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王立学園

最近の僕の考え事

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僕に微笑むのは、栗色の長い髪を美しく背中まで垂らしたローズさんだ。まつ毛も音がしそうなほど長いローズさんは、きっととてもモテるんだろう。美しい女性だ。

頭上の耳がパタパタと忙しなく動く様子にどこか見覚えがあったので、僕はローズさんが何の種族か予想できた。彼女は多分言うなればサラブレッド系の馬族で、だからなのかスタイルがとっても良い。


お胸も凄いインパクトなので、年頃の僕は目のやり場に困ってしまう。でもドキドキしないのは家に姉達がうじゃうじゃいて、下手すれば下着姿でうろついているのが当たり前だった環境で育っているからなのか…。

でも僕はローズさんと接して直ぐに、以前伯爵に言われた言葉を思い出した。

『この世界の女性たちはマモルには分が悪い気がする。』

王立学園へ入学する前に伯爵が唐突に僕に言った言葉、その意味を僕はじわじわと日々感じ始めていた。


ローズさんは身長が180cmほどで、美しい筋肉質な手足はオリンピックの選手みたい…。とてもじゃないけど、僕なんて恋愛対象にしてもらえない気がする。

そもそも、僕サイズの大人の獣人を見かけないんだから。あ、僕人間だった。いかんいかん、つい自分のことパンダ獣人だって自己暗示に掛かってしまって…。


しかも、学園でも女の子達は成長期と言えども、ローズさんみたいに身体的に僕より逞しくて…。僕自身は可愛いと女子の間でも噂される一方、ロービン達の過保護誘発の原因として、一部には敵視されてるんだ。ああ、辛い。

まぁ、元からうちの姉達に揉まれて育った僕としては、どんなに綺麗で可愛い女の子でも、イマイチ信用できないと思ってしまう。だからって男⁉︎

そう、最近僕は自分の性癖の方向性にも迷いを感じているんだ。


僕に合いそうな女の子が存在しない。辛い。
僕は男にモテてる気がする。辛い。
ロービンにキスされたとき、嫌じゃなかった。むしろ感じた…?辛い。現実が辛すぎる…。

そもそも、今まで恋もしたことが無いし、誰とも付き合ったことも無いんだ。好きになったらその人の性別なんて二の次なのだろうか?


「マモル?気分でも悪いの?大丈夫?」

ローズさんが優しい声で僕に声を掛けてくれた。ああ、バイト中なのに全然関係ない事を考えるなんて、ダメだなぁ。

「大丈夫です。今日は何を登録しましょうか?」

僕は頭を切り替えてにっこり微笑むとローズさんに尋ねた。
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