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僕の友達

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結局、皇太子とリチャード殿下が王立学園に来て、僕と仲良さげにしたおかげで、僕の事をあからさまに敵視する学生は居なくなった。そもそも獣人と人間とは立場が違うと思ったようだ。

僕としては、獣人に色々劣る自分が、下駄を履かせてもらってラッキーという感じだ。ただ、普通の生活は送れそうもないけど…。


こうなると、ロービンとアーチストが頼りなんだ。彼らはどうして僕が人間と判っても、変わらず側に居てくれるのだろうか。部屋に二人を招待した僕は、思い切ってその事を尋ねてみた。

「二人は僕が人間だと判っても、変わらずに接してくれるよね?どうしてなの?」

するとアーチストがニヤニヤ笑って言った。



「それをマモルが聞くのか?出会った最初から、マモルは私たちを驚かせてばかりだったじゃないか。あっという間にトカゲを手懐けて、その上怪生物ヌルトンに殺されそうになったり?真珠産業で国を豊かにしたり。

極め付けはロクシーをペットにして。言っとくけど、ロクシーもそんななりだけど、伝承の幻の生物には違わないんだぞ?まったくマモルは全然解ってないんだから。」


そう言って面白そうに、目を見開いた。僕は腕の中のロクシーを撫でながら、確かにロクシーも幻の竜だっけと今更ながら思い出した。僕にとってはロクシーは可愛い相棒だ。

僕はロクシーを持ち上げると、キラキラする丸い瞳をじっと見つめた。

「…あれ?僕、ロクシーと同じ眼をした男の子を見た事があるかも…。」

するとロクシーは聞いたことのない大きな声で吠えた。


「ギョーイ!」

そして部屋中を翼を広げてバサバサと飛び回った。僕はロクシーがあまりにも興奮状態なのにびっくりしてロクシーに呼び掛けた。

「ロクシー!どうしたって言うのさ。何かあったの?」

するとロクシーはバサリと僕の膝に上に降り立って、首を傾げていつもの様にギュイと鳴いた。そして僕の首にスリスリと顔を押しつけて甘えてきた。

僕はクスクス笑ってロクシーをくすぐって遊んだ。その時ロービンたちが、僕たちを見つめながら目配せあっていた事には気付かなかった。


その時、僕に彼らが気づいた事を話してくれていたら、僕にも心の準備が出来たのだ。でも僕も、彼らもまさかそんな事になるなんて、予想もつかなかったのだからしょうがないよね?

そして話してくれていたとしても、どうしようもなかった。僕たちには竜の情報が無さすぎたんだ。



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