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別視点
それぞれの演習 sideアルバート②
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迎えた演習日当日。
朝食からシェフが張り切って、ファル君にパンケーキを焼いている。
彼らの中ではもう既に始まっているのだろう。
お留守番の事を伝えると、ファル君は少し寂しそうな表情を見せたがすぐにいつものほわっとした笑顔になりセイバースや従僕達に可愛らしいお辞儀で挨拶をしていた。
本当に毎日、可愛いが更新されていく。
玄関でセイバースに抱っこされたまま、お見送りしてくれたのだが、やはり連れて行きたい。
そんな思いを抱えたままギルバートに引き摺られる様に転移陣まで移動した。
「父上は本当にルシーが好きですね。…あれだけ可愛い子を捨てる馬鹿がいるなんて信じられません」
「本当にね。今頃、後悔しているよ」
やっと少し太ったがまだ、平均体重よりは少ないし、あまり食べさせてもらえていなかったのか成長も遅い。
それでもあれだけ表情豊かで可愛らしい子なのだ。
今更返せと言われても、絶対に拒否する。
もう法的には私の息子なので、誰にも何も言わせはしない。
演習地に到着すると、のそのそとシーザーとソラが近づいてきた。
『アルバート、我らの愛しい子が今日は来ない事がみんなに知られてしまった様だ。少し厄介な事になるかも知れん』
せめて演習が始まってから気付いて欲しかったのだが、やはりダメだったか。
「すぐにはじめて、早めに終わらせよう。獣達には明日からはまたファル君を連れて来るからと伝えてくれ」
『わかった。半数はやる気を失っただけなので問題ないが、残りが過激派ばかりだ。演習中も奴らの相棒達には注意する様に言っておけ』
ファル君と遊んでるいつものメンバーだろうな。
来ないとわかれば荒れる事は予想していた。
なんとか無事に終わらせて、すぐに帰るから待っててね、ファル君。
この日の演習は後世に語り継がれるほど、散々な結果になった。
指揮を取るというレベルの問題ではなかったのだ。
ただ、獣の能力を大いに魅せる事は出来たので、失敗ではないと思いたい。
騎士団員全員が満身創痍の中、ギルバートだけが何故かウキウキしているのが気になるが、やっと終わった演習にホッと息を吐いた。
報告書を作成しもう少しで帰れると思っているとセイバースから緊急の連絡が届いた。
まさか、ファル君に何かあったのでは!?
怪我をした?
もしかして寂しくなって泣いているのかも知れない。
慌てて手紙を読む。
[ファル坊っちゃまが庭でドラゴンを拾いました]
なんで我が家の庭にドラゴンが居るんだ。
ファル君が来てから外敵は一切入れない様にソラが結界を張っているのだ。
その結界を破って侵入してきたというのか?
魔法に特化したソラの張る結界を破れる程の者など居ないだろう。
獣達はファル君に危害を加えるはずが無いので、そんな危険な生物をわざわざ我が家に解き放たない。
そうなると、内部の犯行か。
あのウキウキしていたギルバートが何か知っている筈だ。
ギルバートを問い詰めながら帰路を急ぐ。
「言ってませんでしたか?」
ギルバートは不思議そうに肯定しているが、父はドラゴンを庭に放っていいと許可した覚えはありません。
我が家に到着し、ファル君を見てやっと少し癒されたがまだ問題は解決していない。
ギルバートが着替えている間に、セイバースと2人でドラゴンを確認する。
掌に乗るくらいの小ささだが、何処となく色合いがギルバートに似ているのは何故だ。
うっすら青みがかった銀の鱗に真っ赤な瞳。
私達には全く興味がないのか、籠の中からジッと扉を見つめている。
着替え終わったギルバートがファル君を抱っこして部屋に入ってくると、さっきまでが嘘の様に興奮しているのがわかる。
これは間違いない。
このドラゴンはどうやったかは全くわからないが、ギルバートが自分の何かを媒体にして作った魔法生物なのだろう。
その証拠に、ドラゴンはファル君を見つめたまま目を逸らさないのだ。
明らかにギルバートの血を感じる。
今日はもう朝から疲れすぎて頭が痛くなってきた。
嬉しそうに胸ポケットにドラゴンを入れて愛ているファル君を愛ていよう。
ファル君の手作りクッキーは、今日を最後まで乗り切った私へのご褒美に違いない。
いいんだ。
こんなに可愛い息子たちの為なら、パパはなんだって頑張るよ!
