上 下
5 / 12
初詣はあなたと。

大凶→吉→吉→大吉

しおりを挟む
※※※※※


 年が明ける。
 麗央は戻って来なかった。なんでも、バイトが忙しいらしい。
 初めて初詣に一人で行った。くじをひく。

「……大凶って、マジかよ」

 麗央のように私には笑えない。待人来ず、確かにそのとおり。
 大きなため息をついて、私はおみくじを結んだ。麗央が結んだ場所には全然届かない。なんか悔しい。


※※※※※


 さらに翌年。
 おみくじは吉。待人は来ず。
 町が開催する二十歳の祝いのイベントは、人数が集まらなくて複数の市町村で合同のものになった。そこに麗央の姿はなかった。

「……見せたかったのになあ」

 馬子にも衣装ではあるけれど、こんな綺麗な振袖を着る機会はきっとない。撮った写真はメッセージで送った。悔しがるスタンプがついていたけど、本気なのかどうなのかよくわからない。相手は麗央だし。


※※※※※


 その翌年は吉で、さらに翌年は大吉だった。

「大吉、あるじゃん」

 これまで中吉までしか見たことがなかったので、私は小躍りした。
 概ね私にとって都合のいいことが並んでいる。就職も良いらしい。頑張って都会にある職場を選んだから、ケチがつかなくてよかったと思う。

「願望は正しく願えばすぐに叶う、か。転居もいい感じだし、失物はすぐ出るねえ」

 嬉しい気持ちを胸に、私は家に急いだ。
しおりを挟む

処理中です...