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僕はパンダ族

見慣れぬ場所

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「イタタ…。」

僕は腰をさすりながら、足元の草っ原に違和感を覚えた。あれ?通学路にこんなだだっ広い草地なんてあったかな…。いやいや、それどころじゃない。僕今、トラックに自転車でぶつかったよね⁉︎

僕は周囲をキョロキョロ見回した。乗っていたはずの僕の愛車のママチャリはどこにも無かった。というか、ここは明らかに通学路ではない場所だ。僕はゆっくり立ち上がった。さっきの衝撃からすると、どこか怪我をしていてもおかしくない。


取り敢えず立つのは大丈夫そうだ。恐る恐る歩いてみると、少々腰が痛むが手足に怪我はしてないようだ。多分腰をぶつけたのかもしれない。流石に見知らぬ屋外でズボンを下ろして、腰の怪我の確認をするのはためらわれた。わいせつ罪で捕まりたくはない。

それより此処がどこなのか確認するのが先だ。僕は周囲をやっぱりキョロキョロしながら歩き始めた。通学鞄は周囲を探してみても、この草地には転がっていなかった。多分自転車のある場所に一緒にあるんだろう。


あの中にスマホも、財布も入ってたのに…。僕は心細い思いで草地を歩いて行った。気がつけば目の前に車ニ台くらい通れる広い道に突き当たった。後ろを振り返ると、僕はなだらかな丘の上からやってきたみたいだ。

僕は乾いた道に、浅いわだちが有るのに気がついて、誰か此処を通り掛かってくれたらヒッチハイクするしかないと考えていた。この道を下ったはるか先に、街らしき景色が見えて来たからだ。


取り敢えず、トラックにぶつかってこんな場所に放り出された事とか、色々考えるのは極力やめて目の前の現実を乗り越えようと思ったんだ。考えたら負けだ。もしかして異世界転移だとか…。

そんな僕の願いが叶ったのか、後ろからガタゴトと音を立てて何かが近づいてくるのに気がついた。耳慣れない音に僕はハッとして、道路の端っこに立つとその動く乗り物が近づくのを待った。


目の前に迫ってくる馬車もどきは馬ではない何か、…多分トカゲとかそっち系の大きな生き物の二頭立ての乗り物だった。僕はそれを見た瞬間、今まで読んだライトノベルが頭をよぎった。

逃げ出すにはもう遅く、その馬車もどきは僕の手前で手を上げて止めてないのに、停まってしまった。…トカゲ怖い。そして僕の目の前に、どこに居たのか単体のトカゲに乗ったイカつい兄貴がやってきて、ドサリと地面に降り立って俺を見下ろした。


わー、僕、おわった?




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