朝食からシェフが張り切って、ファル君にパンケーキを焼いている。
彼らの中ではもう既に始まっているのだろう。
お留守番の事を伝えると、ファル君は少し寂しそうな表情を見せたがすぐにいつものほわっとした笑顔になりセイバースや従僕達に可愛らしいお辞儀で挨拶をしていた。
本当に毎日、可愛いが更新されていく。
玄関でセイバースに抱っこされたまま、お見送りしてくれたのだが、やはり連れて行きたい。
そんな思いを抱えたままギルバートに引き摺られる様に転移陣まで移動した。
「父上は本当にルシーが好きですね。…あれだけ可愛い子を捨てる馬鹿がいるなんて信じられません」
「本当にね。今頃、後悔しているよ」
やっと少し太ったがまだ、平均体重よりは少ないし、あまり食べさせてもらえていなかったのか成長も遅い。
それでもあれだけ表情豊かで可愛らしい子なのだ。
今更返せと言われても、絶対に拒否する。
もう法的には私の息子なので、誰にも何も言わせはしない。
演習地に到着すると、のそのそとシーザーとソラが近づいてきた。
『アルバート、我らの愛しい子が今日は来ない事がみんなに知られてしまった様だ。少し厄介な事になるかも知れん』
せめて演習が始まってから気付いて欲しかったのだが、やはりダメだったか。
「すぐにはじめて、早めに終わらせよう。獣達には明日からはまたファル君を連れて来るからと伝えてくれ」
『わかった。半数はやる気を失っただけなので問題ないが、残りが過激派ばかりだ。演習中も奴らの相棒達には注意する様に言っておけ』
ファル君と遊んでるいつものメンバーだろうな。
来ないとわかれば荒れる事は予想していた。
なんとか無事に終わらせて、すぐに帰るから待っててね、ファル君。
この日の演習は後世に語り継がれるほど、散々な結果になった。
指揮を取るというレベルの問題ではなかったのだ。
ただ、獣の能力を大いに魅せる事は出来たので、失敗ではないと思いたい。
騎士団員全員が満身創痍の中、ギルバートだけが何故かウキウキしているのが気になるが、やっと終わった演習にホッと息を吐いた。
報告書を作成しもう少しで帰れると思っているとセイバースから緊急の連絡が届いた。
まさか、ファル君に何かあったのでは!?
怪我をした?
もしかして寂しくなって泣いているのかも知れない。
慌てて手紙を読む。
[ファル坊っちゃまが庭でドラゴンを拾いました]
なんで我が家の庭にドラゴンが居るんだ。
ファル君が来てから外敵は一切入れない様にソラが結界を張っているのだ。
その結界を破って侵入してきたというのか?
魔法に特化したソラの張る結界を破れる程の者など居ないだろう。
獣達はファル君に危害を加えるはずが無いので、そんな危険な生物をわざわざ我が家に解き放たない。
そうなると、内部の犯行か。
あのウキウキしていたギルバートが何か知っている筈だ。
ギルバートを問い詰めながら帰路を急ぐ。
「言ってませんでしたか?」
ギルバートは不思議そうに肯定しているが、父はドラゴンを庭に放っていいと許可した覚えはありません。
我が家に到着し、ファル君を見てやっと少し癒されたがまだ問題は解決していない。
ギルバートが着替えている間に、セイバースと2人でドラゴンを確認する。
掌に乗るくらいの小ささだが、何処となく色合いがギルバートに似ているのは何故だ。
うっすら青みがかった銀の鱗に真っ赤な瞳。
私達には全く興味がないのか、籠の中からジッと扉を見つめている。
着替え終わったギルバートがファル君を抱っこして部屋に入ってくると、さっきまでが嘘の様に興奮しているのがわかる。
これは間違いない。
このドラゴンはどうやったかは全くわからないが、ギルバートが自分の何かを媒体にして作った魔法生物なのだろう。
その証拠に、ドラゴンはファル君を見つめたまま目を逸らさないのだ。
明らかにギルバートの血を感じる。
今日はもう朝から疲れすぎて頭が痛くなってきた。
嬉しそうに胸ポケットにドラゴンを入れて愛ているファル君を愛ていよう。
ファル君の手作りクッキーは、今日を最後まで乗り切った私へのご褒美に違いない。
いいんだ。
こんなに可愛い息子たちの為なら、パパはなんだって頑張るよ!
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