201 / 343
家出
究極の選択
『ふははは、竜にとっての大事は、その人間か!さて、人間。我は一角獣とも、お前の言ったユニコーンとも呼ばれるものなり。時には神獣とも言われたが、そは仮の名前であり、仮の姿なり。
真名こそ、我の本質であり、この身を支配するものぞ。…人間と契約するのは随分久しぶりだ。そちが処女であるから契約は他易いがな。さぁ、手を伸ばして我の角に触れよ。契約者に相応しければ、そちの身に脅威はない。』
僕はパステルカラーのイラストに描かれるユニコーンとはまるで違う、猛々しい、そして神々しいユニコーンを目の前に、ひとつも聞き漏らさないように緊張していた。
真名だとか、契約だとかもうキャパオーバーにも程があったけれど、僕の危機管理能力はよく仕事をしてくれた。僕の耳は大事な事を拾い上げていた。
「あの、ユニコーンさん。ひとつお聞きしてもよろしいですか?もし僕が契約者に相応しくなければ、僕は角に触れた後どうなるんでしょうか。」
するとユニコーンは僕の隣のロクシーが聞いたことのない低い声でギュイと威嚇するように鳴くのを、面白そうに眺めながら僕に言った。
『さて、どうなるだろうな。手足がもげてしまうか、心の臓が破裂するか…。ただ竜の見初めた人間がそうなってしまうなら、それは竜の手落ちでもある。
竜の人間だからこそ、我はここに呼び出されたのだしな。それはさておき、人間、そちが契約せねば、もう直ぐやってくる獣人共の命は無いぞ。
私も手ぶらでは戻れないのでな。私を呼び出した者が契約するか、血の代償を払うか、そのどちらかしか清算は出来ぬ。それは竜も知っているはずだ。さぁ、時間はないぞ。獣人どもは、もう直ぐここに辿り着くであろうからな。』
僕は、僕の背丈ほどに大きくなったロクシーにぎゅっと抱きつくと、琥珀色の瞳を覗き込んだ。心配そうに小さな声で鳴くけれど、ユニコーンに立ち向かっていかないと言うことは、僕が契約する以外に道がないと言うことなのだろうか。
涙目の僕の顔をペロリと何度か舐めたロクシーは、僕を包んでいた薄い柔らかなキラキラする膜の翼をそっと広げて、僕をユニコーンへと押し出した。
かなりの数の、多分騎士である獣人たちの姿はまだ遠いけれど、見えるようになっていた。もしかするとリチャードもそこに同行しているかもしれない。
急がなければ、このユニコーンは彼らを殺すだろう。青い目には慈悲を感じなかった。そこには深淵の海の底の様なものを感じるばかりだった。
僕は覚悟を決めて、一歩づつ前へ出ると緊張して震える指先をユニコーンの角に伸ばした。ああ、神様、手足がもげるのだけは勘弁して下さい!
真名こそ、我の本質であり、この身を支配するものぞ。…人間と契約するのは随分久しぶりだ。そちが処女であるから契約は他易いがな。さぁ、手を伸ばして我の角に触れよ。契約者に相応しければ、そちの身に脅威はない。』
僕はパステルカラーのイラストに描かれるユニコーンとはまるで違う、猛々しい、そして神々しいユニコーンを目の前に、ひとつも聞き漏らさないように緊張していた。
真名だとか、契約だとかもうキャパオーバーにも程があったけれど、僕の危機管理能力はよく仕事をしてくれた。僕の耳は大事な事を拾い上げていた。
「あの、ユニコーンさん。ひとつお聞きしてもよろしいですか?もし僕が契約者に相応しくなければ、僕は角に触れた後どうなるんでしょうか。」
するとユニコーンは僕の隣のロクシーが聞いたことのない低い声でギュイと威嚇するように鳴くのを、面白そうに眺めながら僕に言った。
『さて、どうなるだろうな。手足がもげてしまうか、心の臓が破裂するか…。ただ竜の見初めた人間がそうなってしまうなら、それは竜の手落ちでもある。
竜の人間だからこそ、我はここに呼び出されたのだしな。それはさておき、人間、そちが契約せねば、もう直ぐやってくる獣人共の命は無いぞ。
私も手ぶらでは戻れないのでな。私を呼び出した者が契約するか、血の代償を払うか、そのどちらかしか清算は出来ぬ。それは竜も知っているはずだ。さぁ、時間はないぞ。獣人どもは、もう直ぐここに辿り着くであろうからな。』
僕は、僕の背丈ほどに大きくなったロクシーにぎゅっと抱きつくと、琥珀色の瞳を覗き込んだ。心配そうに小さな声で鳴くけれど、ユニコーンに立ち向かっていかないと言うことは、僕が契約する以外に道がないと言うことなのだろうか。
涙目の僕の顔をペロリと何度か舐めたロクシーは、僕を包んでいた薄い柔らかなキラキラする膜の翼をそっと広げて、僕をユニコーンへと押し出した。
かなりの数の、多分騎士である獣人たちの姿はまだ遠いけれど、見えるようになっていた。もしかするとリチャードもそこに同行しているかもしれない。
急がなければ、このユニコーンは彼らを殺すだろう。青い目には慈悲を感じなかった。そこには深淵の海の底の様なものを感じるばかりだった。
僕は覚悟を決めて、一歩づつ前へ出ると緊張して震える指先をユニコーンの角に伸ばした。ああ、神様、手足がもげるのだけは勘弁して下さい!
あなたにおすすめの小説
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
【完結/番外編準備中】
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
----------
追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
完結しましたが回収しきれていないエピソードが私の中でいくつかあるので笑、後日番外編をアップしたいなと現在準備中です。
詳しい更新日まだ未定ですが、もしよろしかったらゼヒまた覗いてやってくださいねー!
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜
なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。
藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!?
「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」
……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。
スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。
それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。
チート×獣耳×ほの甘BL。
転生先、意外と住み心地いいかもしれない。