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第17話 歩哨
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ダフマンは野営地の一角で歩哨の任務に就いていた。
昼間の疲れのせいか、身体を動かしていないと立ったまま眠ってしまいそうだ。肩や腰が痛むのは火器や食料を担いで前線と輸送車の間を何度も往復したせいだ。軍務の最中には微塵も感じなかった疲労が、夕食を取り終えたとたん、どっと彼の身体に圧しかかった。軍隊生活に慣れたつもりでも、まだまだ体力不足は否めなかった。
彼は腕時計で時刻を確認した。交代時刻まで優に二時間はある。消灯ラッパが聞こえてから、かなりの時刻が経ったように思われる。敵襲の心配はないとはいえ、眠りこけているところを見つかれば上官の叱責は免れ得ない。彼は気を引き締めると再び直立不動の姿勢をとった。
不意にライトの灯が彼の眼を射た。その向こうにランドローバーの車体が一瞬だけ浮かび上がった。運転席から一人の男が降り立った。ライトに目を射られたために、すぐに相手を識別することはできなかった。が、こんな時刻にランドローバーで宿営地を訪ねてくる者といえば上官と決まっている。
彼は捧げ銃の姿勢で相手の言葉を待った。すると相手は親し気な口調で話しかけてきた。
「ダフマン、俺だよ」
緊張気味のダフマンの顔が急に崩れた。
「ロードバックじゃないか! どうしたんだ? こんな夜中に」
そう言ってからダフマンはハッと我に返って直立不動の姿勢をとった。軍隊にいる以上、自分と彼との関係は友人ではなく上官と部下なのだ。
「失礼しました、中佐。何の御用でしょうか?」
「いや、用はないんだ。ただおまえと少し話がしたくてな」
「俺と? いえ、自分とでありますか?」
「そうだ、それも上官と部下ではなく、昔の友人としてだ」
ロードバックは切り倒された丸太に腰を落とすと、ダフマンにも隣に座るように勧めた。
「どうだ、軍隊生活は? 慣れるとけっこう楽しいもんだろ?」
「ああ、気分はまるで修学旅行かピクニックといったところさ」
「おめでとう。銃の腕を買われて上等兵に抜擢されたんだって?」
「ああ、狩りをやっていたお陰さ。金持の趣味も満更捨てたもんじゃない」
ダフマンは中佐の階級章をつけている男と、こうして対等な口を利いていることに違和感を覚えた。普通であれば上等兵が中佐と口を利くことなど考えられないことだ。これはグローク人兵士の間にも瀰漫している問題だった。下士官と兵が対等な口を利くことなど日常茶飯事だった。無理もない。つい二か月前までみんな同じ二等兵だったのだから。だが階級意識なくして軍隊の秩序が維持できるのだろうか? 上層部はそのことに気付いているのだろうか?
「俺は中隊長に任命されたんだが、正直戸惑っている。いいのか? 上等兵が中隊の指揮を執って。その任務は尉官を当てるのが普通だろ」
「天幕に戻ってみろ。おまえはきっと曹長に昇進しているよ」
「本当か?!」
「ああ、おまえはここでは士官候補生扱いだ。字が読めて計算ができるからな」
「わずか二か月で下士官か。司令部もまたずいぶんと無茶な人事をするな」
「人手が足りないんだ。実戦に出るまでに最低でも三千人の士官を確保せねばならん」
「役に立つのか? そんな即席士官が」
「役に立ってもらわねば困るんだ。なにせ一部の部署を除いて、すべてをグローク人で賄わねばならぬ部隊だ。我々が欲しいのはその道のエキスパートだ。適性が認められれば、すぐにでも士官への道が開かれる。これはチャンスだぞ。ダフマン」
ダフマンが地面に目を落とした。
「俺は軍隊で出世しようとは思わないが……」
「自分の意思など関係ないさ。何事も上層部の都合次第さ。俺だって少佐に昇進してわずか三か月で中佐に昇進だ。何の功績も立てないのにな。ウォーケンが人事部にかけあったら一発だ。人手不足の賜物だよ」
「自分で志願しておいて言うのも何だが、俺に軍人の資質があるとは思えないが……」
「それはこちらで判断することだ。だが頭のいいおまえのことだ。ここを卒業する頃には、きっと士官に昇進しているよ。もう少し自分に自信を持つことだ」
ロードバックは労いの気持ちを込めてダフマンの肩をポンと叩いた。
だがダフマンは困惑した表情を隠そうとはしなかった。
「グローク人の間に不満が渦巻いている。入団したときは皆二等兵だったのに、卒団するときは片や士官、片や兵卒のままだ。あまり階級に差をつけるのも問題じゃないか?」
「それは専門課程ではっきりと一線を引くつもりだ。希望者には実地訓練を受けさせて、その結果によって士官候補生となるべき者を選抜する」
「専門過程か。俺になにか適性があればな」
「どうだ、射撃が得意なら、いっそ砲術を受けてみちゃ」
「大砲撃ちか。勇ましい話だな」
二人の口元にふと笑みが浮かんだ。
ダフマンは煙草の火を揉み消すと、
「実際のところどうなんだ、俺たちの実力は? こんな即席部隊が兵力になるのか?」
「グローク人は立派にやっているさ。他のどの部隊の新兵よりも意欲的だ。もし彼らが優秀な兵士に育たなかったら、それは俺たち首脳部の責任だ」
「そうか、それを聞いて安心したよ。俺たちゃ軍のお荷物で、せいぜい後方勤務が関の山、前線で戦うことはないだろうって、そんな噂を耳にしたものだから」
「第五四戦隊は連邦最強、いや、宇宙最強だ。こんな精鋭部隊を上層部を放っておくと思うか?」
「そうだな、グローク人奴隷解放はグローク人自らの手で行なわなければ……」
夜空を見上げるダフマンの顔には堅い決意が漲っていた。
これなら大丈夫だろう。
ロードバックはその姿に自分の血気盛んな士官候補生時代を重ね合わせて安堵した。
そのとき二人の前に人影が立った。スレイヤーだ。彼は一等兵の肩章を付けていた。
「よう、丸眼鏡。交代に来たぜ」
ダフマンは呆れ顔でロードバックと顔を見合わせた。
「上官に対してこの態度だ。階級意識が微塵もない」
「いずれ徹底させるさ。ウォーケンがおまえにそうしたように……」
ロードバックはランドローバーに乗り込むと、ふと何かを思い付いたように振り返った。
「ウォーケンは決しておまえを見捨てたわけじゃない。おまえに対して突き放した態度を取ったのは、あいつなりの友情の証なんだ。そのことを忘れないでくれ」
「わかってるよ。今のままでは……、甘えん坊のままではすぐに戦場で命を落とす。だから変えてやらねば。そういうことだろ?」
「まあ、そういうことだ。今の言葉を聴いたら、あいつも安心するだろう」
「あいつに頼まれたのか? 俺の様子を見てくるように」
「そうだ。でもそのことはおまえに言わないよう、あいつに釘を刺されてね」
「……」
ダフマンは双眼を閉じて、ウォーケンの友誼を心の底で噛み締めた。
「わかった。もしあいつに会うことがあっても、今のことは内緒にしておくよ」
「しかしおまえも変わったな。自分のことを俺だなんて」
ロードバックはそう言い残してランドローバーを発進させた。
ダフマンは今になって気が付いた。いつの間にか自分のことを僕ではなく俺と言っていたのだ。
敬礼しながらランドローバーを見送るダフマンの背中に、スレイヤーが訝し気な視線を投げかけた。
「なんだ、あいつは? 人類の士官がおまえに何の用だ?」
「司令部の幕僚の一人だ。俺の幼馴染だよ」
「ほう、こいつは驚いた。さすがは金持ちのお坊ちゃんだ。軍にもちゃんと縁故関係があったとはな。それなら軟弱者のおまえでも中隊長になれる道理だ」
「そう僻むなよ。おまえだって操艦技術はトップクラスの腕前だ。いずれは下士官に……」
スレイヤーはダフマンの言葉に耳を貸さなかった。
「こいつは知らなかった。軍隊ってのは、親か友人のコネがなきゃ出世できねえんだな」
ダフマンがムキになって反駁した。
「俺は銃の腕を認められて中隊長に抜擢されたんだ。彼とは何の関係もない」
