異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
75 / 127
二度目の砦生活

第二王子の寝所

なぜか早る気持ちで部屋に入ると、床に白の従騎士を転がしたまま、ケブラが待機していた。

「殿下、こやつは縛っておけば此処でなくとも宜しいかと。」

私は捕らえられた男の青ざめた横顔を見つめると言った。

「魔神の加護がこやつに効かないのだ。私の力の元でなければ逃げられてしまうやもしれん。大事を取って、ここで良い。ケブラ、お前は持ち場へ戻れ。戦はもう直ぐだ。」

そう言ってケブラを睨め付けると、ケブラは一瞬迷ったように従騎士を一瞥すると礼をとって出て行った。


入れ替わりで従者のハミットが入室して来た。

「ハミット、こやつの服を脱がし、ベッドへ転がせられるように綺麗にせよ。」

ハミットは私と白の従騎士を交互に見やった。そして口籠もりながら言った。

「…恐れながら、殿下の寝所に同衾させるのは危険と存じます。」

私は強張った顔のハミットを嘲笑うと、言った。


「何だ。嫉妬か?こやつは同衾するのでは無い。他の者では制御出来ぬゆえ、私が近くで見張るだけの事。
二度は言わぬ。言われた通りにせよ。…これを着せておけ。」

私は手元にあった、自分のローブをハミットに放った。ハミットはますます顔を顰めて、白の従騎士を抱え上げると浴場へ連れて行った。

私が酒を嗜んでいるうちに、私のローブを着せられた黒髪の男はベッドへ寝かせられた。
ぐずぐずしているハミットを下がらせると、ベッドに近付いてまじまじと男を眺めた。


髪の色も、肌の色も、顔の造作も、華奢な身体つきも全てがこの世界では見られないものだった。

指を伸ばして頬から首筋、胸へと撫で下ろすと、吸い付くような肌は柔らかくも引き締まった身体をみせていた。
艶めかしげな赤い唇はふっくらとしていて、指先を押し込むと柔らかで旨そうな舌を覗かせた。

私はハッとすると男の両手首を魔法で拘束して、湯浴みに行った。

湯船に浸かりながら、指先に触れた先程の赤い舌の柔らかさを何度も考えていた。異界の人間の味はどうであろうか。

あの筆頭参謀が大事に囲っているのだ。さぞかし旨いのだろう。私はほくそ笑むと、プレッシャーばかりの退屈な砦での毎日に、良い暇つぶしが出来たと喜んだ。


だが、今夜では無い。目を開けてなければ楽しめぬ。
私は寝所に戻ると、男の横に滑り込み、仄かに感じる男の甘い匂いを楽しみながら眠りについた。

隣で微かな動きを感じたのは、朝方だった。相変わらず夢見が悪かったが、今夜はまだマシだった。
見ると、白の従騎士はあんなに強い昏倒の魔法だったのにも関わらず、覚醒したようだ。私は男の背中に起きたのかと声を掛けた。


男は緊張した硬い声で言った。

「…貴方は、誰ですか。」


感想 62

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw

ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。 軽く説明 ★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。 ★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。