を見た様で眉を顰めた。いくら主人公だからって、そもそも愛されキャラだからこその主人公じゃないのか?こんな悪役ポジションの様な徳永に関わったら花柳先輩にまで悪影響が出そうな気がして、思わず冬馬はスルー出来ずに口を開いていた。

「あのさ、俺が花柳先輩とどうのこうのの前に、そうやって性格悪いところ曝け出すの、全然良い手じゃないと思うよ。花柳先輩は高潔な人だからさ、よく相手のことを見てると思うし。

 花柳先輩に近づきたいと思うなら、自分の内面を磨いた方が良いんじゃないの?」


 徳永はじっと冬馬を見つめていたと思ったら、急に可笑しそうに笑い出した。

「ふふっ、ははは。…言うじゃん。普通のモブだと思ってたのに案外食わせ者だね、藤原って。そんな藤原にサプライズ用意したからさ、受け取ってよ。」

 そう言い終わる前に誰かが教室の前に到着した様子だった。気づけば徳永と俺しか居ない教室で、不意に徳永は自分のシャツを乱暴に剥ぎ取った。教室のどこかにボタンが弾け転がる音がした。それからニヤリと笑みを浮かべるとバタバタと教室の入り口まで走った。


 「…助けて!誰か!」

 けれども教室の入り口の扉は開かなかった。徳永は動きを止めて、さっきと同じように呟きながら扉を勢いよく開けた。そこには徳永の取り巻きの一人がぼんやり突っ立っていた。

「…助けて!…どうして?」

 徳永がその取り巻きに小さく声を掛けるのと同時に、扉から顔を出したのは真琴だった。

「どうしてって?徳永の自演自作を鑑賞しろって?」


 真琴にそう言われたのを無視して、徳永は冬馬の方を指さしてもう一度庇護欲の湧く声音で取り巻きに縋った。

「助けて!あいつが無理やり!先生呼んできて!」

 だけどその取り巻きは微動だにせず、強張った顔をしてチラチラと真琴の顔色を窺っていた。真琴は徳永の横をすり抜け冬馬の方へ向かいながら言った。

「ああ、そいつから徳永の指示全部聞いたから。それに俺が録音した音声もしっかり聞いたしな。

 って言うか、そいつも徳永にそんな裏表あるなんて、ショックだったみたいだぜ?よっぽど良い子ちゃんに振舞ってたみたいだな。姫だと思ってたのに、とんだ毒蜘蛛だったって?」


 取り巻きは徳永を険しい顔で見つめると、ため息をついて歩き去ってしまった。徳永は腕を組むと、渋々自分の乱れたシャツを整えてぶつぶつと呟いた。

「はぁ、何それ。結局シャツ一枚ダメにしたって事?」

 そんな徳永を無視して真琴は冬馬のところへ近づくと、何が起きたのか把握できないで呆然としている冬馬に微笑んだ。

「まったく、とんだ姫だな。冬馬も下手すれば酷い冤罪に会うところだったぞ?徳永、言っておくけどこれ以上冬馬にちょっかいかける様なら俺を敵に回す事になるぞ。まぁ生徒会長もかもな。誰の言葉の方を信用するかは徳永でも分かるだろ?内面が綺麗な方だって決まってる。」


 徳永は、嫌そうな顔をすると、冬馬を睨みつけて呟いた。

「どうして僕がこんな目に遭うのか分からないけど、僕が姫であるのは変わらないからね。藤原もそんな怖い男を側に置いておかない方が良いんじゃないの?」

 それだけ言うと徳永はさっさと教室を出て行ってしまった。

 苦笑した真琴は、冬馬を抱き寄せると優しく囁いた。

「確かにあいつの言う事も一理あるかもな。冬馬はヤバい男に捕まったんだ。…しかしあいつ何の反省もないな。」








しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。 弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。 そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。 でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。 そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います! ・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね? 本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。 そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。 お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます! 2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。 2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・? 2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。 2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

俺はモブなので。

バニラアイス
BL
冷酷な第二王子×悪役令息の取り巻きモブの話です! ちなみにモブが溺愛されます! 初めて書くので誤字脱字お許しください💦 似ている作品があるかもですが先に謝っておきますごめんなさい🙏💦

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...