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目の前の茂人さん
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僕は妙にスッキリした気分で目を覚ました。瞼を開けると、誰かがベッドに寄り掛かっていた。途端に、部屋に入ってからの僕の情けない心の吐露と、拗らせた僕にしっかり向き合って誤解を解いてくれたあげく、熱っぽい僕の世話を焼いてくれた茂人さんのことを思い出した。
僕が目を覚ました事に気づいた茂人さんが、ホッとした様に微笑むと、何か食べるかと尋ねてきた。途端に僕のお腹は空腹を感じて頷くと、布団から起き上がった。妙にスッキリした気分で立ち上がりお手洗いから戻って来ると、テーブルの上に美味しそうなサンドイッチが並べられていた。
「どうかな。もし無理そうなら、お粥のレトルトも買ってあるけど。顔色も良いし、結構元気になった?熱は俺が買い物から戻った時にはもう下がってたから、本当良かった。」
そう言いながら茂人さんが差し出す、温かいミルクティーを僕はひと口飲んで、その温かさと優しい甘さにホッと息をついた。
「僕、昔から時々こうして熱が出る事があるんです。恥ずかしながらストレスが溜まるとなりがちで。もう滅多な事じゃならないって思ってたんですけど、恋愛初心者過ぎて、ぐるぐる考え過ぎちゃってたみたいです。」
僕がそう言うと、茂人さんはにっこり笑って言った。
「そうなんだ。でも熱が出ちゃうくらい俺との事考えてくれたと思うと、ちょっと嬉しいかも。そんな風に考えるのはダメなんだけど。そのサンドイッチ、俺もさっき食べたんだけど美味しかったよ。」
そう勧められて、僕は駅前のバゲット屋さんのサンドイッチを食べた。この店は値段も高いし、お洒落な人達がよく買っていて、僕は何となく気後れして買った事はなかった。
「美味しい…!」
僕は想像以上の美味しさに目を見張った。さっきから感じる空腹もあって、あっという間に食べ終わってしまった。茂人さんはミルクティーを飲みながら付き合ってくれていたけれど、部屋の掛け時計を見て言った。
「実はもう12時過ぎてて、俺もうすっかり泊まり込むつもりで身支度しちゃったんだけど、泊めてくれる?」
僕は勿論ですと答えて、テーブルを片付けるとお風呂のスイッチを入れた。
「茂人さんお風呂は…?」
すると少し悪戯っぽい顔をして言った。
「さっき着替える時にシャワー浴びたよ。何、一緒に入ろうって誘ってるの?なんてね、冗談。ゆっくり温まっておいで。俺も歯磨きしよう。」
そう言って、ビニール袋から歯ブラシを取り出した。来ているスエットのタグと同じビニール袋に、わざわざお泊まりセットを駅前で買ってきたんだと気がついた。僕の服を着てもらってもよかったと考えたものの、どう考えてもサイズが合わないだろう。僕はS寄りのMで、茂人さんはどう見てもLだ。
僕は湯船に浸かりながら、急遽お泊まりになったこの状況を考えていた。僕たちは両思いみたいだし、付き合ってる。それで一緒の部屋でお泊り…。僕はドキドキと心臓が暴れて、身体が熱くなるのを感じた。
どうしよう。…この部屋には一人分の寝具しかないし、立花さんが泊まった時みたいに、一緒のベッドに眠るんだよね?はぁ、マジでどうしよう。心臓が持たないかも。
僕はのぼせそうなくらいお風呂に入っていたみたいで、心配した茂人さんが様子を見に来た。慌てて出ると、茂人さんが僕の身体をゆっくり見つめるのが分かった。
僕は茂人さんの眼差しが欲を載せているのに気がついて、ますますドキドキしてしまった。そんな風に見つめられたら、僕だってその先を期待してしまう。僕は水族館デートで茂人さんに甘いキスをされてから、ある意味その事ばかり考えている。
少し掠れた声で茂人さんが背を向けながら言った。
「よく拭かないと風邪ひいちゃうよ?…髪は俺が乾かしてあげるよ。ドライヤー持って来て。」
茂人さんが僕の髪を乾かしてくれると言う、誘い文句に僕は急いで歯磨きを済ませると薄手のスエット上下を着てベッドに戻った。茂人さんはドライヤーを手にしてニッと笑うと足元を指差した。
僕は素直に茂人さんの足の間に座り込むと、温かな風と、優しい指遣いにうっとりと意識を飛ばした。美容院より優しく感じるのは、僕の欲目だろうか。
「はい、おしまい。…それでどうやって寝る?見たところ別の寝具は無さそうなんだけど。」
僕は慌ててクローゼットから別のシーツを出すと、茂人さんに手伝ってもらって敷き変えた。流石にさっきの寝込んだシーツに寝かせられない。敷き終わると、僕は言った。
「あの、前に立花さんが泊まってくれた時も一緒に寝れたので、多分大丈夫です。ちょっと狭いかもしれませんけど。」
