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魔導師として宮廷入りしたので、殿下の愛人にはなりません?
ベッドの上で誘惑をして
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パーティをそこそこにして抜け出した私たちは、リシャール殿下が用意した豪華絢爛な部屋に案内された。
ランプの明かりが室内を照らす。調度品はどれも手の込んだ品だ。魔法が組み込まれているものもいくつか紛れているのが私にはわかる。
部屋の中で一番存在感があるのは天蓋付きのベッドだ。三人くらいが余裕で寝そべることができるだろう広さがあり、敷布はこれでもかというくらいピンと綺麗に張られている。返す光の様子から、おそらくシルクで織られたものだろう。天蓋は魔力が込められた宝石で彩られ、もしもの事態が起きても対応できるようになっている。
王族が寝る場所というのは、やはり庶民が使うようなものは置かないようだ。
「いやー、肩がこるねえ、ああいう場は」
そう大きな声で告げるなり、リシャール殿下は真っ先にベッドに飛び込んだ。彼の身体が弾むのをみて、高級なベッドらしいと判断した。さすがは王子さまが寝るベッドだ。
皺のないベッドに臆することなく飛び込む勇気は私にはないわ……。
彼がそういう細かい部分を気にしない人だからなのか、彼にとっては日常だから気にしないのかわからないが、その両方である可能性もあるなと密かに思う。
「モニックさんもおいで。すごく寝心地がいいんです。ついでにメルもどうぞ」
ベッドの上をポンポンと叩いて、リシャール殿下は促してくる。
「いや、俺は……」
「三人でってのも興味があるのですが、女の子二人をはべらせるのはできても、男二人ではなかなかいい相手がいなくてねぇ。ほら、魔力特性のこともあるし。私としてはちょうどいい相手が欲しいんですよ」
「俺を巻き込まないでいただきたい。ここに来たのは、モニックが何かをきっかけに魔力を暴走させてしまったとき、止める相手がいないと困るから同伴しただけで、参加したくて来たわけじゃありません」
メガネの位置を直しながら話しているのを見ると、メルヒオールは苛立っているのかもしれない。
そりゃあこの状況、気まずいでしょうけど。
「で、モニックさんはどうする? 私に眠りの魔法でもかけて、夜をやり過ごすのも手ですよ? 自分の魔法に自信がなければ、そこのメルを使えばいい。君たちの間に強い友情があるのは存知ています」
ちらっとメルヒオールを見れば、彼と目が合った。助けが必要であれば手を貸すと言いたげな顔をしている。私は小さく首を振って断った。
リシャール殿下は何を試しているのだろうか。私にはよくわからなかったが、ここへはイヤイヤ来たわけではない。だから私がすることは一つだ。
今日初めて袖を通した宮廷魔導師のローブを脱いで床に落とす。そしてゆっくりとベッドに上った。バネが仕込まれているのか、マットがとてもよく弾む。
リシャール殿下が嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ああ、いいねえ。なかなか蠱惑的」
「リシャール殿下は私の身体が好みですか?」
体重に占める割合が高そうな胸とお尻。くびれた腰に引き締まった四肢。色黒ではあるが、そこが色っぽさを引き立てていいのだと褒められたことがある。おそらく、私の両親はこの国の生まれではないのだろう。体格や肌の色もそうだが、緩やかに波打つ黒い髪も琥珀色の瞳も、この国ではとても珍しく、それ故にとても目立った。
「うん。すごく好き。できるなら肌に触れたいし、深く繋がれたらいいとも思っているかな」
「正直ですね……」
真面目な顔をして告げるような言葉ではないと思う。
「魔力の相性がよいならありがたいですけど。もし悪かったら、魔力特性が合わない場合の対処法を真っ先に身につけて、もう一度抱かせて欲しいですね」
「そんなにこの身体は魅力的ですか?」
お世辞だとしても、褒められるのは好きだ。機嫌をよくした私は、ブラウスのボタンを上から二つだけ外し、胸の谷間を強調して見せる。
リシャール殿下の視線が胸元に向かう。
あら、とっても素直。
「君の怖気付かないところも、結構好感を持っていますよ、モニックさん」
「うふふ。別に身体が目的でもいいです、殿下。私の実験に付き合ってくださるのがあなたであれば、こんなに嬉しいことはありませんから」
駆け引きなんてしたことはない。
初めての客を相手にしたときに魔力を暴走させてしまったため、二十歳になった今でも私は処女だった。とはいえ、どういうことをするのかは店で学んでいたから知っている。
だから、ちょっと真似をしてみることにしただけ。
私の言葉に、顔を上げたリシャール殿下は一瞬目を丸くして、そして舌舐めずりをした。野生的な光が瞳に宿る。
「いいね、そういうの。私のおもちゃになるような女はいらないと思っていたところなのです。期待してもいいかな?」
