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第三部「魔法使いの掟とソフィラの願い」編
4-5.窓辺に映る永遠の鏡像
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のろのろと扉を開くと、夕日が窓から差し込んでいた。薄暗くなった部屋にため息をこぼし、キールは手を一度打ち鳴らす。すると照明に光が灯り、椅子に腰掛けた彼の姿が浮かび上がる。
「ん、なんだやっと起きたのか。邪魔してるぞ」
「……ルパートさん」
どういう反応を返していいのかもわからず、キールは戸惑いながらテーブルに歩み寄る。ルパートといえば、勝手知ったる他人の家という風情でくつろいでいた。大きく伸びをした彼は、俯くキールに片眉を上げてみせる。
「なんだよ、昨日の今日でやつれまくって。まるでこの世の終わりみたいな顔だな」
「ノヴァは?」
「あ? チビ助? さっきまで俺が持ってきた飯食ってたぞ。今は散歩に行ってくるってさ」
気楽に言われ、今度こそなんと返していいのかわからず。キールは無言で向かいの席に腰をおろした。夕闇は窓の外を覆い、森は夜に沈んで行こうとしている。窓辺に揺れる秋の花も、色彩を陰らせていた。
語りかける理由もなく、青年は黙って自分の手を見つめる。白いソフィラは、師を殺めた日からことあるごとに咲き誇っていた。その意味すらも掴めぬまま、早数年。キールはもう、あの頃の感情を正確に思い出せなくなっていた。
だからといって、全てがなかったことになるわけではない。そんなわかりきったことを知らしめるように、今もソフィラは幻の中で咲き続ける。それはまるで己が狂っている証のようで、彼は無言で花を握りつぶした。
「どうしたよ。って聞かれたくもなさそうだがな。話してみる気があるなら聞くぜ。それで何ができるとは確約できんがな」
何気ない調子で告げながらも、ルパートの目は笑っていなかった。どうして今、彼がここにいるのかも含めて、キールの事情と無関係ではないということなのか。深読みするしかないキールには、ルパートの真意すらも測りかねた。単なる善意と言われても、それを信じられない心境であったせいかもしれない。
ためらうキールをしばらく見つめた後、ルパートは長い息を吐き出した。どこか疲れたような表情は、常に活力にあふれた彼らしくもない。不可解な態度にキールが顔を上げると、真正面からルパートと目があった。
「魔法絡みのことか」
「どうして、そう思うんですか」
「別に、ただなんとなく。って言いたいところだが。俺の方にもそう思うだけの事情があるんだよ。だからお前の抱え込んでる状況が無関係とは言えなくてな。こうしてここに出向いているわけだ」
ルパートの事情は皆目見当もつかない。だが、ここまで話を向けられて拒絶するほど、キールは頑なでも強くもなかった。再び自分の手を見つめ、眉尻を下げる。どうあっても巻き込みたくない、と言うには、キールはあまりにも無力過ぎた。
「僕のために何かして欲しい。と言うわけではないんです。けれど、僕の状況があなた方に害をなす可能性が少しでもあるのなら……黙っていることはできません。だから、どうか聞いてください」
顔を上げた青年の表情は、覚悟とは程遠かった。息をすることも困難な場所で、刺し違えるだけの覚悟など必要ない。遠ざかっていた人たちならばそう言うのだろう。けれど所詮、無力さはキールのものでしかなく、頼るしかない現実もまた、変わることはなかった。
夜に起こった事を、キールは途切れ途切れに語っていく。ノヴァとのやりとり、そこから続くフラメウとの邂逅——そして今まで自分が何を考え、足踏みを続けていたのかも。
話が進んでも、そして終わっても。ルパートの表情は泰然としたまま動くことはなかった。ふむ、と一つ頷いた男は、後ろ頭を掻きながらつまらなげに唇を歪める。
「フラメウ。それがお前の葛藤の根源、ってわけか」
「どう考えてもらっても構いません。僕がフラメウに囚われているのは、変えようもないことです。ですが、ルパートさん。あなたにどんな理由があるのかわかりませんが、もし師と事を構えようと思っているのなら……やめてください。いくらあなたに森の加護があるといはいえ、魔法使い相手では荷が重すぎる」
「まあ、相手が悪いのは認めるがね。だが結論を出す前に、お前さんに一つ聞いておきたいことがある」
すっと、指先をキールに突きつけ、ルパートは笑う。いつもとは種類の違う笑顔に薄ら寒いものを感じ、キールは眉を寄せる。しかし強がりでしかない険しさなど、歴戦の勇士には通じない。薄い笑みを顔に浮かべたまま、彼は冷徹な声音をキールにぶつける。
「ひとつ。魔法っていうのは、誰かを意のままに操ることは出来るのか」
「仰る意味がよく……文字通りの意味でしたら、可能です。魔法の系統はいくつかありますが、その中でも特に精神系と呼ばれる魔法の中に、人の行動を操ることができるものも。ですが、どれほどの使い手であろうと、完全に人の心を操るのは不可能です。多くの場合は、人の潜在的な願望に働きかけて、行動を誘導するくらいですよ」
「本気で操ろうとしたら、どうするんだ」
「精神っていうものは、そもそも魔法的な力がおよびにくい部位でもあるんです。もし誰かを完全に掌握しようとするなら……心を破壊するしかありません。ただ、そんな事をする魔法使いはまずいませんけど」
そもそも精神魔法自体、使い手は限られる。ルパートの意図は不明だが、少なくとも不特定多数の誰かを攻撃するのに、精神魔法と用いることはあり得ない。フラメウであればなおさらだ。彼ならそんな手間のかかる事などせず、見せしめに村を焦土に変えてしまう事だろう。
それも含めて伝えると、ルパートは奇妙に疲れた表情を浮かべた。眉間に指を当てた男は、ボソリと何か呟いて顔を上げる。つまらなげに、けれどどうしようもなさそうにも見える諦めに近い表情。そんなものをキールに向けて、ルパートは本当に仕方なさそうに息を吐き出した。
「お前の言い分は理解した。じゃあ、俺の結論を伝えよう。まず、キール。お前がフラメウと対決するっていうなら、俺は最大限の援護をしてやる。無論、クルスにも通さにゃならんが……どのみち、放置する道もない」
「でも。あなた方には協力する理由はないのでは」
「それだがな。さっきも言った通り、俺の方にも事情がある。だから、って訳でもないが、気兼ねする必要はねぇよ。それに繰り返しになるが、俺に出来るのは援護くらいだからな」
思った以上に気楽に言われ、キールは気が抜けたような声を出してしまった。助けてもらえるのは正直にありがたい。しかし、どうして危険だとわかっている場所に自ら踏み込もうとするのか、それが理解できない。
困惑をあらわにする青年に、ルパートは呆れたような視線を向ける。指先でテーブルを叩き、軽く身を乗り出してキールを睨む。その瞳の激しさと表情の険しさの理由は、考えるまでもない事だった。
「キール、見損なうなよ。お前ら魔法使いがどうかは知らないが、人間ってものは一人で生きられねぇんだ。だからこそ助け合うし、時にはいがみ合いもする。でもな、一度でも心に入れちまったものが傷つくとわかっていて、見捨てられるほど薄情じゃねぇんだよ。少なくとも俺は、自分と他人を天秤にかけて、自分の安全だけを優先できるほど器用じゃねぇし」
単純に心配だからだと言わないあたり、キールの性格を見抜いているのか。しかし遠回しな言い方でも伝わる温かさに、キールはただただ深く頭を下げる。結局、魔法使いというものは独りよがりな生き物なのかもしれない。自分だって人間であったはずなのに、いつしかそばにある優しさを忘れ去っている。
目を開いても見えないものなら、一度目を閉ざせばいい。それでも近くにある温度を感じられるならば、それはきっと、本当の意味で消えないぬくもりなのだろうから。
「ありがとう。……どんな言葉に代えても足りないくらいに」
告げた言葉の返事は、頭を叩く力強い手。まだ自分は一人ではない。そう気付くことが幸せなのだと、ただ思うだけでも満ち足りる。手のひら一つ分の温かさは今、確かに胸の奥に届いていた。
「ん、なんだやっと起きたのか。邪魔してるぞ」
「……ルパートさん」
どういう反応を返していいのかもわからず、キールは戸惑いながらテーブルに歩み寄る。ルパートといえば、勝手知ったる他人の家という風情でくつろいでいた。大きく伸びをした彼は、俯くキールに片眉を上げてみせる。
「なんだよ、昨日の今日でやつれまくって。まるでこの世の終わりみたいな顔だな」
「ノヴァは?」
「あ? チビ助? さっきまで俺が持ってきた飯食ってたぞ。今は散歩に行ってくるってさ」
気楽に言われ、今度こそなんと返していいのかわからず。キールは無言で向かいの席に腰をおろした。夕闇は窓の外を覆い、森は夜に沈んで行こうとしている。窓辺に揺れる秋の花も、色彩を陰らせていた。
語りかける理由もなく、青年は黙って自分の手を見つめる。白いソフィラは、師を殺めた日からことあるごとに咲き誇っていた。その意味すらも掴めぬまま、早数年。キールはもう、あの頃の感情を正確に思い出せなくなっていた。
だからといって、全てがなかったことになるわけではない。そんなわかりきったことを知らしめるように、今もソフィラは幻の中で咲き続ける。それはまるで己が狂っている証のようで、彼は無言で花を握りつぶした。
「どうしたよ。って聞かれたくもなさそうだがな。話してみる気があるなら聞くぜ。それで何ができるとは確約できんがな」
何気ない調子で告げながらも、ルパートの目は笑っていなかった。どうして今、彼がここにいるのかも含めて、キールの事情と無関係ではないということなのか。深読みするしかないキールには、ルパートの真意すらも測りかねた。単なる善意と言われても、それを信じられない心境であったせいかもしれない。
ためらうキールをしばらく見つめた後、ルパートは長い息を吐き出した。どこか疲れたような表情は、常に活力にあふれた彼らしくもない。不可解な態度にキールが顔を上げると、真正面からルパートと目があった。
「魔法絡みのことか」
「どうして、そう思うんですか」
「別に、ただなんとなく。って言いたいところだが。俺の方にもそう思うだけの事情があるんだよ。だからお前の抱え込んでる状況が無関係とは言えなくてな。こうしてここに出向いているわけだ」
ルパートの事情は皆目見当もつかない。だが、ここまで話を向けられて拒絶するほど、キールは頑なでも強くもなかった。再び自分の手を見つめ、眉尻を下げる。どうあっても巻き込みたくない、と言うには、キールはあまりにも無力過ぎた。
「僕のために何かして欲しい。と言うわけではないんです。けれど、僕の状況があなた方に害をなす可能性が少しでもあるのなら……黙っていることはできません。だから、どうか聞いてください」
顔を上げた青年の表情は、覚悟とは程遠かった。息をすることも困難な場所で、刺し違えるだけの覚悟など必要ない。遠ざかっていた人たちならばそう言うのだろう。けれど所詮、無力さはキールのものでしかなく、頼るしかない現実もまた、変わることはなかった。
夜に起こった事を、キールは途切れ途切れに語っていく。ノヴァとのやりとり、そこから続くフラメウとの邂逅——そして今まで自分が何を考え、足踏みを続けていたのかも。
話が進んでも、そして終わっても。ルパートの表情は泰然としたまま動くことはなかった。ふむ、と一つ頷いた男は、後ろ頭を掻きながらつまらなげに唇を歪める。
「フラメウ。それがお前の葛藤の根源、ってわけか」
「どう考えてもらっても構いません。僕がフラメウに囚われているのは、変えようもないことです。ですが、ルパートさん。あなたにどんな理由があるのかわかりませんが、もし師と事を構えようと思っているのなら……やめてください。いくらあなたに森の加護があるといはいえ、魔法使い相手では荷が重すぎる」
