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僕の足元の沼地

秘密の会談

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「そんな事になったとは。皇太子も中々抜け目がない。…マモル、手紙でリチャードに食事をご馳走になると連絡があったが、その、それはどうだったのかな。」

僕は伯爵がやっぱりリチャードの事を随分気にしてると思った。

「伯爵、伯爵はどうしてそうやってリチャードの事を気になさってるんですか?前から思ってたんですけど、伯爵はリチャードに甘いですよね…。


リチャードも皇太子の事をどう思ったか聞いて来たんですけど、僕、はっきり言ったんです。僕この国の獣人とは結婚出来ないかもしれないって。

だって僕は人間で、この国の人にとっては竜と同じくらいの幻の生き物ですよ。恋とか、結婚とか、望んでもそもそも出来るんでしょうか?まして王族は獣人同士、でしょう?

あ、そう言えば、夏の夜でリチャードそっくりの第二王子を遠目ですけど見たんです。リチャード自身はその場に居なかったって話でしたけど。てっきり影武者かと思いました。ふふ。」


伯爵は最近ではすっかり見慣れた、頭を抱えるポージングでしばらく固まってしまった。僕は久しぶりの大きくなったロクシーとの団欒に、ロクシーの目を覗き込んで言った。

「ロクシー、これ以上君が大きくなったらこの温室でも遊ぶのは無理かもしれないね。いっそ森にでも出掛けようか?でもそうなると僕一人じゃ心許ないよね…。

そっか、リチャードはロクシーが竜だって知ってるね。一緒に付き合ってもらおうか?」


ロクシーは目を細めて僕が首筋をゆっくり撫でるのを気持ち良さげにしながら、ギュイと鳴いた。鳴き声まで、ダミ声になりつつある…。

ロクシーは成長するに連れて、青銅色の鱗のキラキラが増えていく様な気がする。あの城の前に降り立った竜が完成形とするならば、ロクシーも金色の竜になるんだろうか。


「ロクシー、君と僕は幻同士。死ぬまで仲良くしようね。」

僕のそんな呟きを聞いたのか、伯爵は考え込んでいた顔を上げて僕を見つめて言った。

「…順当に行けば、私の方が早く死ぬのは自然の摂理だ。マモルを一生保護していけるはずもないのだから、マモルが人間だという事を知る獣人が必要だな…。

マモルが信頼のおける相手を探さなければいけない。…マモルは獣人と結婚出来ないんじゃないかと言ったけれど、マモルはその、誰かと性的接触はした経験はあるかい?」



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