異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
100 / 127
元の世界

告白

実は全部記憶にあるんだと告白した時に、母親が息を呑むのが分かった。僕はゆっくり立ち上がると母親に向き直って言った。

「ねぇ、僕だけじゃ無かったんじゃない?神隠しに遭ったのって。」


実は僕は、大部屋に移って直ぐに見舞いに来た、母方の祖父に頼んで家系図のコピーを送ってもらうように頼んでいた。

そして、それとなく神社にまつわる言い伝えの類をよく知っているという氏子さんを紹介してもらっていた。病院内で僕はその氏子さんと何度か会って話をした。氏子さんは神社の家系である僕をひどく大事に思ってくれていて、一方で僕に起こった出来事と過去の言い伝えとの接点に興味を示していて、一緒に色々考えてくれたんだ。


病院に居る間に僕は一つの仮説を立てていた。母方の実家の神社にまつわる『神隠し』の言い伝えは事実だったんだって。


母親は僕を見つめるとがっくりと近くにあった椅子に座り込むと顔を覆った。

「…私のお爺さん、つまりあなたのひいお祖父さんに、何度も聞いた話があったの。お爺さんの弟さんがある日、目の前で忽然と消えたって。私はまだ子供だったから、お爺さんの嘘だと思いながら聞いてたのよ。…でも大人になって、父から『叔父さんは若い頃に突然居なくなった。神隠しにあったんだ。』って聞いて、本当の話だったんだって知ったの。

私はこれ以上身内の誰かが神隠しに遭わないようにしようと考えた…。それでお爺さんの弟さんがどんな時に神隠しにあったのかを調べたの。それがこんな事になるなんて…。あなたが居なくなったのは私のせいだったのよ。ごめんなさい、慎。」


僕は突然記憶が蘇った。僕がジュリアンの居る異世界へ飛ばされたあの日の事が、目の前にパタパタと映像がめくられるように浮かび上がってきた。

「…僕、確かあの時…蔵にあった冊子を読んでたんだ。あれが母さんがまとめたものだった?凄い興味深くて、僕は安易な気持ちで、一緒に置いてあった真っ白な丸いツルツルした石に手を置いて祝詞を3度唱えた。途端に僕は真っ白なモヤに包まれて。気づいたらジュリアンの家の温室に居たんだ。」

僕は自分の声が震えてるのがわかった。母さんは僕を見つめて言った。

「…慎、あなた泣いてるの…?」

僕は手のひらで零れ落ちる涙を拭うと言った。


「…母さん、ありがとう。僕が異世界でどんなに幸せだったか、言葉に出来ないけれど。僕がもう一度愛する人の側に帰れるかもしれないって分かって、嬉しくて涙が止まらないんだ。」
感想 62

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw

ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。 軽く説明 ★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。 ★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。