【完結】アシュリンと魔法の絵本

秋月一花

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3章:アシュリンと再会。

アシュリンとお兄ちゃん。 8話

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 小屋の中には小さなキッチンがついていて、「今日は兄ちゃんが作ってあげる」とアシュリンの頭をぽんとでるアンディ。

 そなえ付けの冷蔵庫を開けて中を確認すると、いろいろなものが入っていた。

「お兄ちゃんの料理、ひさしぶりだぁ。なにを作ってくれるの?」
「うーん……そうだなぁ。フレンチトーストはどうだろう? おいしいパンを持ってるんだ」
「え、食べたい!」

 アシュリンの言葉と同時にお腹もぐぅーっと鳴り、ばっとお腹を両手でおさえる。

 しっかり耳に届いていたようで、アンディはくすりと笑うとすぐに手をきれいにしてから、フレンチトーストを作り始めた。

 ボウルにたまご、牛乳、砂糖を入れてくるくるとかき混ぜる。

「……あわだて器、使わないの?」
「魔法でかき混ぜても同じだからね」

 アンディはボウルに右手の人差し指をかざし、くるくると円を描くように動かしている。その動きに合わせてボウルの中身も回っていた。

「……お兄ちゃんが料理に魔法を使うって、不思議な感じ」

 フォーサイス家にいたときは、キッチン道具を使っていたのでアンディとボウルを交互に見てつぶやくアシュリン。

「ニーグルム、おれのかばん持ってきてくれる?」
「使い魔あつかいのあらいヤツだ」

 ニーグルムは、アンディが座っていた場所の近くで丸くなっていた。

 その上にはノワールが気持ちよさそうに眠っていて、むくりと起き上がったニーグルムから転がり落ちてキョトンとしている。

 アンディのかばんの取っ手を口でつかみ、スタスタと持ってきた。

「ありがとう」
「どういたしまして」

 かばんからバケットを取り出して、バケットをスライスしてボウルの中に入れ、ひたす。そのあいだにフライパンとバターを取り出して、火にかける。

 ねっしたフライパンにバターを入れて溶かし、ひたしたバケットをフライパンへ。アンディが魔法を使ったのか、ひたっていた時間は短かったが、しっかり中まで卵液らんえきがしみ込んでいた。

 弱火でじっくりと焼いていく姿を見ながら、おいしそうな匂いにおなかはぐぅぐぅと空腹を主張している。トングでバケットをひっくり返しながら、「アシュリンのお腹は正直だな」とアンディがやさしく微笑む。

 じっくりと焼いて、お皿を用意するとその上に乗せていく。大きなフライパンで焼いたので、二人分があっという間にできた。

 アンディがテーブルまで運び、アシュリンは自分のリュックからサラダとドレッシング、果物を取り出す。

 テーブルの上に並べると、アンディが目を丸くして彼女を見た。

「野菜、食べられるようになったんだ?」
「あれからもう、三年もっているんだよ、お兄ちゃん」
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