僕が二人で十分寝られると言いたくてそう言うと、急に茂人さんの纏う空気が変わった気がした。茂人さんは少し黙った後に僕の手を引っ張ってベッドに引き倒すと、覆い被さって掠れた声で言った。
「…俺がギリギリのところで我慢してるのに、楓君はそうやって俺の嫉妬心を煽る様な事言うんだね。酔った楓君を介助したとはいえ、無防備な楓君がもしかしたらって思うと堪らないな。」
僕が目を覚ました事に気づいた茂人さんが、ホッとした様に微笑むと、何か食べるかと尋ねてきた。途端に僕のお腹は空腹を感じて頷くと、布団から起き上がった。妙にスッキリした気分で立ち上がりお手洗いから戻って来ると、テーブルの上に美味しそうなサンドイッチが並べられていた。
「どうかな。もし無理そうなら、お粥のレトルトも買ってあるけど。顔色も良いし、結構元気になった?熱は俺が買い物から戻った時にはもう下がってたから、本当良かった。」
そう言いながら茂人さんが差し出す、温かいミルクティーを僕はひと口飲んで、その温かさと優しい甘さにホッと息をついた。
「僕、昔から時々こうして熱が出る事があるんです。恥ずかしながらストレスが溜まるとなりがちで。もう滅多な事じゃならないって思ってたんですけど、恋愛初心者過ぎて、ぐるぐる考え過ぎちゃってたみたいです。」
僕がそう言うと、茂人さんはにっこり笑って言った。
「そうなんだ。でも熱が出ちゃうくらい俺との事考えてくれたと思うと、ちょっと嬉しいかも。そんな風に考えるのはダメなんだけど。そのサンドイッチ、俺もさっき食べたんだけど美味しかったよ。」
そう勧められて、僕は駅前のバゲット屋さんのサンドイッチを食べた。この店は値段も高いし、お洒落な人達がよく買っていて、僕は何となく気後れして買った事はなかった。
「美味しい…!」
僕は想像以上の美味しさに目を見張った。さっきから感じる空腹もあって、あっという間に食べ終わってしまった。茂人さんはミルクティーを飲みながら付き合ってくれていたけれど、部屋の掛け時計を見て言った。
「実はもう12時過ぎてて、俺もうすっかり泊まり込むつもりで身支度しちゃったんだけど、泊めてくれる?」
僕は勿論ですと答えて、テーブルを片付けるとお風呂のスイッチを入れた。
「茂人さんお風呂は…?」
すると少し悪戯っぽい顔をして言った。
「さっき着替える時にシャワー浴びたよ。何、一緒に入ろうって誘ってるの?なんてね、冗談。ゆっくり温まっておいで。俺も歯磨きしよう。」
そう言って、ビニール袋から歯ブラシを取り出した。来ているスエットのタグと同じビニール袋に、わざわざお泊まりセットを駅前で買ってきたんだと気がついた。僕の服を着てもらってもよかったと考えたものの、どう考えてもサイズが合わないだろう。僕はS寄りのMで、茂人さんはどう見てもLだ。
僕は湯船に浸かりながら、急遽お泊まりになったこの状況を考えていた。僕たちは両思いみたいだし、付き合ってる。それで一緒の部屋でお泊り…。僕はドキドキと心臓が暴れて、身体が熱くなるのを感じた。
どうしよう。…この部屋には一人分の寝具しかないし、立花さんが泊まった時みたいに、一緒のベッドに眠るんだよね?はぁ、マジでどうしよう。心臓が持たないかも。
僕はのぼせそうなくらいお風呂に入っていたみたいで、心配した茂人さんが様子を見に来た。慌てて出ると、茂人さんが僕の身体をゆっくり見つめるのが分かった。
僕は茂人さんの眼差しが欲を載せているのに気がついて、ますますドキドキしてしまった。そんな風に見つめられたら、僕だってその先を期待してしまう。僕は水族館デートで茂人さんに甘いキスをされてから、ある意味その事ばかり考えている。
少し掠れた声で茂人さんが背を向けながら言った。
「よく拭かないと風邪ひいちゃうよ?…髪は俺が乾かしてあげるよ。ドライヤー持って来て。」
茂人さんが僕の髪を乾かしてくれると言う、誘い文句に僕は急いで歯磨きを済ませると薄手のスエット上下を着てベッドに戻った。茂人さんはドライヤーを手にしてニッと笑うと足元を指差した。
僕は素直に茂人さんの足の間に座り込むと、温かな風と、優しい指遣いにうっとりと意識を飛ばした。美容院より優しく感じるのは、僕の欲目だろうか。
「はい、おしまい。…それでどうやって寝る?見たところ別の寝具は無さそうなんだけど。」
僕は慌ててクローゼットから別のシーツを出すと、茂人さんに手伝ってもらって敷き変えた。流石にさっきの寝込んだシーツに寝かせられない。敷き終わると、僕は言った。
「あの、前に立花さんが泊まってくれた時も一緒に寝れたので、多分大丈夫です。ちょっと狭いかもしれませんけど。」
僕が二人で十分寝られると言いたくてそう言うと、急に茂人さんの纏う空気が変わった気がした。茂人さんは少し黙った後に僕の手を引っ張ってベッドに引き倒すと、覆い被さって掠れた声で言った。
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