「お気に召していただけるよう、努力します」
もし、ここで彼に気に入られたら、宮廷魔導師としてここにいる意味もできる。恋愛をしたり家庭を持ったりするつもりがない私は、殿下のために身を捧げて奉仕するのが合っているような気がした。
ランプの明かりが室内を照らす。調度品はどれも手の込んだ品だ。魔法が組み込まれているものもいくつか紛れているのが私にはわかる。
部屋の中で一番存在感があるのは天蓋付きのベッドだ。三人くらいが余裕で寝そべることができるだろう広さがあり、敷布はこれでもかというくらいピンと綺麗に張られている。返す光の様子から、おそらくシルクで織られたものだろう。天蓋は魔力が込められた宝石で彩られ、もしもの事態が起きても対応できるようになっている。
王族が寝る場所というのは、やはり庶民が使うようなものは置かないようだ。
「いやー、肩がこるねえ、ああいう場は」
そう大きな声で告げるなり、リシャール殿下は真っ先にベッドに飛び込んだ。彼の身体が弾むのをみて、高級なベッドらしいと判断した。さすがは王子さまが寝るベッドだ。
皺のないベッドに臆することなく飛び込む勇気は私にはないわ……。
彼がそういう細かい部分を気にしない人だからなのか、彼にとっては日常だから気にしないのかわからないが、その両方である可能性もあるなと密かに思う。
「モニックさんもおいで。すごく寝心地がいいんです。ついでにメルもどうぞ」
ベッドの上をポンポンと叩いて、リシャール殿下は促してくる。
「いや、俺は……」
「三人でってのも興味があるのですが、女の子二人をはべらせるのはできても、男二人ではなかなかいい相手がいなくてねぇ。ほら、魔力特性のこともあるし。私としてはちょうどいい相手が欲しいんですよ」
「俺を巻き込まないでいただきたい。ここに来たのは、モニックが何かをきっかけに魔力を暴走させてしまったとき、止める相手がいないと困るから同伴しただけで、参加したくて来たわけじゃありません」
メガネの位置を直しながら話しているのを見ると、メルヒオールは苛立っているのかもしれない。
そりゃあこの状況、気まずいでしょうけど。
「で、モニックさんはどうする? 私に眠りの魔法でもかけて、夜をやり過ごすのも手ですよ? 自分の魔法に自信がなければ、そこのメルを使えばいい。君たちの間に強い友情があるのは存知ています」
ちらっとメルヒオールを見れば、彼と目が合った。助けが必要であれば手を貸すと言いたげな顔をしている。私は小さく首を振って断った。
リシャール殿下は何を試しているのだろうか。私にはよくわからなかったが、ここへはイヤイヤ来たわけではない。だから私がすることは一つだ。
今日初めて袖を通した宮廷魔導師のローブを脱いで床に落とす。そしてゆっくりとベッドに上った。バネが仕込まれているのか、マットがとてもよく弾む。
リシャール殿下が嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ああ、いいねえ。なかなか蠱惑的」
「リシャール殿下は私の身体が好みですか?」
体重に占める割合が高そうな胸とお尻。くびれた腰に引き締まった四肢。色黒ではあるが、そこが色っぽさを引き立てていいのだと褒められたことがある。おそらく、私の両親はこの国の生まれではないのだろう。体格や肌の色もそうだが、緩やかに波打つ黒い髪も琥珀色の瞳も、この国ではとても珍しく、それ故にとても目立った。
「うん。すごく好き。できるなら肌に触れたいし、深く繋がれたらいいとも思っているかな」
「正直ですね……」
真面目な顔をして告げるような言葉ではないと思う。
「魔力の相性がよいならありがたいですけど。もし悪かったら、魔力特性が合わない場合の対処法を真っ先に身につけて、もう一度抱かせて欲しいですね」
「そんなにこの身体は魅力的ですか?」
お世辞だとしても、褒められるのは好きだ。機嫌をよくした私は、ブラウスのボタンを上から二つだけ外し、胸の谷間を強調して見せる。
リシャール殿下の視線が胸元に向かう。
あら、とっても素直。
「君の怖気付かないところも、結構好感を持っていますよ、モニックさん」
「うふふ。別に身体が目的でもいいです、殿下。私の実験に付き合ってくださるのがあなたであれば、こんなに嬉しいことはありませんから」
駆け引きなんてしたことはない。
初めての客を相手にしたときに魔力を暴走させてしまったため、二十歳になった今でも私は処女だった。とはいえ、どういうことをするのかは店で学んでいたから知っている。
だから、ちょっと真似をしてみることにしただけ。
私の言葉に、顔を上げたリシャール殿下は一瞬目を丸くして、そして舌舐めずりをした。野生的な光が瞳に宿る。
「いいね、そういうの。私のおもちゃになるような女はいらないと思っていたところなのです。期待してもいいかな?」
「お気に召していただけるよう、努力します」
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