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本編
悪魔
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そろそろ移動しようとした矢先、ルイが物凄い勢いで団長室に転がり込んで来た。
「団長!助けて下さい!俺、もう逃げきれません!」
いつもは大体、大笑いしているルイが泣きそうになっている。
こんなルイを見るのは初めてなので心配だ。
「悪魔がまだ俺を狙ってます!」
悪魔だって!?
何か途轍もない化け物がいるのだろうか。
身体中に目があるとか、至る所から血が噴き出ている様な化け物だったらどうしよう。
怖すぎる。
「にいしゃま…あきゅま、いりゅの?」
「僕は見た事ないよ。もしいたとしても、ルシーのことは僕が絶対に守ってあげるから怖がらなくても大丈夫だよ」
確かにギル兄様の神々しいオーラなら悪魔ぐらい祓えそうな気がする。
エクソシスト的なギル兄様もカッコいい。
妄想だけで鼻血が出そうなレベルだ。
「ファル!来てくれてたのか!よかった、悪魔が浄化される!」
ルイよ、自分には悪魔祓いの力は無い。
どうしてそんな期待を自分にしているのかはわからないが、無理だと断言出来る。
悪魔が来たら真っ先に逃げ出す自信があるのだ。
コンコンコンコンコン。
団長室の扉から異様な音が聞こえ出した。
まさか、本当に悪魔が来たのだろうか。
休む事なくコンコンと鳴り響いている。
「今、開けるから落ち着いてくれ!」
ルイは何を言っているんだ。
扉を開けたら悪魔が入ってきてしまうじゃないか。
ルイこそ落ち着いてくれ。
ここは扉を塞いで篭城するのが吉だ。
絶対に開けてはいけない。
「あぶにゃいの!あきゅま、あけちゃ、めーよ!」
少々混乱し支離滅裂だが、扉を開けてはいけない事は伝わっただろう。
だが、自分が叫んでしまった事で悪魔にも存在がバレてしまった様だ。
コンコンだった音がバサッやドンといった大きく響く音に変わってしまった。
間違いなく悪魔は扉を壊して侵入しようとしている。
「ルイ、ファル君が泣きそうなほど怖がっているんだけど責任取ってくれるかい?」
パパはルイに責任をとって生贄になれと言っているのだろうか。
自分はそんな事は望んでいない。
全員で無事に生還したい。
何か方法はないのか。
悪魔を退散させられる呪文があったら教えてほしい。
しかし悠長にしている時間はないのだ。
「あきゅま、ないない!あきゅま、ないない!」
とりあえず悪魔に消えてもらいたい一心で、必死に声に出してまで繰り返し願った。
怖くて目はギュッと瞑ったままだ。
持ち手を握る手にも力が入ってしまう。
「ルシー、大丈夫だよ。目を開けてごらん。悪魔なんてどこにもいないよ?」
ギル兄様が嘘をつくとは全く思っていないが、怖いものは怖いのだ。
なかなか目が開けられない。
そんな自分に呆れる事もなく、ギル兄様は根気よく声を掛け続けてくれた。
頭や頬を何度も撫でてくれ、あやす様に額や瞼にキスまでくれている。
「にいしゃま…あきゅま、ないない、ちてる?」
「うん。もうルシーを怖がらせてる悪魔はいないよ。大丈夫、目を開けたらすぐに僕が見えるだけだよ」
恐る恐る目を開けると、確かにギル兄様のご尊顔が映り込んだ。
部屋の中をぐるりと見回したが、特に争った形跡も見当たらない。
よかった。
無事に助かったのだ。
「団長!助けて下さい!俺、もう逃げきれません!」
いつもは大体、大笑いしているルイが泣きそうになっている。
こんなルイを見るのは初めてなので心配だ。
「悪魔がまだ俺を狙ってます!」
悪魔だって!?
何か途轍もない化け物がいるのだろうか。
身体中に目があるとか、至る所から血が噴き出ている様な化け物だったらどうしよう。
怖すぎる。
「にいしゃま…あきゅま、いりゅの?」
「僕は見た事ないよ。もしいたとしても、ルシーのことは僕が絶対に守ってあげるから怖がらなくても大丈夫だよ」
確かにギル兄様の神々しいオーラなら悪魔ぐらい祓えそうな気がする。
エクソシスト的なギル兄様もカッコいい。
妄想だけで鼻血が出そうなレベルだ。
「ファル!来てくれてたのか!よかった、悪魔が浄化される!」
ルイよ、自分には悪魔祓いの力は無い。
どうしてそんな期待を自分にしているのかはわからないが、無理だと断言出来る。
悪魔が来たら真っ先に逃げ出す自信があるのだ。
コンコンコンコンコン。
団長室の扉から異様な音が聞こえ出した。
まさか、本当に悪魔が来たのだろうか。
休む事なくコンコンと鳴り響いている。
「今、開けるから落ち着いてくれ!」
ルイは何を言っているんだ。
扉を開けたら悪魔が入ってきてしまうじゃないか。
ルイこそ落ち着いてくれ。
ここは扉を塞いで篭城するのが吉だ。
絶対に開けてはいけない。
「あぶにゃいの!あきゅま、あけちゃ、めーよ!」
少々混乱し支離滅裂だが、扉を開けてはいけない事は伝わっただろう。
だが、自分が叫んでしまった事で悪魔にも存在がバレてしまった様だ。
コンコンだった音がバサッやドンといった大きく響く音に変わってしまった。
間違いなく悪魔は扉を壊して侵入しようとしている。
「ルイ、ファル君が泣きそうなほど怖がっているんだけど責任取ってくれるかい?」
パパはルイに責任をとって生贄になれと言っているのだろうか。
自分はそんな事は望んでいない。
全員で無事に生還したい。
何か方法はないのか。
悪魔を退散させられる呪文があったら教えてほしい。
しかし悠長にしている時間はないのだ。
「あきゅま、ないない!あきゅま、ないない!」
とりあえず悪魔に消えてもらいたい一心で、必死に声に出してまで繰り返し願った。
怖くて目はギュッと瞑ったままだ。
持ち手を握る手にも力が入ってしまう。
「ルシー、大丈夫だよ。目を開けてごらん。悪魔なんてどこにもいないよ?」
ギル兄様が嘘をつくとは全く思っていないが、怖いものは怖いのだ。
なかなか目が開けられない。
そんな自分に呆れる事もなく、ギル兄様は根気よく声を掛け続けてくれた。
頭や頬を何度も撫でてくれ、あやす様に額や瞼にキスまでくれている。
「にいしゃま…あきゅま、ないない、ちてる?」
「うん。もうルシーを怖がらせてる悪魔はいないよ。大丈夫、目を開けたらすぐに僕が見えるだけだよ」
恐る恐る目を開けると、確かにギル兄様のご尊顔が映り込んだ。
部屋の中をぐるりと見回したが、特に争った形跡も見当たらない。
よかった。
無事に助かったのだ。
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