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元の世界
退院
僕はついに4人部屋へと昇格した。痛くて辛いリハビリも頑張ってこなした。僕は早く退院して、ジュリアンの居る世界へと戻る方法を探さないといけなかったんだ。
相変わらず清水先生は僕にちょっかいをかけに来ていて、看護師さんの間では僕たちは随分仲良しに思われているようだった。僕からみると、清水先生は僕が2年の間記憶が無いことを疑っている気がした。一度僕にこんなことを話したことある。
「医者ってのは観察が全てという一面があるんだよね。俺から見ると慎くんが何かを隠したがっている気がするんだ、でもそれは悪いことでも無いよ。慎くんが必要だと思うから隠してるんだろうし。でもその話を聞いたらきっと、色々な事が納得出来る気がしてね。俺のちょっとした好奇心だよ。」
その時僕は肯定も、否定もしなかった。でも退院の時に僕のIDを渡すくらいには気を許したんだと思う。だからってこんなにしょっちゅう連絡が来るとか、想定外だったけど。
退院してからの僕は、まだ万全でないと心配する両親に頼んで大学を春まで休学させてもらったり、高校の友人達が家に押しかけたりとなかなか忙しかった。
そろそろ傷も癒えたある日、僕は逸る気持ちを抑え込んで、母親に僕が怪我をして倒れていた場所に連れて行ってもらった。
それは自宅から車で30分掛かる母親の実家の神社だった。
僕は参道を歩いても身体に不具合がない事にホッとしながら、渋る母親の後をついて行った。
退院してから、僕は何度かこの場所に行きたいと頼んでいたのだが、何か言いたげな母親がなかなか首を縦に振らなかった。結局、神社近くに住む祖父母に顔を見せるついでという理由で、ようやく連れてきてもらったという訳だった。
神社の倉庫で見せてもらった僕の着ていた従騎士の衣装は、武具と合わせて綺麗にされて箱に仕舞われていた。
「本当は捨ててしまいたかったのだけど、慎も記憶が無いようだし、何か思い出すきっかけになるかと思って取っておいたのよ。完全には血が落ちなかったけれど、これでもかなり綺麗になったの。刺された場所はそのままだけど、この鎖帷子っていうの?これが無かったら、きっと慎は死んでたわ…。…慎、何か思い出した?」
僕は息をゆっくり吐くと、ジュリアンが誂えてくれた鎖帷子を撫でながら言った。
「…母さん、僕、本当は全部覚えてるんだ。」
相変わらず清水先生は僕にちょっかいをかけに来ていて、看護師さんの間では僕たちは随分仲良しに思われているようだった。僕からみると、清水先生は僕が2年の間記憶が無いことを疑っている気がした。一度僕にこんなことを話したことある。
「医者ってのは観察が全てという一面があるんだよね。俺から見ると慎くんが何かを隠したがっている気がするんだ、でもそれは悪いことでも無いよ。慎くんが必要だと思うから隠してるんだろうし。でもその話を聞いたらきっと、色々な事が納得出来る気がしてね。俺のちょっとした好奇心だよ。」
その時僕は肯定も、否定もしなかった。でも退院の時に僕のIDを渡すくらいには気を許したんだと思う。だからってこんなにしょっちゅう連絡が来るとか、想定外だったけど。
退院してからの僕は、まだ万全でないと心配する両親に頼んで大学を春まで休学させてもらったり、高校の友人達が家に押しかけたりとなかなか忙しかった。
そろそろ傷も癒えたある日、僕は逸る気持ちを抑え込んで、母親に僕が怪我をして倒れていた場所に連れて行ってもらった。
それは自宅から車で30分掛かる母親の実家の神社だった。
僕は参道を歩いても身体に不具合がない事にホッとしながら、渋る母親の後をついて行った。
退院してから、僕は何度かこの場所に行きたいと頼んでいたのだが、何か言いたげな母親がなかなか首を縦に振らなかった。結局、神社近くに住む祖父母に顔を見せるついでという理由で、ようやく連れてきてもらったという訳だった。
神社の倉庫で見せてもらった僕の着ていた従騎士の衣装は、武具と合わせて綺麗にされて箱に仕舞われていた。
「本当は捨ててしまいたかったのだけど、慎も記憶が無いようだし、何か思い出すきっかけになるかと思って取っておいたのよ。完全には血が落ちなかったけれど、これでもかなり綺麗になったの。刺された場所はそのままだけど、この鎖帷子っていうの?これが無かったら、きっと慎は死んでたわ…。…慎、何か思い出した?」
僕は息をゆっくり吐くと、ジュリアンが誂えてくれた鎖帷子を撫でながら言った。
「…母さん、僕、本当は全部覚えてるんだ。」
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