5 / 13
一糸纏わず
しおりを挟む
もう何も纏っていない。普段であれば心もとない格好だが、レティーシャは気持ちが高揚していることに気づいていた。
臀部にあたる絹のシーツの肌触りはさらさらとしていて滑りやすい。レティーシャの柔らかな肌に引っかかることは勿論なかった。
身体をよじればセオフィラスの手によって姿勢を直される。触れられた場所のいずれもが熱を宿すので、彼に熱を与えられているのではないかと錯覚した。
キスをされ、撫でられるたびにレティーシャの唇から甘い声が漏れだす。
「ああっ……」
身体の変化は発熱だけではない。じんわりと発汗もあって、今が真冬であることを忘れさせる。
全身が汗でしっとりとしているが、それ以上にぐっしょりと濡れている場所がある。
「可愛いレティ。もっと感じて」
レティーシャの赤く細い髪が頬に貼りついている。それを指先で優しく払い、深い口づけを交わす。
「んん……」
口づけに引きつけられている間に、セオフィラスの手のひらは肩を撫で、背中をなぞり、臀部にそっと触れる。そのまま太腿へとおりていくのだろうとぼんやりレティーシャが思えば、内腿をたどって足の付け根に向かい始める。
「ん!」
レティーシャは慌てて目蓋を上げる。セオフィラスの、何かよからぬことを企んでいるかのような笑みを浮かべる顔が視界いっぱいに広がっていた。
「集中して、レティ」
「ま、待って、そこは――ふぁっ……」
セオフィラス以外の誰にも触れさせたことなどない乙女の秘所を彼の指が暴いていく。
「やっ、汚いから……」
触られたくなかったのは、自分でもあまり触らない場所だからとか、排泄物が出ていく場所だからというわけではない。
そこが粗相をしたみたいにぐっしょりと濡れていることにレティーシャが気づいていたからだ。綺麗に整えられたベッドの上だ。失禁したと思われたらと恐怖したのだ。
「この液体は汚くなどないですよ」
セオフィラスは色気を孕んだ表情で告げる。
「ほら、わかりませんか? とてもぬるぬるしているでしょう?」
彼の指先がレティーシャの秘められた溝を丁寧になぞった。粘性をともなった液体であることは指先が動くことで理解できる。
「おっしゃるようにぬるぬるしてますけど……」
「俺を受け入れるために、この液体はあなたの身体から溢れてくるのです」
「受け入れる……?」
セオフィラスの説明がレティーシャには具体的にどうなるためのものなのかイメージできなかった。
引っかかる言葉をレティーシャが繰り返すと、彼の指先が溝の底を探る。そして尻の穴よりも腹側にある場所に濡れた指先を少しだけ射し込んだ。
「!」
「ここに俺を挿れて、身体を繋ぐのです」
入口を確認するように動かされていた指は、繋ぐと告げた瞬間に一気に奥まで突き入れられた。
「やっ!」
「キツイですね。一本だけなのに」
「ああ、待って、セオさま、ぬ、抜いてっ」
動かされると、身体の中の異物感に身体が強張る。軽く指を曲げられるだけで、痛みを感じた。
「ゆっくりならしますから、怖がらないで」
「でも」
「夫婦には必要なことですよ。夫婦になった人なら、誰もが通る道なのです」
「どうしてそんなことをするの?」
慣れない痛みでレティーシャの瞳に涙が浮かぶ。
「子をなすためです。……痛みますか?」
静かに頷くと、セオフィラスの指が繊細なものを扱うかのように慎重に抜き去られた。
彼に困った顔をされてしまうと、レティーシャとしては不本意だ。
無理をしてでも続けてもらうべきだったの?
