魔導師として宮廷入りしたので、殿下の愛人にはなりません?

一花カナウ

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挟めるだけのモノがありますので?

押し倒されて

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 リシャール殿下が座っているベッドに腰を下ろすと、いきなり押し倒された。

「わっ、あ、あの……んっ?」

 どうにも自分が主体的に動かないと落ち着かない。戸惑って声を出すと口づけをされた。甘やかすように優しく啄ばまれて、そして長い舌で唇をこじ開けられた。

 こういうの、まだ慣れないけど、殿下のは気持ちいい……

 互いの舌が絡まりだすと、強張っていた身体からすっと力が抜ける。とろけるような心地だ。

「……可愛い。すぐに熱を帯びて、期待しちゃうとこも好き」
「あんまり褒めないでください」

 照れくさくて、私はキスが終わるなり顔をそらした。

「たくさん褒めますよ。私、モニックさんのいろいろなところが気に入っているんですから。ちゃんと言葉にしないと伝わらないでしょう?」

 そう告げながら、リシャール殿下は私のジャケットのボタンを外していく。鼻歌交じりなので、かなり上機嫌のようだ。感情の起伏が大きな人だなと思う。

「優しく触れてくださるだけで充分ですよ。なんか、もったいないです」
「賛辞を口にしないほうがもったいないって、私は思いますよ」
「他の女性にもそうなんですか?」

 最後のボタンにかけていた手が止まる。

「今の私は君と対峙しているのに、他の人のことばかり気になって仕方ないみたいだね。何かあった?」

 言葉遣いが変わる。感情的になるとき、リシャール殿下は丁寧な喋り方ができなくなる傾向にあるらしい。

「別に、何もないです」
「ふうん。本当に? 恋愛関係になるつもりはないと私に言い切ったのに、昔の女性に嫉妬してるんじゃないのかい?」

 嫉妬……そうなのかしら?

 心の中に渦巻くこのモヤっとするものや、彼の言動につい引っかかってしまうささくれ立ったようなものに名を与えるなら、嫉妬が合うのだろうか。
 しっくりこなくて、でもきっぱりと否定することもできず、私は口ごもる。

「……そんなに気になるなら、そう言ってくれて構わないですよ。君は知っているんですものね、私がどれだけの女性を抱いたのかを。中には好意を寄せていて近づいてきた者だっていましたし、そういう女性を捨てたのも事実です。私に飽きられて捨てられるのが怖いとでも思いました?」
「飽きられて捨てられるのが怖いってことはないと思いますよ。飽きるもなにも、身体だけの関係ですから。一回だけで終わりだって思うようにしています……殿下としか寝たことがないですけど」

 娼館で見てきたから、そういう一度きりの仕事だと考えるようにしてきた。二回目が思いの外早くやってきてしまったので、困惑しているのである。
 思うままを答えれば、リシャール殿下はクスクスと笑った。止まっていた彼の手が動き出す。私のジャケットが脱がされて、ポイっと床に放り投げられた。
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