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影の王女の成婚
隣国の婚約者 2
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「……苦労しているので、白く変わってしまったんです」
プイッと横を向く。ガラ空きになった首筋にバルドゥインが口づけをした。ぺろりと舐めたのちにきつく吸い上げると私の体は甘く震える。
気持ちがよくてたまらない。漏れた声が熱っぽく、ねだるような色が混じる。
「苦労しているのは事実だろうが、こんなにはならないだろう」
再び指が私の中に差し込まれる。抵抗なく飲み込まれてしまうことに納得できない。
「やぁん……おかしくなるから……やだ、やだっ私……」
「マグダレナ。僕の手で乱れる君はとてもきれいだ」
「こんなの、私じゃないっ……」
キュウっと締まって、彼の指の太さ長さを強く意識してしまう。もっと気持ちよくなれる場所があると悟ってしまって、強い快感を求めてしまうのだ。
「う、動かしたら、やだ……」
「そうか、もっと激しいのがお好みか?」
中をかき混ぜるように抜き挿しされるとたまらない。
「ひゃうぅ」
彼の背中に手を回し、抱きついてしまった。バルドゥインが耳元で笑う。
「いい反応だ」
「やっ……こんなの、拷問……」
自分で抱きついたのに、胸の先が彼のジャケットに触れるだけでジンジンして気持ちがいい。どうすれば終わりにしてもらえるのだろう。
つい腰が動いてしまう。身体が焦れているときにどうすればいいのか、エリーゼの痴態を見すぎて覚えてしまったらしい。
「ふむ。君は本当に処女なのか?」
「どっちでもいいじゃないですか」
唇が重なる。舌が絡まる。
頭の芯がぼうっとした。身体の力が抜ける。
バルドゥインが私の上からどいて、指が引き抜かれる。濡れた指先を彼は美味しそうに舐めた。
「水分補給は必要か?」
尋ねられたが応えられない。
汗はびっしょりかいていて、シーツもしっとりしている。身体が冷えてしまいそうなのに、火照った肌は熱を逃さない。
「少し飲んだほうがよさそうだ」
バルドゥインは私から離れてテーブルのそばに移動する。置かれていた水差しからグラスに飲み水を移し、彼は水を口に含む。喉が数回動く。それから私のいるベッドに戻ってきて、唇を重ねた。
「ん……」
温い水が私の喉に流れ込む。口移しされて素直に飲み込んだ。
唇は離れることなくそのまま深い口づけに移行する。背中側にバルドゥインの腕が入り込み、上半身を少し持ち上げられて胸を揉まれる。
「んんん……」
ゾクゾクした。触れられていない場所もキュンと疼く。
このまま抱かれることに抵抗はない。でも、真実を黙ったままというのは気が引ける。
バルドゥインが探しているのは婚約者のマリアンネなのだ。
「……バルドゥイン様」
「なんだ?」
「私は……あなたさまが婚約していたマリアンネさまではありません」
それは事実だ。婚約していたのは、私の双子の姉だ。
「そして、マリアンネさまはあの戦乱で亡くなられました」
「違う。確かに彼女は……亡くなったと伝えられていたが、そんなはずはないんだ。国が焼かれたあのとき、彼女はまだ本国に戻っていなかった。傷を癒すためにこちらに残っていたのだから」
動揺している。それはそうだろう。バルドゥインはマリアンネが生きていると信じて、想い続けてきたのだもの。
私はゆるゆると首を横に振った。
「亡くなったのは事実でございます。私は、彼女ではない。私をマリアンネさまの代わりとして抱きたいなら好きにすればいい。メイドの身分である私に拒否権はございません。演じろとおっしゃるなら、あなた様に夢を見せて差し上げましょう。愛おしいマリアンネさまとのひとときと思いながら私に触れてください」
バルドゥイン王子は憎き敵ではない。敵国の第二王子であることは違いないが、彼があの戦を止めようと動いていたことはよく知っている。
マリアンネは私によく言っていた。彼はよき王となるだろう、愚かな選択はしない人だと。その言葉を疑っていたけれど、バルドゥイン王子は第一王子と違って話し合いの重要性を説き、戦わずに済む道を模索していた。力及ばず、こういう結果を迎えてしまったのだけども。
私は第一王子を失脚させて王太子の座を奪い、第二王子であるバルドゥインを次期王に据えるためにこの王宮にいる。現国王の体調が思わしくないとの報を受け、私を含めた数名が潜入しているのだった。
彼に奉仕することは本来の任務から逸れはするが、私の気持ちとしては望まれるなら尽くしてもいいと思えた。バルドゥインが私の国の行く末を案じてくれたことは嬉しかったし、その恩を返せるなら今だと感じたからだ。
――思い合っていた相手ではなくて申し訳ないけれど。せめて、夢を見せるくらいならば、私がひと肌脱ぐことは構わない。
様子を窺っていると、バルドゥインは狼狽えていた。
「そんな……」
言葉を失っているようだ。
――ああ、また選択を誤ってしまった。
王座を目指す気持ちを失ってしまっただろうか。いつかマリアンネ王女を迎えるために頑張ってきたと聞いている。心が折れてしまったら、困難な道を進めない。
私は首を緩く横に振って、彼の腕の中から逃れた。
「……私、もう行きませんと。優しくしてくださりありがとうございました」
この場を離れよう。任務は失敗だ。一度戻って、次の作戦を練らないと。
王の体調不良については伏せられているが、回復の見込みはないと聞く。のんびりはしていられない。
メイド服をかき集めて出て行こうとしたところで腕を掴まれた。
プイッと横を向く。ガラ空きになった首筋にバルドゥインが口づけをした。ぺろりと舐めたのちにきつく吸い上げると私の体は甘く震える。
気持ちがよくてたまらない。漏れた声が熱っぽく、ねだるような色が混じる。
「苦労しているのは事実だろうが、こんなにはならないだろう」
再び指が私の中に差し込まれる。抵抗なく飲み込まれてしまうことに納得できない。
「やぁん……おかしくなるから……やだ、やだっ私……」
「マグダレナ。僕の手で乱れる君はとてもきれいだ」
「こんなの、私じゃないっ……」
キュウっと締まって、彼の指の太さ長さを強く意識してしまう。もっと気持ちよくなれる場所があると悟ってしまって、強い快感を求めてしまうのだ。
「う、動かしたら、やだ……」
「そうか、もっと激しいのがお好みか?」
中をかき混ぜるように抜き挿しされるとたまらない。
「ひゃうぅ」
彼の背中に手を回し、抱きついてしまった。バルドゥインが耳元で笑う。
「いい反応だ」
「やっ……こんなの、拷問……」
自分で抱きついたのに、胸の先が彼のジャケットに触れるだけでジンジンして気持ちがいい。どうすれば終わりにしてもらえるのだろう。
つい腰が動いてしまう。身体が焦れているときにどうすればいいのか、エリーゼの痴態を見すぎて覚えてしまったらしい。
「ふむ。君は本当に処女なのか?」
「どっちでもいいじゃないですか」
唇が重なる。舌が絡まる。
頭の芯がぼうっとした。身体の力が抜ける。
バルドゥインが私の上からどいて、指が引き抜かれる。濡れた指先を彼は美味しそうに舐めた。
「水分補給は必要か?」
尋ねられたが応えられない。
汗はびっしょりかいていて、シーツもしっとりしている。身体が冷えてしまいそうなのに、火照った肌は熱を逃さない。
「少し飲んだほうがよさそうだ」
バルドゥインは私から離れてテーブルのそばに移動する。置かれていた水差しからグラスに飲み水を移し、彼は水を口に含む。喉が数回動く。それから私のいるベッドに戻ってきて、唇を重ねた。
「ん……」
温い水が私の喉に流れ込む。口移しされて素直に飲み込んだ。
唇は離れることなくそのまま深い口づけに移行する。背中側にバルドゥインの腕が入り込み、上半身を少し持ち上げられて胸を揉まれる。
「んんん……」
ゾクゾクした。触れられていない場所もキュンと疼く。
このまま抱かれることに抵抗はない。でも、真実を黙ったままというのは気が引ける。
バルドゥインが探しているのは婚約者のマリアンネなのだ。
「……バルドゥイン様」
「なんだ?」
「私は……あなたさまが婚約していたマリアンネさまではありません」
それは事実だ。婚約していたのは、私の双子の姉だ。
「そして、マリアンネさまはあの戦乱で亡くなられました」
「違う。確かに彼女は……亡くなったと伝えられていたが、そんなはずはないんだ。国が焼かれたあのとき、彼女はまだ本国に戻っていなかった。傷を癒すためにこちらに残っていたのだから」
動揺している。それはそうだろう。バルドゥインはマリアンネが生きていると信じて、想い続けてきたのだもの。
私はゆるゆると首を横に振った。
「亡くなったのは事実でございます。私は、彼女ではない。私をマリアンネさまの代わりとして抱きたいなら好きにすればいい。メイドの身分である私に拒否権はございません。演じろとおっしゃるなら、あなた様に夢を見せて差し上げましょう。愛おしいマリアンネさまとのひとときと思いながら私に触れてください」
バルドゥイン王子は憎き敵ではない。敵国の第二王子であることは違いないが、彼があの戦を止めようと動いていたことはよく知っている。
マリアンネは私によく言っていた。彼はよき王となるだろう、愚かな選択はしない人だと。その言葉を疑っていたけれど、バルドゥイン王子は第一王子と違って話し合いの重要性を説き、戦わずに済む道を模索していた。力及ばず、こういう結果を迎えてしまったのだけども。
私は第一王子を失脚させて王太子の座を奪い、第二王子であるバルドゥインを次期王に据えるためにこの王宮にいる。現国王の体調が思わしくないとの報を受け、私を含めた数名が潜入しているのだった。
彼に奉仕することは本来の任務から逸れはするが、私の気持ちとしては望まれるなら尽くしてもいいと思えた。バルドゥインが私の国の行く末を案じてくれたことは嬉しかったし、その恩を返せるなら今だと感じたからだ。
――思い合っていた相手ではなくて申し訳ないけれど。せめて、夢を見せるくらいならば、私がひと肌脱ぐことは構わない。
様子を窺っていると、バルドゥインは狼狽えていた。
「そんな……」
言葉を失っているようだ。
――ああ、また選択を誤ってしまった。
王座を目指す気持ちを失ってしまっただろうか。いつかマリアンネ王女を迎えるために頑張ってきたと聞いている。心が折れてしまったら、困難な道を進めない。
私は首を緩く横に振って、彼の腕の中から逃れた。
「……私、もう行きませんと。優しくしてくださりありがとうございました」
この場を離れよう。任務は失敗だ。一度戻って、次の作戦を練らないと。
王の体調不良については伏せられているが、回復の見込みはないと聞く。のんびりはしていられない。
メイド服をかき集めて出て行こうとしたところで腕を掴まれた。
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