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白薔薇学園ゲーム
徳永の話
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「藤原君、ちょっと良いかな。」
授業終わりにそう声を掛けられて、冬馬は無意識に顔を強張らせた。あまり目の前の男とはお近づきになりたくない。
「…あー、何?」
すると徳永はその可愛い顔を微笑ませて、話があるからと冬馬を教室から連れ出そうとしてきた。冬馬は大和から忠告を受けていた事もあって、やんわりと言った。
「悪いけど、真琴の事ここで待ってないといけないから。話があるならここで聞くよ。」
すると徳永は周囲にひと気が無くなるのをチラッと見てから、さっきまでの柔らかな態度を急に豹変させて言った。
「へぇ、藤原って結構食えない奴なんだね。せっかく僕が特別扱いしてあげようって画策したのに。…しょうがないな。ね、藤原って誰かと付き合ってる?花柳先輩って事はないよね?
花柳先輩のお気に入りが藤原なんじゃないかなって思ってさ、ちょっと信じられないけど。この学校に転校してきたのも、花柳先輩のためなんだから、邪魔はさせないよ?」
そう馬鹿にした様に言いながら、徳永は手元のスマホに何か打ち込んだ。
一方、冬馬は徳永の裏の顔を見た様で眉を顰めた。いくら主人公だからって、そもそも愛されキャラだからこその主人公じゃないのか?こんな悪役ポジションの様な徳永に関わったら花柳先輩にまで悪影響が出そうな気がして、思わず冬馬はスルー出来ずに口を開いていた。
「あのさ、俺が花柳先輩とどうのこうのの前に、そうやって性格悪いところ曝け出すの、全然良い手じゃないと思うよ。花柳先輩は高潔な人だからさ、よく相手のことを見てると思うし。
花柳先輩に近づきたいと思うなら、自分の内面を磨いた方が良いんじゃないの?」
徳永はじっと冬馬を見つめていたと思ったら、急に可笑しそうに笑い出した。
「ふふっ、ははは。…言うじゃん。普通のモブだと思ってたのに案外食わせ者だね、藤原って。そんな藤原にサプライズ用意したからさ、受け取ってよ。」
そう言い終わる前に誰かが教室の前に到着した様子だった。気づけば徳永と俺しか居ない教室で、不意に徳永は自分のシャツを乱暴に剥ぎ取った。教室のどこかにボタンが弾け転がる音がした。それからニヤリと笑みを浮かべるとバタバタと教室の入り口まで走った。
「…助けて!誰か!」
けれども教室の入り口の扉は開かなかった。徳永は動きを止めて、さっきと同じように呟きながら扉を勢いよく開けた。そこには徳永の取り巻きの一人がぼんやり突っ立っていた。
「…助けて!…どうして?」
徳永がその取り巻きに小さく声を掛けるのと同時に、扉から顔を出したのは真琴だった。
「どうしてって?徳永の自演自作を鑑賞しろって?」
真琴にそう言われたのを無視して、徳永は冬馬の方を指さしてもう一度庇護欲の湧く声音で取り巻きに縋った。
「助けて!あいつが無理やり!先生呼んできて!」
だけどその取り巻きは微動だにせず、強張った顔をしてチラチラと真琴の顔色を窺っていた。真琴は徳永の横をすり抜け冬馬の方へ向かいながら言った。
「ああ、そいつから徳永の指示全部聞いたから。それに俺が録音した音声もしっかり聞いたしな。
って言うか、そいつも徳永にそんな裏表あるなんて、ショックだったみたいだぜ?よっぽど良い子ちゃんに振舞ってたみたいだな。姫だと思ってたのに、とんだ毒蜘蛛だったって?」
取り巻きは徳永を険しい顔で見つめると、ため息をついて歩き去ってしまった。徳永は腕を組むと、渋々自分の乱れたシャツを整えてぶつぶつと呟いた。
「はぁ、何それ。結局シャツ一枚ダメにしたって事?」
そんな徳永を無視して真琴は冬馬のところへ近づくと、何が起きたのか把握できないで呆然としている冬馬に微笑んだ。
「まったく、とんだ姫だな。冬馬も下手すれば酷い冤罪に会うところだったぞ?徳永、言っておくけどこれ以上冬馬にちょっかいかける様なら俺を敵に回す事になるぞ。まぁ生徒会長もかもな。誰の言葉の方を信用するかは徳永でも分かるだろ?内面が綺麗な方だって決まってる。」
徳永は、嫌そうな顔をすると、冬馬を睨みつけて呟いた。
「どうして僕がこんな目に遭うのか分からないけど、僕が姫であるのは変わらないからね。藤原もそんな怖い男を側に置いておかない方が良いんじゃないの?」
それだけ言うと徳永はさっさと教室を出て行ってしまった。
苦笑した真琴は、冬馬を抱き寄せると優しく囁いた。
「確かにあいつの言う事も一理あるかもな。冬馬はヤバい男に捕まったんだ。…しかしあいつ何の反省もないな。」
授業終わりにそう声を掛けられて、冬馬は無意識に顔を強張らせた。あまり目の前の男とはお近づきになりたくない。
「…あー、何?」
すると徳永はその可愛い顔を微笑ませて、話があるからと冬馬を教室から連れ出そうとしてきた。冬馬は大和から忠告を受けていた事もあって、やんわりと言った。
「悪いけど、真琴の事ここで待ってないといけないから。話があるならここで聞くよ。」
すると徳永は周囲にひと気が無くなるのをチラッと見てから、さっきまでの柔らかな態度を急に豹変させて言った。
「へぇ、藤原って結構食えない奴なんだね。せっかく僕が特別扱いしてあげようって画策したのに。…しょうがないな。ね、藤原って誰かと付き合ってる?花柳先輩って事はないよね?
花柳先輩のお気に入りが藤原なんじゃないかなって思ってさ、ちょっと信じられないけど。この学校に転校してきたのも、花柳先輩のためなんだから、邪魔はさせないよ?」
そう馬鹿にした様に言いながら、徳永は手元のスマホに何か打ち込んだ。
一方、冬馬は徳永の裏の顔を見た様で眉を顰めた。いくら主人公だからって、そもそも愛されキャラだからこその主人公じゃないのか?こんな悪役ポジションの様な徳永に関わったら花柳先輩にまで悪影響が出そうな気がして、思わず冬馬はスルー出来ずに口を開いていた。
「あのさ、俺が花柳先輩とどうのこうのの前に、そうやって性格悪いところ曝け出すの、全然良い手じゃないと思うよ。花柳先輩は高潔な人だからさ、よく相手のことを見てると思うし。
花柳先輩に近づきたいと思うなら、自分の内面を磨いた方が良いんじゃないの?」
徳永はじっと冬馬を見つめていたと思ったら、急に可笑しそうに笑い出した。
「ふふっ、ははは。…言うじゃん。普通のモブだと思ってたのに案外食わせ者だね、藤原って。そんな藤原にサプライズ用意したからさ、受け取ってよ。」
そう言い終わる前に誰かが教室の前に到着した様子だった。気づけば徳永と俺しか居ない教室で、不意に徳永は自分のシャツを乱暴に剥ぎ取った。教室のどこかにボタンが弾け転がる音がした。それからニヤリと笑みを浮かべるとバタバタと教室の入り口まで走った。
「…助けて!誰か!」
けれども教室の入り口の扉は開かなかった。徳永は動きを止めて、さっきと同じように呟きながら扉を勢いよく開けた。そこには徳永の取り巻きの一人がぼんやり突っ立っていた。
「…助けて!…どうして?」
徳永がその取り巻きに小さく声を掛けるのと同時に、扉から顔を出したのは真琴だった。
「どうしてって?徳永の自演自作を鑑賞しろって?」
真琴にそう言われたのを無視して、徳永は冬馬の方を指さしてもう一度庇護欲の湧く声音で取り巻きに縋った。
「助けて!あいつが無理やり!先生呼んできて!」
だけどその取り巻きは微動だにせず、強張った顔をしてチラチラと真琴の顔色を窺っていた。真琴は徳永の横をすり抜け冬馬の方へ向かいながら言った。
「ああ、そいつから徳永の指示全部聞いたから。それに俺が録音した音声もしっかり聞いたしな。
って言うか、そいつも徳永にそんな裏表あるなんて、ショックだったみたいだぜ?よっぽど良い子ちゃんに振舞ってたみたいだな。姫だと思ってたのに、とんだ毒蜘蛛だったって?」
取り巻きは徳永を険しい顔で見つめると、ため息をついて歩き去ってしまった。徳永は腕を組むと、渋々自分の乱れたシャツを整えてぶつぶつと呟いた。
「はぁ、何それ。結局シャツ一枚ダメにしたって事?」
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徳永は、嫌そうな顔をすると、冬馬を睨みつけて呟いた。
「どうして僕がこんな目に遭うのか分からないけど、僕が姫であるのは変わらないからね。藤原もそんな怖い男を側に置いておかない方が良いんじゃないの?」
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