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親友が恋人に変わる時

久しぶりの再会

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俺と蓮が付き合いだしてから何が変わったと言うこともない。いや、変わったのか?ひと気のない場所に引っ張り込まれてはキスされたりするのは、以前とは違う事だな。

まぁ、俺は強引にされるのは身体が疼くから大歓迎なんだけど。でも実はどこかで、蓮とこうなってしまった事に何だか慣れないんだ。俺って蓮の事を好きなんだよな。


葵の時もそうだったけど、俺って自分の気持ちがはっきり分からないんだ。もちろん蓮の事は受け入れている。比べようがないけれど、葵に感じていた気持ちとはまた別なので正直戸惑っている。

どうしても蓮とは腐れ縁なので、そっちに感情が引っ張られて結構経つのに気恥ずかしいままだ。そんな俺を、蓮はうっそりとした眼差しで見るから、俺は欲情してるのか、恋心なのか分からないドキドキで困ってるんだ。


そんな時俺は、葵の部活仲間の元水泳部部長にばったりと会った。葵の病気の事を教えてくれたのは橘先輩その人だ。時間があったこともあって、俺は誘われるままカフェに一緒に入った。

葵と負けないくらいマッチョな橘先輩は、相変わらず葵と同じ塩素焼けした茶髪の髪をツーブロで整えていた。切長の一重の眼差しは酷くストイックさを醸し出していて、出来る男なんだろうなと思わせた。


橘先輩は俺に運ばれて来た甘いアイスキャラメルマキアートを、まじまじと見つめてニヤリと口元を緩めたけれど、何か言う訳では無かった。

「葵の件ではお世話になりました。残念な結果にはなりましたけど、別れとしてはあれ以上の方法はなかったと思います。」

俺がそう言って橘先輩に頭を下げると、先輩は手元のアイスコーヒーの氷をストローでカランと鳴らして言った。


「いや、こっちこそお礼を言うよ。何が最善かは俺は今でも分からないけれど、親友として葵が三好君と別れの時間を持てたのはやっぱり正解だったと思うから。

三好君には辛い思いをさせたかもしれないけどね。…あれからどうしてるか気になっていたんだ。元気そうで安心したよ。」

そう言って微笑んだ。俺は、橘先輩が笑うとエクボが出来るのかとぼんやりと眺めていた。俺はクスッと笑うと、橘先輩の顔を見つめて言った。


「なんか、あの時は俺の事三好って呼んでたのに、何で今は三好君なんですか?何か気持ち悪いな。」

そう言って笑う俺の顔を、橘先輩は何だかもの言いたげにじっと見つめた。

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