「まあ、相手が悪いのは認めるがね。だが結論を出す前に、お前さんに一つ聞いておきたいことがある」
すっと、指先をキールに突きつけ、ルパートは笑う。いつもとは種類の違う笑顔に薄ら寒いものを感じ、キールは眉を寄せる。しかし強がりでしかない険しさなど、歴戦の勇士には通じない。薄い笑みを顔に浮かべたまま、彼は冷徹な声音をキールにぶつける。
「ひとつ。魔法っていうのは、誰かを意のままに操ることは出来るのか」
「仰る意味がよく……文字通りの意味でしたら、可能です。魔法の系統はいくつかありますが、その中でも特に精神系と呼ばれる魔法の中に、人の行動を操ることができるものも。ですが、どれほどの使い手であろうと、完全に人の心を操るのは不可能です。多くの場合は、人の潜在的な願望に働きかけて、行動を誘導するくらいですよ」
「本気で操ろうとしたら、どうするんだ」
「精神っていうものは、そもそも魔法的な力がおよびにくい部位でもあるんです。もし誰かを完全に掌握しようとするなら……心を破壊するしかありません。ただ、そんな事をする魔法使いはまずいませんけど」
そもそも精神魔法自体、使い手は限られる。ルパートの意図は不明だが、少なくとも不特定多数の誰かを攻撃するのに、精神魔法と用いることはあり得ない。フラメウであればなおさらだ。彼ならそんな手間のかかる事などせず、見せしめに村を焦土に変えてしまう事だろう。
それも含めて伝えると、ルパートは奇妙に疲れた表情を浮かべた。眉間に指を当てた男は、ボソリと何か呟いて顔を上げる。つまらなげに、けれどどうしようもなさそうにも見える諦めに近い表情。そんなものをキールに向けて、ルパートは本当に仕方なさそうに息を吐き出した。
「お前の言い分は理解した。じゃあ、俺の結論を伝えよう。まず、キール。お前がフラメウと対決するっていうなら、俺は最大限の援護をしてやる。無論、クルスにも通さにゃならんが……どのみち、放置する道もない」
「でも。あなた方には協力する理由はないのでは」
「それだがな。さっきも言った通り、俺の方にも事情がある。だから、って訳でもないが、気兼ねする必要はねぇよ。それに繰り返しになるが、俺に出来るのは援護くらいだからな」
思った以上に気楽に言われ、キールは気が抜けたような声を出してしまった。助けてもらえるのは正直にありがたい。しかし、どうして危険だとわかっている場所に自ら踏み込もうとするのか、それが理解できない。
困惑をあらわにする青年に、ルパートは呆れたような視線を向ける。指先でテーブルを叩き、軽く身を乗り出してキールを睨む。その瞳の激しさと表情の険しさの理由は、考えるまでもない事だった。
「キール、見損なうなよ。お前ら魔法使いがどうかは知らないが、人間ってものは一人で生きられねぇんだ。だからこそ助け合うし、時にはいがみ合いもする。でもな、一度でも心に入れちまったものが傷つくとわかっていて、見捨てられるほど薄情じゃねぇんだよ。少なくとも俺は、自分と他人を天秤にかけて、自分の安全だけを優先できるほど器用じゃねぇし」
単純に心配だからだと言わないあたり、キールの性格を見抜いているのか。しかし遠回しな言い方でも伝わる温かさに、キールはただただ深く頭を下げる。結局、魔法使いというものは独りよがりな生き物なのかもしれない。自分だって人間であったはずなのに、いつしかそばにある優しさを忘れ去っている。
目を開いても見えないものなら、一度目を閉ざせばいい。それでも近くにある温度を感じられるならば、それはきっと、本当の意味で消えないぬくもりなのだろうから。
「ありがとう。……どんな言葉に代えても足りないくらいに」
告げた言葉の返事は、頭を叩く力強い手。まだ自分は一人ではない。そう気付くことが幸せなのだと、ただ思うだけでも満ち足りる。手のひら一つ分の温かさは今、確かに胸の奥に届いていた。
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