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すべての始まり
転機
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私が危惧していたことを、少年宮廷魔導師にはっきりと告げられてしまった。
そうか……娼婦が無理なら、事務に異動するしか……
事務仕事も重要な仕事であるが、お金を稼ぎやすいのは娼婦の仕事だ。この店にたくさん恩を返すには娼婦になって稼ぐのが一番だと考えていたけれど、ここで働く人たちに迷惑はかけられない。
事情を説明すれば、わかってくれるでしょうけど……
読み書き計算は身につけている。この店でする仕事の選択を迫られたときだって、どっちでもしっかり任せられるから好きなほうを取ればいいと言われたのだ。
参ったわね……
ぐるぐると考えあぐねていると、少年宮廷魔導師が言葉を続ける。
「――ですが、それはあくまでも、今のままでは、という話です」
「今の?」
どういう意味だろう。期待を込めて問いかけると、少年宮廷魔導師は安心させるように笑みを浮かべた。
「ここで出会った縁で、先ほどのような魔力の暴走を抑える方法は授けて差し上げましょう。技術を身につけるまでは毎日俺が通って君を指名します。部屋で魔法の練習をしませんか?」
「え、でも、そんな手間をかけさせるのは申し訳ないです!」
なんでそんな親切なことを言うのだろう。私のためを思って言っているにしては、なんだか裏がありそうであやしい。ここで出会った縁でと彼は告げたが、あの現象がどんなに危険なものだとしても、彼が通うことに利点はない。
それに私、仕事はするけど、結婚は考えてないし。裏方仕事を続けて一生を終えるのであれば、技術を身につける必然性もないのよね。
男性と交われないのはちょっと残念だが、命をかけてまでしたいことではない。せっかくの申し出ではあるが、丁重に断ろうと思った。
「忠告に従って裏方仕事に転職しますから、ご心配なく」
私は念を押しておくためにもきっちり告げた。
危険からは距離を置くこと――それはこの仕事を始める前にお姉さんたちから教えてもらったことだ。この仕事はお客に楽しんでもらい、また訪ねたいと思わせることに全力を尽くすものだ。夢を与える仕事だと思ってもいる。
だから、危ない真似はしないに限る。個人的なことに突っ込まないのも、そういう面からくるのだろう。
「それはそれとしても、協力させてください」
「いえいえ、私は協力したくないので」
「俺の名前はメルヒオール・ファイエです。宮廷魔導師をしています」
グイグイ来ないでちょうだい。自己紹介も勝手に始めるなってば。宮廷魔導師なのは見た目からわかってるし、あなたが優秀らしいこともなんとなく察したから――って、ん?
私は目を瞬いた。
そうか……娼婦が無理なら、事務に異動するしか……
事務仕事も重要な仕事であるが、お金を稼ぎやすいのは娼婦の仕事だ。この店にたくさん恩を返すには娼婦になって稼ぐのが一番だと考えていたけれど、ここで働く人たちに迷惑はかけられない。
事情を説明すれば、わかってくれるでしょうけど……
読み書き計算は身につけている。この店でする仕事の選択を迫られたときだって、どっちでもしっかり任せられるから好きなほうを取ればいいと言われたのだ。
参ったわね……
ぐるぐると考えあぐねていると、少年宮廷魔導師が言葉を続ける。
「――ですが、それはあくまでも、今のままでは、という話です」
「今の?」
どういう意味だろう。期待を込めて問いかけると、少年宮廷魔導師は安心させるように笑みを浮かべた。
「ここで出会った縁で、先ほどのような魔力の暴走を抑える方法は授けて差し上げましょう。技術を身につけるまでは毎日俺が通って君を指名します。部屋で魔法の練習をしませんか?」
「え、でも、そんな手間をかけさせるのは申し訳ないです!」
なんでそんな親切なことを言うのだろう。私のためを思って言っているにしては、なんだか裏がありそうであやしい。ここで出会った縁でと彼は告げたが、あの現象がどんなに危険なものだとしても、彼が通うことに利点はない。
それに私、仕事はするけど、結婚は考えてないし。裏方仕事を続けて一生を終えるのであれば、技術を身につける必然性もないのよね。
男性と交われないのはちょっと残念だが、命をかけてまでしたいことではない。せっかくの申し出ではあるが、丁重に断ろうと思った。
「忠告に従って裏方仕事に転職しますから、ご心配なく」
私は念を押しておくためにもきっちり告げた。
危険からは距離を置くこと――それはこの仕事を始める前にお姉さんたちから教えてもらったことだ。この仕事はお客に楽しんでもらい、また訪ねたいと思わせることに全力を尽くすものだ。夢を与える仕事だと思ってもいる。
だから、危ない真似はしないに限る。個人的なことに突っ込まないのも、そういう面からくるのだろう。
「それはそれとしても、協力させてください」
「いえいえ、私は協力したくないので」
「俺の名前はメルヒオール・ファイエです。宮廷魔導師をしています」
グイグイ来ないでちょうだい。自己紹介も勝手に始めるなってば。宮廷魔導師なのは見た目からわかってるし、あなたが優秀らしいこともなんとなく察したから――って、ん?
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