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動物は小さい頃から好きだった。

家庭の環境もあったと思う。

母親は私が2歳の時離婚し、4歳の時再婚、5歳で双子を産み、私は男の子2人の姉となった。

勿論、父親は違う。

両親は双子に夢中で、姉の存在など全く無視だった。

5歳の私は、まだまだ母親に甘えたかったが、双子はそれを許さなかった。



6歳の時、初めて猫を拾った。

綺麗な三毛猫で、ナナと名付けた。

後から、オスと分かったが。

私は毎晩ナナを抱きしめて寝た。

母親の温もりを猫に求めるかのように。

ナナは他の家族には嫌われていた。

単に、皆猫嫌いだっただけだが、それが一層私を孤立させた。

小学校1年の私は学校に行っている時、ナナが虐められていないか、いつも心配だった。



そんな時、授業を受けていると黒板にナナが現れた。

『助けて、助けて。』

ナナが助けを求めている。

最初は夢かと思った。

しかし、私はきちんと起きて授業を受けている。

先生が書いた黒板の文字が消えて、ナナの顔が浮かんでくるのだ。

私は慌て教室を飛び出した。

家に着くまで、決して脚を止めなかった。

階段を上がり、自分の部屋を開けると、双子がナナの耳を引っ張り、脚をおもちゃで挟んでいる。

私がいる時は付けていないリードがナナの首には付いていた。

慌てて双子をナナから離す。

ナナを抱き抱えて、リードを外した。

双子は私に何するんだと言っているように、口からブーブー音を出した。



後から母が、私の頭を殴った。

『学校はどうしたの!』

私はナナを抱きしめ、只々震えた。


この人達、私がいない間にこんな事して。

怒りしか無かった。

母親を突き飛ばし、双子を部屋から追い出した。

ナナを抱きしめ、ベッドに入り、呼んでくれてありがとうと何度も撫でた。



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