18 / 86
第二部「あなたに贈るシフソフィラ」編
7:近づくほどに遠く霞む
しおりを挟む
「こちらが家宝を保管しておりました倉庫になります」
わずかに漂う土の匂いに、イクスは鼻を鳴らした。地下とはいえ、しっかりと手入れのされた床や壁は、鈍く光を反射している。空気は淀むことなく澄んでおり、少し肌寒いほどだった。
「ご存知かとは思いますが——六ヶ月前、この倉庫に賊が入りました。当家の家宝である『陽の名残』が盗まれ、それは今も戻ってきておりません」
早口で話す執事は、胡散臭そうな目でイクスを見た。メンフィス家令嬢とヴァールハイトの騎士がいなければ、話もしたくないというような顔だ。
早々に追い返そうとする意図をひしひしと感じながらも、イクスは地下室を観察してみた。
地下室は思ったよりも広く、イクスの部屋くらいの大きさがある。しかし件《くだん》の倉庫は、さらにその先——固く閉ざされた扉の向こう側にあるようだった。
「心中お察しいたしますわ。大切な家宝を盗まれるということは、魂を削り取られるようなものですもの」
険悪な空気に気づいたのだろう。マリアベルがそっと言葉を滑り込ませる。それだけのことで、執事の眉間に刻まれたしわは薄くなった。しかも目頭を押さえながら、感激したように肩を震わせている。
「マリアベル様……お気遣い感謝いたします。主人もそのお言葉で慰められることでしょう」
「いいえ、わたくしの言葉などは無力ですもの。ああ……それなのにこんなことを聞いていいのか……失礼を承知でお尋ねしますが、ルーヴァン様の家宝とはどのようなもでしたのかしら?」
わたくし、何とかお力になりたいのです。切々と訴えるマリアベルの声を聞いたイクスは、『女は得だな』と独りごちた。男がそんなことをやっても、鼻で笑われるか気味悪がられるだけだ。
何となくヴィルに目を向けると、騎士は問うように片眉を持ち上げる。精悍な横顔は端正であるものの、言うまでもなくそういう種類の可愛らしさとは無縁だった。
「マリアベル様に隠し立てするようなことではございませんが……当家の家宝である『陽の名残』は少し変わっておりまして。緋色の『魔法石』をあしらった——世に二つと無い魔法の指輪なのです」
「……魔法石、ですか?」
聞きなれない単語だったのだろう。マリアベルは小首を傾げ、ヴィルに視線を送った。その視線を受けた騎士は、記憶を辿るように目を上に向ける。
「魔法石って言えば……魔法使いだけが作れる魔力の結晶体、だったか?」
「概ねそれで正解だ。だが、細かなことを言えば少し違う」
魔法石、とは。魔法使いが生涯に一度だけ生み出すことのできる、魔力の結晶体である。
生み出された魔法石は、魔法使いによって様々な色形を持ち、大きさも一定ではない。だがその小さな石に込められた力は例外なく強大で、資質のないものですら魔法と扱えるようになることがある程だ。
とは言え、魔法使い自体が少なくなった今、魔法石を目にする機会はまずないと言っていい。
そんな魔法石だからこそ、貴族の家宝になるのだろうが——イクスは皮肉な思いで閉ざされた扉を見やる。
魔法石は、真の意味で魔法使いの命なのだ。それを装飾品として身につける神経は、魔法使いには到底理解できなかった。
その瞬間、イクスの頰を何かが撫でた。思わず頰に手を当てたが、そこには何の痕跡も残っていない。気のせいか——そう考え視線を落としたイクスの耳に、声が届く。
「魔法石は、満月の下で美しい光を放つのです」
何かが抜け落ちたように虚ろな声だった。意識を引き戻されたイクスは、扉の前に立つ執事を見る。老齢の男はうわごとのように、その言葉を紡いでいく。
「まるで生きているかのように……だから、あの満月の日に消え失せたのは、指輪自身の意思だったのかと……」
脈絡もなくそんなことを口にした執事は、ぼんやりと宙を見つめていた。奇妙なほど空っぽなまなざしに、イクスは説明のできない異様さを感じる。それはヴィルたちも同様で、二人は顔を見合わせた。
「申し訳ありません。事件当日の話でございましたね。何なりとお尋ねくださいませ」
先ほどまでとはうって変わった態度は、何を意味するのだろうか。だが、明確な理由など何も見出せず、イクスは疑問を感じながらも問いを投げかけ始めた。
「ならば質問させてもらう。まずは、事件当日ののことだ。異変には侯爵が気づいたとのことだったが、それ以前に異変はなかったのか?」
「はい、特には何も……あの日は来客もありませんでしたし、屋敷に出入りした人間もはっきりしております。その中でここに近づけた人間はいません」
「何故そうわかる?」
「主人が戻られる時刻には、私が玄関ホールに待機しておりましたから。もし不審な人間がいれば気づいたはずです」
次に問うべきは、事件発覚前のことだろうか。イクスは顎に手を当て、再び問いかける。
「異変に気付いたのは、具体的にいつのことなんだ?」
「主人に湯の支度を命じられ、私は一度ホールから下がりましたので具体的にいつかは存じません。しかし
