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学院生活
父様に会う
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シドが妙に暗い表情で馬車を降りるので、僕は不思議に思って尋ねた。
「どうかした?何か問題でも?」
するとジト目で僕を見つめてシドは言った。
「これから辺境伯にお会いするのに、いきなり不穏な話をしなくちゃいけない俺の気持ちも考えてくれよ。」
僕は眉を上げて言い放った。
「ああ、昨日の夜の話?別に誰か間違えてノックしたとかじゃないの?僕はシドじゃなければ鍵を開けないんだから、父様にシドが報告しなくちゃならない事なんてなかったって事だよ。シド、真面目過ぎでしょ。」
結局昨日のノックを誰がしたのかは分からずじまいだった。シドは部屋から出なかったと言うし、僕も扉を開けずに息を潜めていたんだから。どう考えても入りたての新入生が間違えた様にしか思えなくなった。
シドはまだブツブツ言っていたけれど、僕はそんな事よりも気掛かりなことがあった。それはオリバー兄様が待っているんじゃないかなって事だ。
元々オリバー兄様は、僕が男の子っぽく振る舞うことに我慢がならない風だったし、父様の承諾があるとはいえ、こんな風に男装して寮生になるなんて知ったら何を言われるか想像もしたく無かった。
王都の屋敷の執事に迎えられて僕の騎士服をまじまじと見つめられた僕は、少し苦笑して尋ねた。
「バルトン、似合わないかな。」
するとバルトンは顔を綻ばして言った。
「アルベルト様、ようこそいらっしゃいました。このバルトン、首を長くしてお待ち申し上げておりました。アンドレア様にお会い出来なかったのは残念ですが、アルベルト様は誠に凛々しく気高い騎士様にお見えになります。シド様もようこそいらっしゃいましたね。お父上の子爵にますます似てきましたね。さぁ、こちらです。」
僕とシドはバルトンに連れられて応接室へと向かった。そこには父様となんと三兄弟が揃って待っていた。僕の嬉しい驚きの一方で、シドは明らかに緊張した様子で、僕は思わず大丈夫だとシドの肩を叩いた。
「アルベルト、よく訪ねてくれたね。シドも、一緒に来てくれてありがとう。」
そう父様が声を掛けたのを皮切りに僕たちは和やかに挨拶をした。僕は思わず父様や兄様たちに抱きついたけれど、ふと姿勢を正して言った。
「アルベルトにとっては兄様たちは縁戚でしたね。もう少し距離を置かないといけなかったですね。」
するとシモン兄様がにっこり笑って言った。
「ここでは私たちの可愛い妹のアンドレア、いや、アルで大丈夫だよ。しばらく見ないうちに、随分顔つきが変わったね。昔の可愛らしいアンドレアを知っているとまるで別人だ。完璧な男装だよ。」
すると今年23歳になるオリバー兄様が難しい顔をして一歩前に出て言った。
「私はこの戦略がどこまで通用するか疑問を感じてる。たとえアンドレアには見えなくても、いずれ女だと発覚するかもしれない。いくらシドが側に居たとしてもだ。何か他に手を打った方が良いのではないですか、父上。」
「どうかした?何か問題でも?」
するとジト目で僕を見つめてシドは言った。
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僕は眉を上げて言い放った。
「ああ、昨日の夜の話?別に誰か間違えてノックしたとかじゃないの?僕はシドじゃなければ鍵を開けないんだから、父様にシドが報告しなくちゃならない事なんてなかったって事だよ。シド、真面目過ぎでしょ。」
結局昨日のノックを誰がしたのかは分からずじまいだった。シドは部屋から出なかったと言うし、僕も扉を開けずに息を潜めていたんだから。どう考えても入りたての新入生が間違えた様にしか思えなくなった。
シドはまだブツブツ言っていたけれど、僕はそんな事よりも気掛かりなことがあった。それはオリバー兄様が待っているんじゃないかなって事だ。
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するとバルトンは顔を綻ばして言った。
「アルベルト様、ようこそいらっしゃいました。このバルトン、首を長くしてお待ち申し上げておりました。アンドレア様にお会い出来なかったのは残念ですが、アルベルト様は誠に凛々しく気高い騎士様にお見えになります。シド様もようこそいらっしゃいましたね。お父上の子爵にますます似てきましたね。さぁ、こちらです。」
僕とシドはバルトンに連れられて応接室へと向かった。そこには父様となんと三兄弟が揃って待っていた。僕の嬉しい驚きの一方で、シドは明らかに緊張した様子で、僕は思わず大丈夫だとシドの肩を叩いた。
「アルベルト、よく訪ねてくれたね。シドも、一緒に来てくれてありがとう。」
そう父様が声を掛けたのを皮切りに僕たちは和やかに挨拶をした。僕は思わず父様や兄様たちに抱きついたけれど、ふと姿勢を正して言った。
「アルベルトにとっては兄様たちは縁戚でしたね。もう少し距離を置かないといけなかったですね。」
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