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学校生活の楽しみ

篤哉side惚気

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「何だ、ぼんやりして。」

俺の頭に本の角を使ってチョップをする様な奴は、一人しか居ない。俺は痛む頭を手で押さえながら恨みがましい目でそいつを見上げた。

「う…。涼介、マジそれやめろよ。見かけより本気で痛いんだから。」

涼介は日本人離れしたエキゾチックな顔をニヤリと歪めると、俺の前に座って言った。


「悪い、悪い。つい可愛い理玖がお前の餌食になってると思うと、力が入っちまった。」

俺は、理玖の名前を聞くと直ぐに怒りが消えて、うっとりと昨日の可愛い理玖を思い起こした。

「いや、全然。どっちかというと、俺の方が理玖に翻弄されてるっていうか…。はぁ、マジ可愛すぎなんだよ。」

涼兄の目が埴輪の様になって、お前の前で理玖の名前を出したのは失敗だったとぐちぐち何か言っていた。そんな俺たちのカフェテーブルにもう二人が近づいて来た。ああ、これで理玖との妄想の時間は終わりだな。俺は諦めて、悪友たちを眺めた。


少し細身ながらも筋肉も感じる涼介は、三好家の父親のエキゾチックなDNAをすっかりコピーしたかの様だった。彫りの深いラテン系のハーフと言われても信じられる涼介は、その甘い美貌に反して性格が悪い。が、その両方を活かして高校では生徒会長で生徒たちを牛耳っていたのだから、何が幸いするかわからない。

「相変わらずお前ら、いちゃついてんな。」

そう言いながら、ドカリと椅子に座ったのは真鍋壱太。ボート部所属の万年日焼けしてる男だ。まだ、肌寒い日が続いてるのに、こいつは筋肉を見せつける様なTシャツだ。髪も明るい茶色に色が抜けてる。


「いちゃついてる訳じゃない。俺がブラコンの涼介に痛めつけられてただけだ。」

俺がそう口を尖らせて文句を言うと、最後にやってきた1番ガタイの良い虻川蓮が柔らかく微笑んで、涼介の肩を叩いた。

「お前もそろそろ弟を手放してやれよ。」

涼介はチラッと蓮を見ると、肩をすくめて言った。

「だって、うちの可愛い弟はまだ中3なんだぜ?ヒートも始まってないのに、こいつに貪られるの黙って見てられないって。」

壱太はニヤつきながら俺に尋ねた。


「例の10ヶ条、まだ守ってんの?あれ馬鹿みたいに厳しかったけど。お前が高1まで色々やらかしてたのって、あれ見越してたんだと思うと感慨深いよ、ふ、ふふ。」

俺はじっとりと壱太を見つめながら言った。

「お前みたいに、昔も今も手当たり次第のやつに言われたくないし。俺はアレがあったから、今理玖が1番だってよく分かるんだから。じっくり待ってるのも本当楽しいっていうか、最高っていうか。」


俺の惚気にまた始まったとでもいう様に、皆の顔が埴輪になったのを感じた俺は咳払いすると蓮と壱太を見て尋ねた。

「俺の話は良いんだよ。それより何か話があったんじゃないのか?」

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