ほかの女性がこの場をどう乗り切ったのか気になる。もっと教えてくれたらよかったのにと姉たちを恨んだ。
「急ぎすぎてしまいましたね。申し訳ない」
「そ、そういうことではないの……」
彼は間違っていないと思って告げるも、覆い被さっていたセオフィラスの身体も離れてしまった。触れられていない肌は、寂しい気持ちとあいまって急速に冷えていく。
どうしよう。
気まずくなってしまった。二人きりで、まだ夜は始まったばかりだというのに。
臀部にあたる絹のシーツの肌触りはさらさらとしていて滑りやすい。レティーシャの柔らかな肌に引っかかることは勿論なかった。
身体をよじればセオフィラスの手によって姿勢を直される。触れられた場所のいずれもが熱を宿すので、彼に熱を与えられているのではないかと錯覚した。
キスをされ、撫でられるたびにレティーシャの唇から甘い声が漏れだす。
「ああっ……」
身体の変化は発熱だけではない。じんわりと発汗もあって、今が真冬であることを忘れさせる。
全身が汗でしっとりとしているが、それ以上にぐっしょりと濡れている場所がある。
「可愛いレティ。もっと感じて」
レティーシャの赤く細い髪が頬に貼りついている。それを指先で優しく払い、深い口づけを交わす。
「んん……」
口づけに引きつけられている間に、セオフィラスの手のひらは肩を撫で、背中をなぞり、臀部にそっと触れる。そのまま太腿へとおりていくのだろうとぼんやりレティーシャが思えば、内腿をたどって足の付け根に向かい始める。
「ん!」
レティーシャは慌てて目蓋を上げる。セオフィラスの、何かよからぬことを企んでいるかのような笑みを浮かべる顔が視界いっぱいに広がっていた。
「集中して、レティ」
「ま、待って、そこは――ふぁっ……」
セオフィラス以外の誰にも触れさせたことなどない乙女の秘所を彼の指が暴いていく。
「やっ、汚いから……」
触られたくなかったのは、自分でもあまり触らない場所だからとか、排泄物が出ていく場所だからというわけではない。
そこが粗相をしたみたいにぐっしょりと濡れていることにレティーシャが気づいていたからだ。綺麗に整えられたベッドの上だ。失禁したと思われたらと恐怖したのだ。
「この液体は汚くなどないですよ」
セオフィラスは色気を孕んだ表情で告げる。
「ほら、わかりませんか? とてもぬるぬるしているでしょう?」
彼の指先がレティーシャの秘められた溝を丁寧になぞった。粘性をともなった液体であることは指先が動くことで理解できる。
「おっしゃるようにぬるぬるしてますけど……」
「俺を受け入れるために、この液体はあなたの身体から溢れてくるのです」
「受け入れる……?」
セオフィラスの説明がレティーシャには具体的にどうなるためのものなのかイメージできなかった。
引っかかる言葉をレティーシャが繰り返すと、彼の指先が溝の底を探る。そして尻の穴よりも腹側にある場所に濡れた指先を少しだけ射し込んだ。
「!」
「ここに俺を挿れて、身体を繋ぐのです」
入口を確認するように動かされていた指は、繋ぐと告げた瞬間に一気に奥まで突き入れられた。
「やっ!」
「キツイですね。一本だけなのに」
「ああ、待って、セオさま、ぬ、抜いてっ」
動かされると、身体の中の異物感に身体が強張る。軽く指を曲げられるだけで、痛みを感じた。
「ゆっくりならしますから、怖がらないで」
「でも」
「夫婦には必要なことですよ。夫婦になった人なら、誰もが通る道なのです」
「どうしてそんなことをするの?」
慣れない痛みでレティーシャの瞳に涙が浮かぶ。
「子をなすためです。……痛みますか?」
静かに頷くと、セオフィラスの指が繊細なものを扱うかのように慎重に抜き去られた。
彼に困った顔をされてしまうと、レティーシャとしては不本意だ。
無理をしてでも続けてもらうべきだったの?
ほかの女性がこの場をどう乗り切ったのか気になる。もっと教えてくれたらよかったのにと姉たちを恨んだ。
「急ぎすぎてしまいましたね。申し訳ない」
「そ、そういうことではないの……」
彼は間違っていないと思って告げるも、覆い被さっていたセオフィラスの身体も離れてしまった。触れられていない肌は、寂しい気持ちとあいまって急速に冷えていく。
どうしよう。
気まずくなってしまった。二人きりで、まだ夜は始まったばかりだというのに。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる