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遅れてきた初恋

目まぐるしい変化

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俺たちは高三になって、俺の目指したように生徒会執行部になった。勿論俺が会長だ。他の会長候補の弱みを握って軽く脅したとは言わないが、それに近いことはしたかもしれない。うん、記憶がない。


副会長は蓮だ。実力はあるのに覇気のないやつだった蓮は、去年から急に色々と目覚ましい進化を遂げた。成績も俺を抜くこともあるくらいだし、妙に周囲にも目配りする様になった。

大人になったのか?って俺が揶揄うと、あいつは俺をじっと見て、もう出遅れるのは懲り懲りなんだと呟いた。俺には何のことだか分からないけど、まぁあいつも色々あったんだろう。


壱太は相変わらずの遊び人だが、最近は少々相手を選んでるみたいだ。壱太には口煩いひとつ上の幼馴染がいて、その女が時々壱太に説教しにくる。

普段の壱太なら強気でいなしてしまうのだが、幼馴染に弱みでも握られているのか言い合ってばかりだ。案外仲良いんじゃないのか?


篤哉は相変わらずの溺愛ぶりで、理玖、理玖とうるさい。理玖はまだヒートも来てないのに、篤哉にいいように貪られてると思うと癪に触るんだ。もっとも篤哉は、兄貴の作った約束10か条を真面目に守ってるみたいだけどな。

俺は案外理玖の方が、弾けて篤哉を困らせるんじゃ無いかって思ってる。やっぱり、理玖もあんな風で三好家の人間だから。マイペースで、我が強いのは俺たちと一緒なんだ。


俺はスマホを眺めながら、ぼうっとしてたみたいだ。後ろから髪を触られて見上げると蓮がいた。

「会長、どうした?ぼぅっとして。生徒会の疲れが溜まってるのか?いつもの様にマッサージしてやろうか。」

俺は首筋を蓮に見せながら、大きな手で首や頭、肩周りを揉みほぐす蓮に身を委ねた。生徒会室で時間を過ごす事が増えて、俺たちは前よりも一緒にいる事が増えた。


葵も卒業して付属の大学へは進学したものの、高校と大学ではカリキュラムが違う以上、中々時間が合わなくて一週間会わないこともざらだった。

俺は前回会った時の葵の顔を思い出していた。葵は何となくいつもと違った雰囲気で、俺たちは些細なことで口喧嘩したんだ。いつもなら折れてくれる葵が、その時ばかりは我を張っていた。


俺は謝ることも出来ずに、先に部屋を出て来てしまったけれど、それ以来連絡がない。俺は深いため息をつくと、言うともなしに言った。

「やっぱり、環境が変わると人の気持ちも変わるのかな…。」




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