宝石寝物語【短編集】

一花カナウ

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カーネリアンの物語

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 失恋した。というか、なんで私が好きになる男はみんな女を連れているんだろうね! 見る目がないと言ってくれるな。いい男だから女を連れているんだよ。
 やけ酒をしたあと、部屋でスマホを握る。ゲームアプリを立ち上げて、ムフフとほくそ笑む。
 身近にいる男に恋心を抱くのはよろしくないと考えるようになった頃から、私は二次元に持て余しているエネルギーを注ぐことを覚えた。落ち込んだ気持ちを引きずりやすかった私は、二次元の推しのお陰で活力アップである。元気になれたら感謝の気持ちを込めて課金する。ホストに貢ぐよりは健全な気がした。
 二次元の推しがエクササイズ系のゲームとコラボしたお陰で肉体改造も進み、体力回復もえらく早くなった。すごいな、二次元の推し!
 推しが健気に励ましてくれるから、マイナス10キロの目標達成まであと少しである。目標に到達したら、推しの衣装を着て写真を残したい。エクササイズを始めたときにはほど遠いと思っていた目標だったけれど、ウェディングドレスの写真を撮るよりもそっちのほうが早く現実になりそうだ。


《終わり》

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カーネリアンの宝石言葉
【活力アップ】【体力回復】【目標達成】
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