私がホールを少し離れた間に、あの白い花びらが地下へと続いていたのです」
「その少し離れた間に出入りした人間はいないのか」
「出入りしたものはおりません。ご覧になればおわかりかと思いますが、地下にに行くためには必ず、玄関ホールを通ることになります。もし誰かが地下に降りたとしても、逃げ出す前に私か主人と鉢合わせしたはずです。それくらいに少しの間でした」
地下に降り、扉を開き家宝を盗み、そして逃げる。手際よく行えたとしても、一瞬で済むわけもない。だとしたら、その少しの間で起こった変化は何を意味するのだろう。
「花びらを見つけたのは侯爵なんだな。その後すぐに地下へ降りたのか」
「はい、異変に気付いてすぐ、主人とともに地下へと降りました。そこで扉を確認しましたが、鍵は閉まっており、壊されてもいませんでした。しかし、主人に中を調べるよう命じられましたので、私が鍵を開け——家宝が納められていた箱が空になっているのを発見したのです」
その過程に不審なものはないように思う。だがイクスはそこで、重ねて問いを投げかける。
「その扉の鍵は誰が管理しているんだ?」
「私でございます。重要な場所の鍵に関しては、常に身につけ持ち歩いているのです。この倉庫の鍵に関しても同様で——私が持っているもの以外、複製もありません」
「それは確実か」
「ええ。それにこの扉の鍵は少々特殊なものでして、普通の鍵のように簡単に複製できないのです」
だとしたら、執事以外には扉を開けられないということになるが——それならば、犯人はどうやって倉庫に侵入したのだろうか。
「確認だが、倉庫に窓や出入り出来る隙間などは」
「ありません。お疑いならば中をご覧になりますか。今は大したものもございませんが」
言いながら、執事は懐から鍵を取り出す。取り出された鍵は、いくつもの突起とへこみが組み合わされた複雑なもので、型を取るのも難しいように見える。
イクスたちが見守る中、執事は無言で鍵を差し込み扉を開く。ゆっくりと開かれて行く扉の先に目を凝らしたイクスは、現れた光景に眉を寄せた。
「……一応聞くが、魔法石の指輪の他に盗られたものは?」
「ござません。もともと、ここは家宝のためだけの部屋でした。そこに白い——あれはおそらくソフィラの花でしょうが……そのしおれた花びらが舞う様は、かなり異様な光景でござました」
そう言って執事は夢見るように微笑む。開かれた扉の先では——枯れ果てたたくさんの花びらが、無残な残骸を床の上に散らしていた。
わずかに漂う土の匂いに、イクスは鼻を鳴らした。地下とはいえ、しっかりと手入れのされた床や壁は、鈍く光を反射している。空気は淀むことなく澄んでおり、少し肌寒いほどだった。
「ご存知かとは思いますが——六ヶ月前、この倉庫に賊が入りました。当家の家宝である『陽の名残』が盗まれ、それは今も戻ってきておりません」
早口で話す執事は、胡散臭そうな目でイクスを見た。メンフィス家令嬢とヴァールハイトの騎士がいなければ、話もしたくないというような顔だ。
早々に追い返そうとする意図をひしひしと感じながらも、イクスは地下室を観察してみた。
地下室は思ったよりも広く、イクスの部屋くらいの大きさがある。しかし件《くだん》の倉庫は、さらにその先——固く閉ざされた扉の向こう側にあるようだった。
「心中お察しいたしますわ。大切な家宝を盗まれるということは、魂を削り取られるようなものですもの」
険悪な空気に気づいたのだろう。マリアベルがそっと言葉を滑り込ませる。それだけのことで、執事の眉間に刻まれたしわは薄くなった。しかも目頭を押さえながら、感激したように肩を震わせている。
「マリアベル様……お気遣い感謝いたします。主人もそのお言葉で慰められることでしょう」
「いいえ、わたくしの言葉などは無力ですもの。ああ……それなのにこんなことを聞いていいのか……失礼を承知でお尋ねしますが、ルーヴァン様の家宝とはどのようなもでしたのかしら?」
わたくし、何とかお力になりたいのです。切々と訴えるマリアベルの声を聞いたイクスは、『女は得だな』と独りごちた。男がそんなことをやっても、鼻で笑われるか気味悪がられるだけだ。
何となくヴィルに目を向けると、騎士は問うように片眉を持ち上げる。精悍な横顔は端正であるものの、言うまでもなくそういう種類の可愛らしさとは無縁だった。
「マリアベル様に隠し立てするようなことではございませんが……当家の家宝である『陽の名残』は少し変わっておりまして。緋色の『魔法石』をあしらった——世に二つと無い魔法の指輪なのです」
「……魔法石、ですか?」
聞きなれない単語だったのだろう。マリアベルは小首を傾げ、ヴィルに視線を送った。その視線を受けた騎士は、記憶を辿るように目を上に向ける。
「魔法石って言えば……魔法使いだけが作れる魔力の結晶体、だったか?」
「概ねそれで正解だ。だが、細かなことを言えば少し違う」
魔法石、とは。魔法使いが生涯に一度だけ生み出すことのできる、魔力の結晶体である。
