異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
108 / 127
再びの異世界

シンが消えた時

しおりを挟む
ルカに説明を頼まれたローディは、私にお茶を飲むように促すと、自分でもひと口飲んで話し出した。話はこうだった。

あの時周囲に居た兵士らに聴き取り調べてみると、消える直前にシンは、例の呪文を叫びながら私に迫っていた敵の精鋭へ剣を振りかざしてた。そしてほとんど相討ちの様なタイミングでシンも剣で射抜かれたのは間違いない。けれど、その飛び散ったシンの血を包み込む様に眩しい光とは違う真っ白なモヤの様なものが発生して、それにシンが覆われる様に消えてしまった様に見えたらしい。

私はハッとしてローディの顔を見た。


「私の屋敷にシンが現れた時によく似てるかもしれない…。シンが突然屋敷に現れた時も白いモヤに覆われていたんだ。」

ルカが私の目を見つめながら言った。

「ジュリアン、私はシンにシンの世界について何度か話を聞いた事がある。シンはお前には帰りたいと思われると困るからって元の世界のことを話さない様にしてたみたいだけどね。シンの話だと、こちらで致命傷だとしても助かる可能性はあちらの方が大きい。

シンに白い魔法の加護が強く効いてるとしたら、命の危機だったからこそ元の世界に引っ張られたんじゃないか?そう考えたらシンがここに居ないのはかえって良いことなのかもしれないよ。ここにいたなら、きっと命を落としていただろうから…。」


私はうなだれて手で顔を覆った。もう気丈に振る舞う気力も無かった。

「…ああ、そうかもしれない。シンが生きててくれるなら腕の中で命を落とすより、きっとマシだろう。」

私は少し朦朧とした意識の中で、多分ルカに連れられて自分の幕内まで戻った様だった。そこからは泥に埋もれる様な重く深い眠りに身を任せた。久々に訪れる眠りの中は静かで、暗くて、光は感じられないけれど、悲しみもなく、只々暗闇でゆっくりと心を休ませている、そんな感じだった。


私が眠ってしまってから幕内で交わされた団長達の話は、後でルカに聞かされた。

「あの時、ローディはお前のために特別に調合した薬草茶を飲ませたんだ。そうでもしなければ、お前はきっと倒れるまで眠ろうとしなかっただろうからな。団長はしばらくお前は王都へ帰るようにと命じる予定だと言ってたぞ。

そもそもシンが現れたのも王都の屋敷だったろう?…しかしなぜお前の前にシンは現れたんだろう。偶然か?それとも理由があるのか?まぁ、ともかく、私も母君がうるさいからな、一緒に王都に帰るつもりだ。」

そう言って、ルカは私にニヤリと笑った。肩に置いたルカの温かな手に、私はしばしの慰めを感じて感謝した。
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

異世界転生したと思ったら、悪役令嬢(男)だった

カイリ
BL
16年間公爵令息として何不自由ない生活を送ってきたヴィンセント。 ある日突然、前世の記憶がよみがえってきて、ここがゲームの世界であると知る。 俺、いつ死んだの?! 死んだことにも驚きが隠せないが、何より自分が転生してしまったのは悪役令嬢だった。 男なのに悪役令嬢ってどういうこと? 乙女げーのキャラクターが男女逆転してしまった世界の話です。 ゆっくり更新していく予定です。 設定等甘いかもしれませんがご容赦ください。

処理中です...