87 / 104
冬の次は春
二人きり?
しおりを挟む
キヨくんに母さんが家に居るのかと聞かれて、僕はビクリと肩を震わせた。キヨくんと約束した時は、両親が在宅予定だったけれど、急に親戚の法事が入って今夜は居ないんだ。
でもそんな事、キヨくんに言ってはいけない気がして、言えなかった。だって、まるで僕がキヨくんを誘っているみたいだから。僕は思わず言葉に詰まって黙り込んでしまった。するとキヨくんが僕の手をもう一度引っ張って尋ねた。
「玲?…どうした?」
僕は嘘をつくのが下手なので、慌ててキヨくんから離れようと視線を逸らしてベッドから降りようとした。するとどうやったのか、キヨくんが僕をベッドにひっくり返して押さえ込まれてしまった。
「何か隠してる?」
僕は真っ直ぐ僕を見つめるキヨくんの視線に耐えられずに、降参して呟いた。
「実は急に父さんの従兄弟が亡くなって、二人で地方に急遽お葬式に行ってる…。だから今夜は僕一人でお留守番になっちゃって。でも!別にキヨくんの邪魔したくないから、言わないつもりだったんだよ?」
するとキヨくんは急にギラついた眼差しで見つめると、僕に触れるキスをして起き上がった。僕は何だかホッとした様な、ガッカリした様な、何とも言えない気持ちになってキヨくんの後ろ姿を寝転がったまま見つめていた。
キヨくんは携帯を手に取ると、電話を掛けていた。
「ああ、俺。今夜、玲の家で勉強することにしたから。ああ、法事で居ないから。…そう。明日は午後からだから、昼前には戻る。じゃ、そういうことで。はい。」
僕はびっくりして起き上がった。え?キヨくん泊まってくの!?僕が目を見開いていると、キヨくんが振り返って僕にもう一度優しくキスして言った。
「モノじゃないクリスマスプレゼント、くれるんだろう?」
それからキヨくんと一緒に簡単な夜食を食べた。洗面所の鏡の前でキヨくんの歯ブラシを用意してると、キヨくんが後ろから抱き寄せて鏡越しに話しかけてきた。
「玲はお風呂入った?」
僕はまだこれからだと、チラッと目を合わせて答えた。キヨくんが僕の耳たぶを噛んで囁いた。
「俺が玲の後ろ綺麗にしたい。…させて?」
僕は何て答えていいのか分からなかったけれど、一方で自分でも上手くできる気がしなかったから僕はコクンと頷いた。ああ、鏡の中僕、顔が真っ赤だ!そして、そんな僕を見つめるキヨくんの顔は、見たこともない甘い表情を浮かべていた。
でもそんな事、キヨくんに言ってはいけない気がして、言えなかった。だって、まるで僕がキヨくんを誘っているみたいだから。僕は思わず言葉に詰まって黙り込んでしまった。するとキヨくんが僕の手をもう一度引っ張って尋ねた。
「玲?…どうした?」
僕は嘘をつくのが下手なので、慌ててキヨくんから離れようと視線を逸らしてベッドから降りようとした。するとどうやったのか、キヨくんが僕をベッドにひっくり返して押さえ込まれてしまった。
「何か隠してる?」
僕は真っ直ぐ僕を見つめるキヨくんの視線に耐えられずに、降参して呟いた。
「実は急に父さんの従兄弟が亡くなって、二人で地方に急遽お葬式に行ってる…。だから今夜は僕一人でお留守番になっちゃって。でも!別にキヨくんの邪魔したくないから、言わないつもりだったんだよ?」
するとキヨくんは急にギラついた眼差しで見つめると、僕に触れるキスをして起き上がった。僕は何だかホッとした様な、ガッカリした様な、何とも言えない気持ちになってキヨくんの後ろ姿を寝転がったまま見つめていた。
キヨくんは携帯を手に取ると、電話を掛けていた。
「ああ、俺。今夜、玲の家で勉強することにしたから。ああ、法事で居ないから。…そう。明日は午後からだから、昼前には戻る。じゃ、そういうことで。はい。」
僕はびっくりして起き上がった。え?キヨくん泊まってくの!?僕が目を見開いていると、キヨくんが振り返って僕にもう一度優しくキスして言った。
「モノじゃないクリスマスプレゼント、くれるんだろう?」
それからキヨくんと一緒に簡単な夜食を食べた。洗面所の鏡の前でキヨくんの歯ブラシを用意してると、キヨくんが後ろから抱き寄せて鏡越しに話しかけてきた。
「玲はお風呂入った?」
僕はまだこれからだと、チラッと目を合わせて答えた。キヨくんが僕の耳たぶを噛んで囁いた。
「俺が玲の後ろ綺麗にしたい。…させて?」
僕は何て答えていいのか分からなかったけれど、一方で自分でも上手くできる気がしなかったから僕はコクンと頷いた。ああ、鏡の中僕、顔が真っ赤だ!そして、そんな僕を見つめるキヨくんの顔は、見たこともない甘い表情を浮かべていた。
15
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
「イケメン滅びろ」って呪ったら
竜也りく
BL
うわー……。
廊下の向こうから我が校きってのイケメン佐々木が、女どもを引き連れてこっちに向かって歩いてくるのを発見し、オレは心の中で盛大にため息をついた。大名行列かよ。
「チッ、イケメン滅びろ」
つい口からそんな言葉が転がり出た瞬間。
「うわっ!?」
腕をグイッと後ろに引っ張られたかと思ったら、暗がりに引きずり込まれ、目の前で扉が閉まった。
--------
腹黒系イケメン攻×ちょっとだけお人好しなフツメン受
※毎回2000文字程度
※『小説家になろう』でも掲載しています
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!
汀
BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
蒼い炎
海棠 楓
BL
誰からも好かれる優等生・深海真司と、顔はいいけど性格は最悪の緋砂晃司とは、幼馴染。
しかし、いつしか真司は晃司にそれ以上の感情を持ち始め、自分自身戸惑う。
思いきって気持ちを打ち明けると晃司はあっさりとその気持ちにこたえ2人は愛し合うが、 そのうち晃司は真司の愛を重荷に思い始める。とうとう晃司は真司の愛から逃げ出し、晃司のためにすべてを捨てた真司に残されたものは何もなかった。
男子校に入った真司はまたもクラスメートに恋をするが、今度は徹底的に拒絶されてしまった。 思い余って病弱な体で家を出た真司を救ってくれた美青年に囲われ、彼が働く男性向けホストクラブ に置いてもらうことになり、いろいろな人と出会い、いろいろな経験をするが、結局真司は 晃司への想いを断ち切れていなかった…。
表紙:葉月めいこ様
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる