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戻りまして候
思わぬ人との再会
「マモル、ディック先生の執務室に来てくれだって。食事を一緒にしようって。」
そう、アーチストが僕に伝言を伝えて来たのは、昼休みの前だった。僕は首を傾げたけれど、僕が居なかった間ディック先生の講義を受けられなかったから、その事だと思って席を立った。
学校に復帰してから、まるで僕の影のように付き従っているロービンは、僕の手を握りしめて言った。
「先生の部屋まで送っていくよ。」
僕はロービンがこうして過保護になっている理由も、少し不安を感じている事も良く理解していたけれど、さすがに過保護すぎてゲンナリしていた。
僕はロービンの唇に自分の唇を合わせると、にっこり笑って囁いた。
「ロービン、僕は大丈夫だから。心配ありがとう。」
ロービンはまだ何か言いたげだったけれど、それ以上何も言わなかった。アーチストは肩をすくめて僕とロービンを見ていたけれど、ロービンを昼食へと連れていった。
僕は踵を返して、生徒たちが居ない教務室の並ぶ廊下を一人歩いて行った。ディック先生も今回の事は随分心配してくれたに違いない。僕は執務室の重厚な扉をノックした。
直ぐに顔を出したディック先生は、僕の顔をにこやかに見つめると元気そうで安心したと早口で一方的に捲し立てると、急な所用が出来たので部屋に入って待っていてくれと慌ただしく出て行った。
僕は首を傾げて、言われた通りに部屋の中へ入ると、扉の傍らに立っていたのは皇太子だった。
「…マモル。」
皇太子は僕を食い入るように見つめると、部屋の鍵を掛けて、僕の手を引いて部屋の奥のソファへと連れて行った。ティーテーブルには美しい軽食がこれでもかと並べられていた。
しかし僕がその軽食をよく見る前に、皇太子にぎゅっと抱きしめられていたんだ。
「マモル…!会いたかった…。私はマモルのためとは言え、皇太子としてすべき事を成してしまった。マモルがその事をどう感じているのか聞くのは怖い。
けれどもこうして会ったからには、その話は避けては通れないだろう?…済まなかった…。」
僕は耳元で少し掠れた声で囁く皇太子の声を聞いているうちに、何だかムカムカしてきた。僕は皇太子の胸を突き放すと胸に人差し指を突き立てて言った。
「アスラン、僕怒ってます。本当に。ムカついてるんだ、アスランに!」
そう、アーチストが僕に伝言を伝えて来たのは、昼休みの前だった。僕は首を傾げたけれど、僕が居なかった間ディック先生の講義を受けられなかったから、その事だと思って席を立った。
学校に復帰してから、まるで僕の影のように付き従っているロービンは、僕の手を握りしめて言った。
「先生の部屋まで送っていくよ。」
僕はロービンがこうして過保護になっている理由も、少し不安を感じている事も良く理解していたけれど、さすがに過保護すぎてゲンナリしていた。
僕はロービンの唇に自分の唇を合わせると、にっこり笑って囁いた。
「ロービン、僕は大丈夫だから。心配ありがとう。」
ロービンはまだ何か言いたげだったけれど、それ以上何も言わなかった。アーチストは肩をすくめて僕とロービンを見ていたけれど、ロービンを昼食へと連れていった。
僕は踵を返して、生徒たちが居ない教務室の並ぶ廊下を一人歩いて行った。ディック先生も今回の事は随分心配してくれたに違いない。僕は執務室の重厚な扉をノックした。
直ぐに顔を出したディック先生は、僕の顔をにこやかに見つめると元気そうで安心したと早口で一方的に捲し立てると、急な所用が出来たので部屋に入って待っていてくれと慌ただしく出て行った。
僕は首を傾げて、言われた通りに部屋の中へ入ると、扉の傍らに立っていたのは皇太子だった。
「…マモル。」
皇太子は僕を食い入るように見つめると、部屋の鍵を掛けて、僕の手を引いて部屋の奥のソファへと連れて行った。ティーテーブルには美しい軽食がこれでもかと並べられていた。
しかし僕がその軽食をよく見る前に、皇太子にぎゅっと抱きしめられていたんだ。
「マモル…!会いたかった…。私はマモルのためとは言え、皇太子としてすべき事を成してしまった。マモルがその事をどう感じているのか聞くのは怖い。
けれどもこうして会ったからには、その話は避けては通れないだろう?…済まなかった…。」
僕は耳元で少し掠れた声で囁く皇太子の声を聞いているうちに、何だかムカムカしてきた。僕は皇太子の胸を突き放すと胸に人差し指を突き立てて言った。
「アスラン、僕怒ってます。本当に。ムカついてるんだ、アスランに!」
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