【R-18】不眠症騎士と抱き枕令嬢【書籍版後日譚】

一花カナウ

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一糸纏わず

 もう何も纏っていない。普段であれば心もとない格好だが、レティーシャは気持ちが高揚していることに気づいていた。
 臀部にあたる絹のシーツの肌触りはさらさらとしていて滑りやすい。レティーシャの柔らかな肌に引っかかることは勿論なかった。
 身体をよじればセオフィラスの手によって姿勢を直される。触れられた場所のいずれもが熱を宿すので、彼に熱を与えられているのではないかと錯覚した。
 キスをされ、撫でられるたびにレティーシャの唇から甘い声が漏れだす。

「ああっ……」

 身体の変化は発熱だけではない。じんわりと発汗もあって、今が真冬であることを忘れさせる。
 全身が汗でしっとりとしているが、それ以上にぐっしょりと濡れている場所がある。

「可愛いレティ。もっと感じて」

 レティーシャの赤く細い髪が頬に貼りついている。それを指先で優しく払い、深い口づけを交わす。

「んん……」

 口づけに引きつけられている間に、セオフィラスの手のひらは肩を撫で、背中をなぞり、臀部にそっと触れる。そのまま太腿へとおりていくのだろうとぼんやりレティーシャが思えば、内腿をたどって足の付け根に向かい始める。

「ん!」

 レティーシャは慌てて目蓋を上げる。セオフィラスの、何かよからぬことを企んでいるかのような笑みを浮かべる顔が視界いっぱいに広がっていた。

「集中して、レティ」
「ま、待って、そこは――ふぁっ……」

 セオフィラス以外の誰にも触れさせたことなどない乙女の秘所を彼の指が暴いていく。

「やっ、汚いから……」

 触られたくなかったのは、自分でもあまり触らない場所だからとか、排泄物が出ていく場所だからというわけではない。
 そこが粗相をしたみたいにぐっしょりと濡れていることにレティーシャが気づいていたからだ。綺麗に整えられたベッドの上だ。失禁したと思われたらと恐怖したのだ。

「この液体は汚くなどないですよ」

 セオフィラスは色気を孕んだ表情で告げる。

「ほら、わかりませんか? とてもぬるぬるしているでしょう?」

 彼の指先がレティーシャの秘められた溝を丁寧になぞった。粘性をともなった液体であることは指先が動くことで理解できる。

「おっしゃるようにぬるぬるしてますけど……」
「俺を受け入れるために、この液体はあなたの身体から溢れてくるのです」
「受け入れる……?」

 セオフィラスの説明がレティーシャには具体的にどうなるためのものなのかイメージできなかった。
 引っかかる言葉をレティーシャが繰り返すと、彼の指先が溝の底を探る。そして尻の穴よりも腹側にある場所に濡れた指先を少しだけ射し込んだ。

「!」
「ここに俺を挿れて、身体を繋ぐのです」

 入口を確認するように動かされていた指は、繋ぐと告げた瞬間に一気に奥まで突き入れられた。

「やっ!」
「キツイですね。一本だけなのに」
「ああ、待って、セオさま、ぬ、抜いてっ」

 動かされると、身体の中の異物感に身体が強張る。軽く指を曲げられるだけで、痛みを感じた。

「ゆっくりならしますから、怖がらないで」
「でも」
「夫婦には必要なことですよ。夫婦になった人なら、誰もが通る道なのです」
「どうしてそんなことをするの?」

 慣れない痛みでレティーシャの瞳に涙が浮かぶ。

「子をなすためです。……痛みますか?」

 静かに頷くと、セオフィラスの指が繊細なものを扱うかのように慎重に抜き去られた。
 彼に困った顔をされてしまうと、レティーシャとしては不本意だ。

 無理をしてでも続けてもらうべきだったの?

 ほかの女性がこの場をどう乗り切ったのか気になる。もっと教えてくれたらよかったのにと姉たちを恨んだ。

「急ぎすぎてしまいましたね。申し訳ない」
「そ、そういうことではないの……」

 彼は間違っていないと思って告げるも、覆い被さっていたセオフィラスの身体も離れてしまった。触れられていない肌は、寂しい気持ちとあいまって急速に冷えていく。

 どうしよう。

 気まずくなってしまった。二人きりで、まだ夜は始まったばかりだというのに。
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