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王都へ
ある貴族side噂の従騎士
今夜のリール公爵家の夜会の招待状が手に入ったのは終わってみると本当に運が良かったと言えるだろう。
私の様にリール家と太い繋がりがない子爵はこのチケットを手に入れるために随分苦労した。
元々リール公爵の夜会は人気があったが、今夜は特別だ。
昨年からフォーカス侯爵が従騎士を持ったという話は、貴族の間でも想像を膨らませる格好の噂には違いなかった。
フォーカス侯爵は若くして爵位を引き継いだ割に、人を寄せ付けず、笑顔も見せず、ごく一部の高位貴族としか付き合いのない謎の人物だった。
しかし、その美丈夫ぶりと、爵位、黒騎士団筆頭参謀という肩書きは勿論人々を引き寄せるものではあった。
大概の貴族の騎士は22、3歳までに自分の従者を見つけ、3~4年のうちに従騎士に引き立てる事が多い。
しかしフォーカス侯爵は30歳も近いというのに従者も従騎士も、ましてや女性との婚姻なども一切得ようとはしなかった。
そのフォーカス様がある日突然従騎士を得たとの噂が王都の貴族の間を駆け巡った。
その詳細も分からぬうちにフォーカス侯爵は夜の国との戦に出陣してしまわれた。
その一年後に戦況の勝利の声と共に聞こえてきたのは、フォーカス様の従騎士の戦場での活躍だった。
そして驚くべき事実として、従騎士がこの世界にない魔法を持つ異界の優麗なる人間であるという事だった。
この事が退屈している王都の貴族の関心を惹かないわけがなく、私の様に無理して招待状を手に入れようとする者の数の多さはここ数年で一番であったろう。
王への拝謁を済ませ、リール公爵の後見を得たフォーカス様の従騎士が夜会に姿を現した時の衝撃は並のものではなかった。
この世界に無い、艶めいた黒髪は綺麗な額を見せながらふわりと後ろに撫でつけられ、片耳を飾られた深みのある金色の飾りは何を考えているのか読めない黒い瞳を引き立てていた。
噂で聞くよりもずっと若く見える華奢ながらしなやかさを感じさせるその姿は、黒と銀色のコントラストを活かした洒落た正装でより引き立てられていた。
リール公爵に促されて皆の前で挨拶した姿は仕草や動きがなぜか惹きつけられるものであったが、フォーカス様を目に止めた時の従騎士の表情の変わり様は私たちの胸を貫く妖艶さも纏う様な、喜びに満ちたものであった。
美しく飾っておきたい様な人形に魂が入り込んだような驚きというべきか。
そしてフォーカス様の蕩ける様な微笑みに我々はまた驚愕を覚えたのだった。
そう、今夜の夜会はどんな手を尽くしてでも行かなくてはならないものであったのだ。
私の様にリール家と太い繋がりがない子爵はこのチケットを手に入れるために随分苦労した。
元々リール公爵の夜会は人気があったが、今夜は特別だ。
昨年からフォーカス侯爵が従騎士を持ったという話は、貴族の間でも想像を膨らませる格好の噂には違いなかった。
フォーカス侯爵は若くして爵位を引き継いだ割に、人を寄せ付けず、笑顔も見せず、ごく一部の高位貴族としか付き合いのない謎の人物だった。
しかし、その美丈夫ぶりと、爵位、黒騎士団筆頭参謀という肩書きは勿論人々を引き寄せるものではあった。
大概の貴族の騎士は22、3歳までに自分の従者を見つけ、3~4年のうちに従騎士に引き立てる事が多い。
しかしフォーカス侯爵は30歳も近いというのに従者も従騎士も、ましてや女性との婚姻なども一切得ようとはしなかった。
そのフォーカス様がある日突然従騎士を得たとの噂が王都の貴族の間を駆け巡った。
その詳細も分からぬうちにフォーカス侯爵は夜の国との戦に出陣してしまわれた。
その一年後に戦況の勝利の声と共に聞こえてきたのは、フォーカス様の従騎士の戦場での活躍だった。
そして驚くべき事実として、従騎士がこの世界にない魔法を持つ異界の優麗なる人間であるという事だった。
この事が退屈している王都の貴族の関心を惹かないわけがなく、私の様に無理して招待状を手に入れようとする者の数の多さはここ数年で一番であったろう。
王への拝謁を済ませ、リール公爵の後見を得たフォーカス様の従騎士が夜会に姿を現した時の衝撃は並のものではなかった。
この世界に無い、艶めいた黒髪は綺麗な額を見せながらふわりと後ろに撫でつけられ、片耳を飾られた深みのある金色の飾りは何を考えているのか読めない黒い瞳を引き立てていた。
噂で聞くよりもずっと若く見える華奢ながらしなやかさを感じさせるその姿は、黒と銀色のコントラストを活かした洒落た正装でより引き立てられていた。
リール公爵に促されて皆の前で挨拶した姿は仕草や動きがなぜか惹きつけられるものであったが、フォーカス様を目に止めた時の従騎士の表情の変わり様は私たちの胸を貫く妖艶さも纏う様な、喜びに満ちたものであった。
美しく飾っておきたい様な人形に魂が入り込んだような驚きというべきか。
そしてフォーカス様の蕩ける様な微笑みに我々はまた驚愕を覚えたのだった。
そう、今夜の夜会はどんな手を尽くしてでも行かなくてはならないものであったのだ。
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