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1:魔導師として宮廷入りしたので、そのお仕事はお引き受けしかねます!
事件の真相と師匠の秘密 1
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口の中が甘い。液体が流し込まれているのを認め、アルフォンシーヌはそれを素直に飲み込んだ。
ゆっくりと目を開けると、眼鏡が似合う見慣れた美男――メルヒオールの顔が間近にあった。
ここはベッドの上らしい。裸のまま寝かされて、毛布をかけられている状態のようだ。入浴中に気絶したところを、メルヒオールに運んでもらったといったところだろうか。
顔を覗き込んでくるメルヒオールの表情はいつもと違って少し不安げだ。
「少しはしゃぎすぎてしまいましたね。遅れるとまずいので、避妊薬は口移しで飲ませました。ちゃんと効くといいのですが」
彼にしては珍しい表情に、アルフォンシーヌは不思議な気持ちになる。
「メルヒオールさまは、子どもは欲しくないんですか?」
しきりに避妊薬を勧めてくる理由はなんなのだろうという、単純な好奇心からの質問だった。
アルフォンシーヌが妊娠したところで知らぬ存ぜぬを通すことだって可能なはずだ。容姿からメルヒオールの子だとわかったとしても、言い訳はいくらだってできよう。
それらを選択せずに、避妊薬による回避を望んでいる理由はあるのだろうか。
問えば、メルヒオールは眉間にしわを寄せる。
「俺と君が師弟関係を結んでいるのを忘れたのですか? 規則では恋愛は禁止とある。例外は――俺なら認めさせることができますけど、それは最後の手段にしたいですからね」
次の質問を投げかけようとして、メルヒオールに口づけで封じられた。舌を絡めるキスは、恋人たちがするような甘くとろけるもので、アルフォンシーヌは彼に委ねてされるがまま受け入れた。
気持ちいい……魔力の相性がいいとメルヒオールさまは言っていたけれど、それもこの心地よさに繋がっているのかしら?
「はぁ……」
トロンとした気持ちでメルヒオールを見つめる。彼の青い瞳に情熱が宿っているのが目に映った。
「アル……俺は君を立派な宮廷魔導師にしてやりたいと考えています。そうなったときに、君の気持ちが変わっていないのなら、俺は君を妻として迎えたい。ですから、早く俺がいるところまで来てくださいね」
メルヒオールはそう告げて、アルフォンシーヌの赤い髪を撫でた。愛おしむような仕草だと感じられたのは思い込みゆえだろうか。
「……はい?」
あれ? これってプロポーズ?
聞き間違いではないかと不安に思って聞き返すと、メルヒオールにプイと顔を背けられてしまった。頬が薄っすらと赤く染まっている気がする。
夢?
思わず頬に手を伸ばしてむにゅっと掴む。なるほど、痛い。
「……アルの気持ちは知っていました。ですが、ただの憧れを恋だと錯覚している可能性もありますから、慎重にことを進めるつもりで接していたのです」
「ま、待ってください、師匠。あたし、そんな段階で処女を奪われたんですか? なんか、すっごく納得がいかないんですが」
メルヒオールはあからさまに不機嫌そうな顔をした。
「すべてはリシャール殿下が悪ふざけをするからいけないのです」
リシャール殿下の名前が出て、アルフォンシーヌはメルヒオールに尋ねねばいけないことを思い出した。
彼はなぜ、あの場所に現れたのか。
ゆっくりと目を開けると、眼鏡が似合う見慣れた美男――メルヒオールの顔が間近にあった。
ここはベッドの上らしい。裸のまま寝かされて、毛布をかけられている状態のようだ。入浴中に気絶したところを、メルヒオールに運んでもらったといったところだろうか。
顔を覗き込んでくるメルヒオールの表情はいつもと違って少し不安げだ。
「少しはしゃぎすぎてしまいましたね。遅れるとまずいので、避妊薬は口移しで飲ませました。ちゃんと効くといいのですが」
彼にしては珍しい表情に、アルフォンシーヌは不思議な気持ちになる。
「メルヒオールさまは、子どもは欲しくないんですか?」
しきりに避妊薬を勧めてくる理由はなんなのだろうという、単純な好奇心からの質問だった。
アルフォンシーヌが妊娠したところで知らぬ存ぜぬを通すことだって可能なはずだ。容姿からメルヒオールの子だとわかったとしても、言い訳はいくらだってできよう。
それらを選択せずに、避妊薬による回避を望んでいる理由はあるのだろうか。
問えば、メルヒオールは眉間にしわを寄せる。
「俺と君が師弟関係を結んでいるのを忘れたのですか? 規則では恋愛は禁止とある。例外は――俺なら認めさせることができますけど、それは最後の手段にしたいですからね」
次の質問を投げかけようとして、メルヒオールに口づけで封じられた。舌を絡めるキスは、恋人たちがするような甘くとろけるもので、アルフォンシーヌは彼に委ねてされるがまま受け入れた。
気持ちいい……魔力の相性がいいとメルヒオールさまは言っていたけれど、それもこの心地よさに繋がっているのかしら?
「はぁ……」
トロンとした気持ちでメルヒオールを見つめる。彼の青い瞳に情熱が宿っているのが目に映った。
「アル……俺は君を立派な宮廷魔導師にしてやりたいと考えています。そうなったときに、君の気持ちが変わっていないのなら、俺は君を妻として迎えたい。ですから、早く俺がいるところまで来てくださいね」
メルヒオールはそう告げて、アルフォンシーヌの赤い髪を撫でた。愛おしむような仕草だと感じられたのは思い込みゆえだろうか。
「……はい?」
あれ? これってプロポーズ?
聞き間違いではないかと不安に思って聞き返すと、メルヒオールにプイと顔を背けられてしまった。頬が薄っすらと赤く染まっている気がする。
夢?
思わず頬に手を伸ばしてむにゅっと掴む。なるほど、痛い。
「……アルの気持ちは知っていました。ですが、ただの憧れを恋だと錯覚している可能性もありますから、慎重にことを進めるつもりで接していたのです」
「ま、待ってください、師匠。あたし、そんな段階で処女を奪われたんですか? なんか、すっごく納得がいかないんですが」
メルヒオールはあからさまに不機嫌そうな顔をした。
「すべてはリシャール殿下が悪ふざけをするからいけないのです」
リシャール殿下の名前が出て、アルフォンシーヌはメルヒオールに尋ねねばいけないことを思い出した。
彼はなぜ、あの場所に現れたのか。
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