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シーソータイム

変わらぬ日々はやってくる

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「よお、早いな。お前、生徒会の引き継ぎは終わったのか?」

そう言ってドカリと目の前の椅子に座る壱太を見つめて、俺は片眉を上げた。

「ああ、まぁほぼほぼって感じか?お前は学部決めたのか?文系だから経営とか?」

壱太はクシャクシャと明るい茶髪の短い髪を掻いて、渋い表情で言った。


「あー、どうかな。うちは飲食チェーンだろう?ありきたりに経営勉強するより、もうちょっとマーケティングとかの方が面白そうかな。だから、商学部とかになるかなぁ。」

俺は壱太にしては真面目に将来を考えてる事に少しニヤつきながら、答えた。

「お前もアルファの跡継ぎっぽいこと言うじゃん。良いんじゃ無い?お前は飲食チェーン向いてるよ。社交的で華やかだから。俺なんかどうにでもなる次男で、道が決まってないから反対に迷いが多くて面倒なくらいだよ。」


俺たちがそんな話をしていると、篤哉と蓮が連れ立ってこちらに向かって来た。俺が蓮と目を合わせると、蓮はふっと柔らかく微笑んで俺の背中に手を触れてから、隣の椅子に腰掛けた。

そんな俺たちに気づかないふりで、壱太と篤哉は何やら馬鹿げたことを言い合って笑っていた。俺はこの二人にいつまでもそんな態度を取らせるのも申し訳無くて、チラッと蓮の方を見つめてからカフェテーブルに肘をついて身を乗り出した。


「なぁ、お前達に話しておこうと思って。俺たちちゃんと付き合ってるから、今みたいに見ないふりしなくていいぜ。」

俺がそう言うと、蓮は少し目を見開いて俺を見た。ちょっと顔が赤らんでるのか?こいつ。

壱太と篤哉は二人で目を合わせると、俺たちを交互に見て、篤哉が言った。

「そっか。そうかなとは思ってたんだけど、お前達が俺たちに言うまでは知らんぷりしようって壱太と話してたんだ。ま、あれだ。特に変わらないよな?俺たちの場合。」


そう言う篤哉に、蓮がニヤッと笑って言った。

「そうかな?…公になるんなら、俺が色々我慢して来たあれこれを、表に出しても良いけどね。」

俺は珍しくそんな軽口を叩く蓮の手を、テーブルの下で握って言った。


「葵が亡くなった時に、一番側で黙って支えてくれたのは蓮だったからな。あれから半年経った。俺が今みたいに居られるのもお前達と変わらぬ毎日を送って来れたせいだと思ってる。

どんなに悲劇が起きても、淡々と日常を送るのって大事なんだって良くわかったよ。でも一番はこいつが俺を我慢強く捕まえていてくれたおかげかな…。

葵も、蓮のこと、気づいてたんだぜ?知ってた?」

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