「お金持ちのおまえのことだ。裏で司令部の連中に金でもばら撒いているんじゃねえかと思ってよ。今度は一足飛びに大将にしてくださいとか頼んでよ。さっきのあれ、賄賂の受け渡しでもしてたんだろ?」
「おい、もう一遍言ってみろ!」
「おっ、怒ったな。丸眼鏡」
ダフマンが怒りに任せてスレイヤーの胸倉を掴んだ。
スレイヤーが侮蔑するような笑みを浮かべた。
「おまえは人類に尻尾を振って媚びる犬ころだ」
ダフマンの顔にプッと唾が飛んだ。丸眼鏡から唾液が滴り落ちる。だが次の瞬間、ダフマンの放った拳の一撃がスレイヤーの腹部を抉った。スレイヤーは腹を抱えて地面に蹲った。ダフマンは自身の行為に驚愕しつつ、スレイヤーの反撃に身構えた。だが彼は苦し気な表情でダフマンを見上げただけだった。
「やるじゃねえか、ダフマン。少しは見直したぜ」
スレイヤーが苦笑いを浮かべて手を差し出した。その態度に敵意がないことを読み取ったダフマンは、その手を握って彼を引っ張り上げた。
「いいか、一言だけ言っておく。あいつには縁故関係など通用しない。よく覚えておけ」
「フン、冗談を真に受けやがって。一介の中佐にそんな権限などないことぐらい、俺にだってわかっているよ」
「いや、彼のことじゃないんだ」
「じゃあ、誰のことだ?」
「ここの司令官さ」
「ああ、なんだって?」
「ウォーケン少将閣下も俺の幼馴染なんだ」
そう言い残して天幕へ帰ってゆくダフマンの背中を、スレイヤーは唖然とした表情で見送っていた。
昼間の疲れのせいか、身体を動かしていないと立ったまま眠ってしまいそうだ。肩や腰が痛むのは火器や食料を担いで前線と輸送車の間を何度も往復したせいだ。軍務の最中には微塵も感じなかった疲労が、夕食を取り終えたとたん、どっと彼の身体に圧しかかった。軍隊生活に慣れたつもりでも、まだまだ体力不足は否めなかった。
彼は腕時計で時刻を確認した。交代時刻まで優に二時間はある。消灯ラッパが聞こえてから、かなりの時刻が経ったように思われる。敵襲の心配はないとはいえ、眠りこけているところを見つかれば上官の叱責は免れ得ない。彼は気を引き締めると再び直立不動の姿勢をとった。
不意にライトの灯が彼の眼を射た。その向こうにランドローバーの車体が一瞬だけ浮かび上がった。運転席から一人の男が降り立った。ライトに目を射られたために、すぐに相手を識別することはできなかった。が、こんな時刻にランドローバーで宿営地を訪ねてくる者といえば上官と決まっている。
彼は捧げ銃の姿勢で相手の言葉を待った。すると相手は親し気な口調で話しかけてきた。
「ダフマン、俺だよ」
緊張気味のダフマンの顔が急に崩れた。
「ロードバックじゃないか! どうしたんだ? こんな夜中に」
そう言ってからダフマンはハッと我に返って直立不動の姿勢をとった。軍隊にいる以上、自分と彼との関係は友人ではなく上官と部下なのだ。
「失礼しました、中佐。何の御用でしょうか?」
「いや、用はないんだ。ただおまえと少し話がしたくてな」
「俺と? いえ、自分とでありますか?」
「そうだ、それも上官と部下ではなく、昔の友人としてだ」
ロードバックは切り倒された丸太に腰を落とすと、ダフマンにも隣に座るように勧めた。
「どうだ、軍隊生活は? 慣れるとけっこう楽しいもんだろ?」
「ああ、気分はまるで修学旅行かピクニックといったところさ」
「おめでとう。銃の腕を買われて上等兵に抜擢されたんだって?」
「ああ、狩りをやっていたお陰さ。金持の趣味も満更捨てたもんじゃない」
ダフマンは中佐の階級章をつけている男と、こうして対等な口を利いていることに違和感を覚えた。普通であれば上等兵が中佐と口を利くことなど考えられないことだ。これはグローク人兵士の間にも瀰漫している問題だった。下士官と兵が対等な口を利くことなど日常茶飯事だった。無理もない。つい二か月前までみんな同じ二等兵だったのだから。だが階級意識なくして軍隊の秩序が維持できるのだろうか? 上層部はそのことに気付いているのだろうか?
「俺は中隊長に任命されたんだが、正直戸惑っている。いいのか? 上等兵が中隊の指揮を執って。その任務は尉官を当てるのが普通だろ」
「天幕に戻ってみろ。おまえはきっと曹長に昇進しているよ」
「本当か?!」
「ああ、おまえはここでは士官候補生扱いだ。字が読めて計算ができるからな」
「わずか二か月で下士官か。司令部もまたずいぶんと無茶な人事をするな」
「人手が足りないんだ。実戦に出るまでに最低でも三千人の士官を確保せねばならん」
「役に立つのか? そんな即席士官が」
「役に立ってもらわねば困るんだ。なにせ一部の部署を除いて、すべてをグローク人で賄わねばならぬ部隊だ。我々が欲しいのはその道のエキスパートだ。適性が認められれば、すぐにでも士官への道が開かれる。これはチャンスだぞ。ダフマン」
ダフマンが地面に目を落とした。
「俺は軍隊で出世しようとは思わないが……」
「自分の意思など関係ないさ。何事も上層部の都合次第さ。俺だって少佐に昇進してわずか三か月で中佐に昇進だ。何の功績も立てないのにな。ウォーケンが人事部にかけあったら一発だ。人手不足の賜物だよ」
「自分で志願しておいて言うのも何だが、俺に軍人の資質があるとは思えないが……」
「それはこちらで判断することだ。だが頭のいいおまえのことだ。ここを卒業する頃には、きっと士官に昇進しているよ。もう少し自分に自信を持つことだ」
ロードバックは労いの気持ちを込めてダフマンの肩をポンと叩いた。
だがダフマンは困惑した表情を隠そうとはしなかった。
「グローク人の間に不満が渦巻いている。入団したときは皆二等兵だったのに、卒団するときは片や士官、片や兵卒のままだ。あまり階級に差をつけるのも問題じゃないか?」
「それは専門課程ではっきりと一線を引くつもりだ。希望者には実地訓練を受けさせて、その結果によって士官候補生となるべき者を選抜する」
「専門過程か。俺になにか適性があればな」
「どうだ、射撃が得意なら、いっそ砲術を受けてみちゃ」
「大砲撃ちか。勇ましい話だな」
二人の口元にふと笑みが浮かんだ。
ダフマンは煙草の火を揉み消すと、
「実際のところどうなんだ、俺たちの実力は? こんな即席部隊が兵力になるのか?」
「グローク人は立派にやっているさ。他のどの部隊の新兵よりも意欲的だ。もし彼らが優秀な兵士に育たなかったら、それは俺たち首脳部の責任だ」
「そうか、それを聞いて安心したよ。俺たちゃ軍のお荷物で、せいぜい後方勤務が関の山、前線で戦うことはないだろうって、そんな噂を耳にしたものだから」
「第五四戦隊は連邦最強、いや、宇宙最強だ。こんな精鋭部隊を上層部を放っておくと思うか?」
「そうだな、グローク人奴隷解放はグローク人自らの手で行なわなければ……」
夜空を見上げるダフマンの顔には堅い決意が漲っていた。
これなら大丈夫だろう。
ロードバックはその姿に自分の血気盛んな士官候補生時代を重ね合わせて安堵した。
そのとき二人の前に人影が立った。スレイヤーだ。彼は一等兵の肩章を付けていた。
「よう、丸眼鏡。交代に来たぜ」
ダフマンは呆れ顔でロードバックと顔を見合わせた。
「上官に対してこの態度だ。階級意識が微塵もない」
「いずれ徹底させるさ。ウォーケンがおまえにそうしたように……」
ロードバックはランドローバーに乗り込むと、ふと何かを思い付いたように振り返った。
「ウォーケンは決しておまえを見捨てたわけじゃない。おまえに対して突き放した態度を取ったのは、あいつなりの友情の証なんだ。そのことを忘れないでくれ」
「わかってるよ。今のままでは……、甘えん坊のままではすぐに戦場で命を落とす。だから変えてやらねば。そういうことだろ?」
「まあ、そういうことだ。今の言葉を聴いたら、あいつも安心するだろう」
「あいつに頼まれたのか? 俺の様子を見てくるように」
「そうだ。でもそのことはおまえに言わないよう、あいつに釘を刺されてね」
「……」
ダフマンは双眼を閉じて、ウォーケンの友誼を心の底で噛み締めた。
「わかった。もしあいつに会うことがあっても、今のことは内緒にしておくよ」
「しかしおまえも変わったな。自分のことを俺だなんて」
ロードバックはそう言い残してランドローバーを発進させた。
ダフマンは今になって気が付いた。いつの間にか自分のことを僕ではなく俺と言っていたのだ。
敬礼しながらランドローバーを見送るダフマンの背中に、スレイヤーが訝し気な視線を投げかけた。
「なんだ、あいつは? 人類の士官がおまえに何の用だ?」
「司令部の幕僚の一人だ。俺の幼馴染だよ」
「ほう、こいつは驚いた。さすがは金持ちのお坊ちゃんだ。軍にもちゃんと縁故関係があったとはな。それなら軟弱者のおまえでも中隊長になれる道理だ」
「そう僻むなよ。おまえだって操艦技術はトップクラスの腕前だ。いずれは下士官に……」
スレイヤーはダフマンの言葉に耳を貸さなかった。
「こいつは知らなかった。軍隊ってのは、親か友人のコネがなきゃ出世できねえんだな」
ダフマンがムキになって反駁した。
「俺は銃の腕を認められて中隊長に抜擢されたんだ。彼とは何の関係もない」
「お金持ちのおまえのことだ。裏で司令部の連中に金でもばら撒いているんじゃねえかと思ってよ。今度は一足飛びに大将にしてくださいとか頼んでよ。さっきのあれ、賄賂の受け渡しでもしてたんだろ?」
「おい、もう一遍言ってみろ!」
「おっ、怒ったな。丸眼鏡」
ダフマンが怒りに任せてスレイヤーの胸倉を掴んだ。
スレイヤーが侮蔑するような笑みを浮かべた。
「おまえは人類に尻尾を振って媚びる犬ころだ」
ダフマンの顔にプッと唾が飛んだ。丸眼鏡から唾液が滴り落ちる。だが次の瞬間、ダフマンの放った拳の一撃がスレイヤーの腹部を抉った。スレイヤーは腹を抱えて地面に蹲った。ダフマンは自身の行為に驚愕しつつ、スレイヤーの反撃に身構えた。だが彼は苦し気な表情でダフマンを見上げただけだった。
「やるじゃねえか、ダフマン。少しは見直したぜ」
スレイヤーが苦笑いを浮かべて手を差し出した。その態度に敵意がないことを読み取ったダフマンは、その手を握って彼を引っ張り上げた。
「いいか、一言だけ言っておく。あいつには縁故関係など通用しない。よく覚えておけ」
「フン、冗談を真に受けやがって。一介の中佐にそんな権限などないことぐらい、俺にだってわかっているよ」
「いや、彼のことじゃないんだ」
「じゃあ、誰のことだ?」
「ここの司令官さ」
「ああ、なんだって?」
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