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王都へ
領地からの帰還
僕が新緑を楽しんだのは一か月余りの時間だった。
赤ちゃんケビンとの触れ合いは僕の不安定な気持ちを癒してくれた。
僕はジュリアンと気持ちが重なって、愛を感じる閨を共にするようになってから、心の中がざわざわする様になっていた。
この世界に以前より執着する様になったせいかもしれない。
僕がこの世界に現れたのも、元の世界から飛ばされたのも突然だった。
その事が僕の心をざわつかせるんだ。
僕はまたある日突然この世界から飛ばされるんじゃないかって。
こんな事はジュリアンには言えない。僕は日本人なので言霊の力を無視できないからだ。
言葉にする事で現実を引き寄せてしまうかもしれないリスクを冒したくなかった。
しかも僕が元の世界の事を考えていると僕の周囲に白い魔法が薄すらと漂うらしい。
僕は嫌な予感がして、なるべく元の世界の事を考えるのをやめようと思った。
僕が今居たいのはジュリアンの隣なんだ。
帰りの王都までは馬車での移動だった。王都へ着いて直ぐに砦に向かう事になりそうなので、体力を温存するためだ。
馬車の周囲を護衛が取り巻いて並走してるので、何だか物々しい。
とはいえ、ジュリアンはフォーカス侯爵だしこの位の物々しさは当たり前なのかもしれないな。
そう思ってジュリアンの顔を見上げると、ジュリアンもこちらを見つめていた。
「本当はシンを砦に連れて行きたくはないんだ。砦に行けば必ず出陣しなければならない。
シンを命のやりとりする様な場所に連れて行って、万が一の事があったらと思うと…。」
僕はジュリアンの僕を思う気持ちを嬉しく感じた。
「ジュリアンありがとうございます。でも僕もジュリアンに危険が迫ってる時にお側にいられない方がずっと苦しいと思います。だから砦にも、戦にも絶対連れていってくださいね。僕もお役に立てる様に精進します。
それに、砦についたら僕やってみたい事があるんです。」
ジュリアンは眉を持ち上げて僕に続きを促した。
僕は決意を胸に秘めてジュリアンを真っ直ぐに見つめて言った。
「僕は弓が使えます。でもそれではジュリアンの側でお守りするには足りないんです。
砦の戦でそのことをまざまざと思い知ったんです。
だから僕に剣を教えて下さい。…剣は弓ほどやった事があるわけではないのですけれど、少し心得はあります。そこに僕の力を乗せたら多少は使えるのではないでしょうか。
ダメならダメで良いんです。やるだけやらせて下さい、ジュリアン。」
ジュリアンはしばらく考え込んだ後、僕の膝の上に置いた握りしめた拳をそっと上から包んで言った。
「シンがそこまで決意が堅いならやってみても良いだろう。が、無理は禁物だ。倒れたら元も子もないからな。」
そう言うと僕の目を見つめて微笑んだんだ。
赤ちゃんケビンとの触れ合いは僕の不安定な気持ちを癒してくれた。
僕はジュリアンと気持ちが重なって、愛を感じる閨を共にするようになってから、心の中がざわざわする様になっていた。
この世界に以前より執着する様になったせいかもしれない。
僕がこの世界に現れたのも、元の世界から飛ばされたのも突然だった。
その事が僕の心をざわつかせるんだ。
僕はまたある日突然この世界から飛ばされるんじゃないかって。
こんな事はジュリアンには言えない。僕は日本人なので言霊の力を無視できないからだ。
言葉にする事で現実を引き寄せてしまうかもしれないリスクを冒したくなかった。
しかも僕が元の世界の事を考えていると僕の周囲に白い魔法が薄すらと漂うらしい。
僕は嫌な予感がして、なるべく元の世界の事を考えるのをやめようと思った。
僕が今居たいのはジュリアンの隣なんだ。
帰りの王都までは馬車での移動だった。王都へ着いて直ぐに砦に向かう事になりそうなので、体力を温存するためだ。
馬車の周囲を護衛が取り巻いて並走してるので、何だか物々しい。
とはいえ、ジュリアンはフォーカス侯爵だしこの位の物々しさは当たり前なのかもしれないな。
そう思ってジュリアンの顔を見上げると、ジュリアンもこちらを見つめていた。
「本当はシンを砦に連れて行きたくはないんだ。砦に行けば必ず出陣しなければならない。
シンを命のやりとりする様な場所に連れて行って、万が一の事があったらと思うと…。」
僕はジュリアンの僕を思う気持ちを嬉しく感じた。
「ジュリアンありがとうございます。でも僕もジュリアンに危険が迫ってる時にお側にいられない方がずっと苦しいと思います。だから砦にも、戦にも絶対連れていってくださいね。僕もお役に立てる様に精進します。
それに、砦についたら僕やってみたい事があるんです。」
ジュリアンは眉を持ち上げて僕に続きを促した。
僕は決意を胸に秘めてジュリアンを真っ直ぐに見つめて言った。
「僕は弓が使えます。でもそれではジュリアンの側でお守りするには足りないんです。
砦の戦でそのことをまざまざと思い知ったんです。
だから僕に剣を教えて下さい。…剣は弓ほどやった事があるわけではないのですけれど、少し心得はあります。そこに僕の力を乗せたら多少は使えるのではないでしょうか。
ダメならダメで良いんです。やるだけやらせて下さい、ジュリアン。」
ジュリアンはしばらく考え込んだ後、僕の膝の上に置いた握りしめた拳をそっと上から包んで言った。
「シンがそこまで決意が堅いならやってみても良いだろう。が、無理は禁物だ。倒れたら元も子もないからな。」
そう言うと僕の目を見つめて微笑んだんだ。
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