宝石寝物語【短編集】

一花カナウ

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アクアマリンの物語

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 結婚に安定を求めてきたけれど、知人たちが次々と離婚しているのを聞くとうーんと唸らざるを得ない。自分はそれなりに聡明だと信じているので、迂闊なことはできない慎重派なのである。
 感受性が高くて周囲に振り回されがちだったのは幼い頃までだと胸を張っていたけど、よくよく考えたら周りの反応を気にしすぎている今も大差ないかもしれない。いや、まわりの意見はちゃんと聞いておこう。失敗したくないし。
 とはいえ、若さが有利なうちに、できるだけ健康なあいだに運命の伴侶に出会いたい。きっと私に合う人がいるはずなのだ。人類の半分は異性なんだよ? 同性も含めたらとんでもない人数じゃん。まだ出会えていないだけに決まっている。
 そう言い聞かせて、私はアプリの画面をつつく。


《終わり》

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アクアマリンの宝石言葉
【安定】【聡明】【感受性】【若さ】【健康】

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