35 / 38
挟めるだけのモノがありますので?
別に隠していたわけでは
「そ、それはどういう……」
「同棲していたのですから、不思議なことはないと思いますけど」
説明を求められたようなので、私はキョトンとした顔を作ったままで素直に返事をした。
私は宮廷魔導師の試験を突破するまで、特例処置として恩人であるメルヒオールと同棲をしている。宮廷魔導師としての彼の部屋は研修生の生活する寮と比べたらいくらか広いが、二人で生活するには少々手狭だ。なので同じ部屋で暮らしていれば、プライベートな部分を目にしてしまう機会は自然と増える。
リシャール殿下は狼狽えている。そんなにオロオロせねばならないようなことは言っていないと思うのだが。
「で、でも、恋仲ではなかったよね? メルだって一途に想いを寄せる相手がいるわけだし、手を出すようなことは……」
「ええ、ありませんよ。手を出して欲しくて何度も色仕掛けはしましたけど」
私が他人に対してできることはとても少ないけれど、性欲の発散の手伝いくらいならできるはず――そう考えてメルヒオールへの恩を返すためにアレコレしてみたが、反応はなかった。その当時はメルヒオールが恋をしているとは知らなかったから、やりすぎたことについては触れないでほしい。これでも今は、申し訳なかったとは思っているのである。
「そ、そうだよね。モニックさんは、私が抱くまでは処女でしたし」
「ええ」
リシャール殿下の口調が安定しない。かなり動揺しているらしいことが伝わってくる。
なお、こういう態度を執務中では一度も見たことがなかった。珍しい。
「じゃあ、どういう?」
「具体的な話をしろとおっしゃっていますか?」
「生々しい話じゃなければ、是非とも」
せっかくいい感じのコンディションなのに、会話で中断しちゃうのはなあと思いながらも、私は促されたので語ることにした。
「――まだ試験を受ける前、メルヒオールに性欲を刺激する魔法を掛けたんですよ。もう少しで奉仕できたのに、全力で断られて。その時に見たんです。あんまりしっかりは見られませんでしたけどね」
押し倒すところまではいけたが、体術勝負になったら結局負けてしまった。メルヒオールだって宮廷魔導師として訓練を受けているわけで、魔法だけでなく体術の心得だって当然ながらあるのだ。酩酊状態であれば寝技勝負で押し切れると思ったが甘かった。悔しい。
「同棲していたのですから、不思議なことはないと思いますけど」
説明を求められたようなので、私はキョトンとした顔を作ったままで素直に返事をした。
私は宮廷魔導師の試験を突破するまで、特例処置として恩人であるメルヒオールと同棲をしている。宮廷魔導師としての彼の部屋は研修生の生活する寮と比べたらいくらか広いが、二人で生活するには少々手狭だ。なので同じ部屋で暮らしていれば、プライベートな部分を目にしてしまう機会は自然と増える。
リシャール殿下は狼狽えている。そんなにオロオロせねばならないようなことは言っていないと思うのだが。
「で、でも、恋仲ではなかったよね? メルだって一途に想いを寄せる相手がいるわけだし、手を出すようなことは……」
「ええ、ありませんよ。手を出して欲しくて何度も色仕掛けはしましたけど」
私が他人に対してできることはとても少ないけれど、性欲の発散の手伝いくらいならできるはず――そう考えてメルヒオールへの恩を返すためにアレコレしてみたが、反応はなかった。その当時はメルヒオールが恋をしているとは知らなかったから、やりすぎたことについては触れないでほしい。これでも今は、申し訳なかったとは思っているのである。
「そ、そうだよね。モニックさんは、私が抱くまでは処女でしたし」
「ええ」
リシャール殿下の口調が安定しない。かなり動揺しているらしいことが伝わってくる。
なお、こういう態度を執務中では一度も見たことがなかった。珍しい。
「じゃあ、どういう?」
「具体的な話をしろとおっしゃっていますか?」
「生々しい話じゃなければ、是非とも」
せっかくいい感じのコンディションなのに、会話で中断しちゃうのはなあと思いながらも、私は促されたので語ることにした。
「――まだ試験を受ける前、メルヒオールに性欲を刺激する魔法を掛けたんですよ。もう少しで奉仕できたのに、全力で断られて。その時に見たんです。あんまりしっかりは見られませんでしたけどね」
押し倒すところまではいけたが、体術勝負になったら結局負けてしまった。メルヒオールだって宮廷魔導師として訓練を受けているわけで、魔法だけでなく体術の心得だって当然ながらあるのだ。酩酊状態であれば寝技勝負で押し切れると思ったが甘かった。悔しい。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!