生み出された魔法石は、魔法使いによって様々な色形を持ち、大きさも一定ではない。だがその小さな石に込められた力は例外なく強大で、資質のないものですら魔法と扱えるようになることがある程だ。
とは言え、魔法使い自体が少なくなった今、魔法石を目にする機会はまずないと言っていい。
そんな魔法石だからこそ、貴族の家宝になるのだろうが——イクスは皮肉な思いで閉ざされた扉を見やる。
魔法石は、真の意味で魔法使いの命なのだ。それを装飾品として身につける神経は、魔法使いには到底理解できなかった。
その瞬間、イクスの頰を何かが撫でた。思わず頰に手を当てたが、そこには何の痕跡も残っていない。気のせいか——そう考え視線を落としたイクスの耳に、声が届く。
「魔法石は、満月の下で美しい光を放つのです」
何かが抜け落ちたように虚ろな声だった。意識を引き戻されたイクスは、扉の前に立つ執事を見る。老齢の男はうわごとのように、その言葉を紡いでいく。
「まるで生きているかのように……だから、あの満月の日に消え失せたのは、指輪自身の意思だったのかと……」
脈絡もなくそんなことを口にした執事は、ぼんやりと宙を見つめていた。奇妙なほど空っぽなまなざしに、イクスは説明のできない異様さを感じる。それはヴィルたちも同様で、二人は顔を見合わせた。
「申し訳ありません。事件当日の話でございましたね。何なりとお尋ねくださいませ」
先ほどまでとはうって変わった態度は、何を意味するのだろうか。だが、明確な理由など何も見出せず、イクスは疑問を感じながらも問いを投げかけ始めた。
「ならば質問させてもらう。まずは、事件当日ののことだ。異変には侯爵が気づいたとのことだったが、それ以前に異変はなかったのか?」
「はい、特には何も……あの日は来客もありませんでしたし、屋敷に出入りした人間もはっきりしております。その中でここに近づけた人間はいません」
「何故そうわかる?」
「主人が戻られる時刻には、私が玄関ホールに待機しておりましたから。もし不審な人間がいれば気づいたはずです」
次に問うべきは、事件発覚前のことだろうか。イクスは顎に手を当て、再び問いかける。
「異変に気付いたのは、具体的にいつのことなんだ?」
「主人に湯の支度を命じられ、私は一度ホールから下がりましたので具体的にいつかは存じません。しかし
私がホールを少し離れた間に、あの白い花びらが地下へと続いていたのです」
「その少し離れた間に出入りした人間はいないのか」
「出入りしたものはおりません。ご覧になればおわかりかと思いますが、地下にに行くためには必ず、玄関ホールを通ることになります。もし誰かが地下に降りたとしても、逃げ出す前に私か主人と鉢合わせしたはずです。それくらいに少しの間でした」
地下に降り、扉を開き家宝を盗み、そして逃げる。手際よく行えたとしても、一瞬で済むわけもない。だとしたら、その少しの間で起こった変化は何を意味するのだろう。
「花びらを見つけたのは侯爵なんだな。その後すぐに地下へ降りたのか」
「はい、異変に気付いてすぐ、主人とともに地下へと降りました。そこで扉を確認しましたが、鍵は閉まっており、壊されてもいませんでした。しかし、主人に中を調べるよう命じられましたので、私が鍵を開け——家宝が納められていた箱が空になっているのを発見したのです」
その過程に不審なものはないように思う。だがイクスはそこで、重ねて問いを投げかける。
「その扉の鍵は誰が管理しているんだ?」
「私でございます。重要な場所の鍵に関しては、常に身につけ持ち歩いているのです。この倉庫の鍵に関しても同様で——私が持っているもの以外、複製もありません」
「それは確実か」
「ええ。それにこの扉の鍵は少々特殊なものでして、普通の鍵のように簡単に複製できないのです」
だとしたら、執事以外には扉を開けられないということになるが——それならば、犯人はどうやって倉庫に侵入したのだろうか。
「確認だが、倉庫に窓や出入り出来る隙間などは」
「ありません。お疑いならば中をご覧になりますか。今は大したものもございませんが」
言いながら、執事は懐から鍵を取り出す。取り出された鍵は、いくつもの突起とへこみが組み合わされた複雑なもので、型を取るのも難しいように見える。
イクスたちが見守る中、執事は無言で鍵を差し込み扉を開く。ゆっくりと開かれて行く扉の先に目を凝らしたイクスは、現れた光景に眉を寄せた。
「……一応聞くが、魔法石の指輪の他に盗られたものは?」
「ござません。もともと、ここは家宝のためだけの部屋でした。そこに白い——あれはおそらくソフィラの花でしょうが……そのしおれた花びらが舞う様は、かなり異様な光景でござました」
そう言って執事は夢見るように微笑む。開かれた扉の先では——枯れ果てたたくさんの花びらが、無残な残骸を床の上に散らしていた。
0
あなたにおすすめの小説
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる