4 / 25
4.
しおりを挟む
そして、そのわずか数日後。
僕は運命の出会いを果たした。
取引先に行くのに少し手前で車を降りて一人で外を歩いていた。早く着いたのでコンビニに寄ろうと思って。
曲がり角、出合頭に腕の中に飛び込んできたのはスレンダーな長身にサラサラの長い髪の女性だった。ドンとぶつかり、
「あ」
と彼女が声を上げるのと、
「すみませんっ」
と僕が慌てて謝罪を口にするのはほぼ同時だった。
彼女はパッと顔を上げて僕を見た。
その黒い瞳が揺れる長い髪が抜けるように白い肌が、全てが目に飛び込んで来た。彼女以外の世界が急速に遠のいていく。ガシッと胸を鷲掴みにされたような感覚に襲われ、ドクンドクンと怖いくらいに胸が高鳴っていた。
なんだこれ!?
彼女から目が離せない。
この人だこの人だこの人だ。
脳内に出会いを祝福する鐘の音が聞こえる。
彼女の周りがキラキラと光り輝いていた。
ちょっと待って。本当に!?
本当に、彼女が僕の運命の人!?
そう思って焦っていると、彼女は苦痛に耐えるような表情で眉を顰め、そのままぐらりと身体がかしいだ。
「え、大丈夫ですか!?」
驚いて両腕で彼女を抱き止める。ぶつかった時の衝撃? いや、そんな勢いでぶつかってはいない。
「すみません。大丈夫です」
彼女は気丈にもそう言うが、全く大丈夫そうには見えなかった。
ん? この匂い……。もしかして。
「とにかく、端に移動しましょうか」
通勤時間帯の駅側は人通りも多い。彼女を支えて道の端に移動する。
「座った方が楽かな」
と言っても、ベンチがある訳ではないけど。
「あ、いえ、えっと壁か何かあったら」
言われるがままに壁に寄りかかれるようにしながらも、壁に寄りかかるくらいなら、僕が支えるのにと思ってしまう。
この人だ。絶対に離しちゃダメだ。
目が彼女に釘付けだ。
最初に見た時より明らかに血の気が引いている彼女は、そのままズルズルとしゃがみ込んでしまう。倒れ込んだりしないように、そっと支えながら一緒にしゃがみ込む。
顔色悪いな。貧血か?
助けなきゃ。僕の大切な人。
まともな思考とおかしな思考が混ぜこぜにやってくる。
貧血か立ちくらみか。いずれにしても早くどこかで休ませないと。それと身体を支えた時に感じた体温が少し気になる。熱があるんじゃないかな?
携帯電話の短縮番号をワンプッシュ。
「真鍋さん、ごめん。さっきのコンビニの辺りにいるから戻って来て」
サッと一言いって電話を切る。
彼女は聴こえていないみたいで、壁にもたれてしゃがみ込みながら、苦しそうな表情で呼吸を整えていた。
「大丈夫……じゃなさそうですよね」
どうすれば楽になる?
「いえ、ただの貧血なんで、じき落ち着きます」
ようやく薄く目を開けた彼女がそう教えてくれる。
じき落ち着くって。そんな感じにはとても見えない。
「……でも、熱ありそうですよ?」
気がついたらおでこに手を当てていた。
しっとりとした肌触り。と言うか、冷や汗? 思った通り、少し熱い。
この先に大学病院があったっけ。ものすごく疲れてそうだし、多分この人はお医者さんだ。父さんと同じ匂いがする。
看護師ではなく医師だと思ったのはただの勘。だけど、だてに総合病院を経営する医者の子どもとして育っていない。どうしてかは分からないけど何となく見分けらる。
「えーっと、夜勤明けかな? 家ですよね。送ります」
思わず口にしてから慌てて言い訳をする。
「あ、不審者じゃないですよ。出勤途中の善良な市民です」
自分で言いながら、善良な市民ってなんだよと突っ込みたくなる。しかも出勤途中と言ってしまったけど、今向かっているのは取引先で厳密には出勤ではなく客先訪問だ。
だけど、僕の言葉に言葉に彼女は笑ってくれた。
満面の笑みではないけど、苦しげな表情が和らいだのでホッとする。
ゆっくりと青白い顔が僕の方に向けられた。少し潤んだような黒い瞳が僕を見る。
彼女が僕を見る。
この人だ。やっぱりこの人だ。
この人だこの人だこの人だ!
またしても盛大な福音と喜びの声が脳内に鳴り響く。
落ち着け自分!
「良かった。視界、戻りました?」
この出会いに心からの感謝を!
そう思いながら、彼女に、少しでも好感度の高そうな笑顔を向ける。すると、お礼を言われた。
「ありがとうございました」
そのまま、彼女は両膝に手をつき立ち上がる。
まだ休んでいた方がいいんじゃ……と思っていると、案の定、彼女は苦しげに眉根を寄せた。
守らなきゃ。
僕の運命の人。
「送ります」
気がついたら言っていた。
普通に考えて、かなり引く。初対面の相手に何言ってんだ、自分。いやでも言い方はともかくとして、既に車は呼んでしまった。
だって、こんな状態の人を一人では返せない。
「いえ、すぐそこ駅なんで」
当然のように、彼女は自力で帰ろうとする。
ダメだ。離さない。
いや、そうじゃなくて、このまま帰したら危ないでしょ。本人自覚薄いけど、相当体調悪そうだし。
左手……指輪ははめていない。さりげなくチェック。結婚はしていない、よね?
「でも、ホント、顔色悪いですよ。車呼んだんで」
そんな会話の間にも彼女は何度も辛そうな表情を見せる。これは、どこか痛いのか?
「ごめんなさい」
嫌だ。断らないで!
そう思う気持ちが表情に出ていたらしい。
「ああ、いえ、そうじゃなくて」
彼女が慌てたように言った。
「え?」
じゃあどう言う意味?
「これ」
と、彼女は僕のスーツの胸元を指す。
「ごめんなさい。ぶつかった時に私が付けたんだと思います」
見ると彼女の口紅の痕らしき赤いシミが着いていた。
なにこれ、ご褒美か!?
「ああ、そんなのお互い様なので気にすることないですよ」
これをダシにもう少し話せるか?
連絡先を知りたい。もっと話したい。
脳内で身悶えしていると、呼び戻した車が歩道に横付けされた。
「社長。お待たせしました」
「ごめんね。呼び付けて」
「いえ。いつでもお呼びください」
取引先の近所まで車で来て、すぐそこで下ろしてもらった。僕の用事が終わるまで、車は近所のパーキングで待機予定。時間的にパーキングに着く前に僕からの電話を受けて、ぐるっと回って戻ってきてくれたのだと思う。
ありがたい。クイックレスポンスに感謝だ。
「車、乗ってください。私はこの後用事があって送っていけないのだけど彼に家まで送ってもらうから。プロの運転手さんだし安心して任せて大丈夫」
大概怪しい人物だろうと思いつつ、運転手の真鍋さんに送ってもらう提案をする。
「いえ、そんなとんでもない」
彼女は断ろうとするが、真鍋さんはサッと車を降りて来て後部座席のドアを開けてくれた。
「真鍋さん、この方を家まで送ってあげて」
「かしこまりました」
ビシッとスーツ着て手袋はめてる本職の運転手さん。ほら、怪しくないよ。
「どうぞ、お乗りください」
「あ、この方、体調が良くないから気を付けてあげて」
「かしこまりました」
「え、だから……」
電車で帰ると言おうとする彼女をどんどん追い詰めていく。
「あ、そうか」
と彼女の戸惑いに気づかないふりをして名刺を一枚取り出し、
「牧村商事の牧村と申します」
と差し出した。
半ば反射的に受け取ってくれが彼女は、マジマジと僕の名刺を見る。
何を考えているのか読み取ろうとしていると彼女の表情がまた苦痛に歪む。
「大丈夫ですか?」
心配で心配でたまらない。大丈夫だろうか? このまま病院に連れて行った方が良いのだろうか?
いや、ダメだ。冷静になれ自分。不審者になるな疑われるな。
第一印象、大事だろ?
多分これは過労だ。父さんもそういう時、あっただろ? 救急外来のあるような大きな病院の若手の医師は大変だって、僕はよく知ってるだろ。
「とにかく、座って」
目の前の車の後部座席に座らせる。
「過労……かな? 無理しないでね」
そうだ。こんなものだけど、ないよりマシかも。
と鞄を漁る。取引先からもらった栄養ドリンク。一本飲んだけど味も悪くなかった。もう一本は疲れた時に試そうと思って持ち歩いていた。
「良かったら飲んで。試供品で申し訳ないけど、胃に負担が少なくて空腹でも飲めて、身体に必要なものが色々詰まってるらしいですよ」
彼女はあまり考えずに受け取ってくれた。良かった。もらいものだけど、取引先渾身の一品、悪くはないと思う。
「じゃあ、真鍋さん、後はよろしくね」
真鍋さんがドアを閉めたのを見てから、
「この方、未来の私の奥さんだと思って、大切にして」
「え? 社長の、ですか!?」
初対面だしまだろくに話していないけど、出会えたのだからもう離せない。
「うん。必ず家まで送り届けてね。で、住所、控えておいて」
「……はい。かしこまりました」
色々と疑問に思っただろうに。それでも真鍋さんはプロらしく何も言わず、静かに一礼した。
「じゃあ、くれぐれもよろしくお願いします」
車の中の彼女に目をやると、こめかみに手を当てグリグリと動かしていた。頭痛がひどいのかも知れない。
後ろ髪を引かれながら、僕は取引先への移動を開始した。コンビニに寄る時間はなくなったが別に良い。早めに出て来ていたので、約束の時間には十分間に合う。
今日の予定は……。歩きながら思い起こして愕然とする。今日は夕方まで空き時間がゼロだった。ずらせそうな予定もない。
十七時、最後の会議が終わったらすぐ帰ろう。それまでに何をするか何をしなきゃいけないかをしっかりと計画しておかなくては。
僕は運命の出会いを果たした。
取引先に行くのに少し手前で車を降りて一人で外を歩いていた。早く着いたのでコンビニに寄ろうと思って。
曲がり角、出合頭に腕の中に飛び込んできたのはスレンダーな長身にサラサラの長い髪の女性だった。ドンとぶつかり、
「あ」
と彼女が声を上げるのと、
「すみませんっ」
と僕が慌てて謝罪を口にするのはほぼ同時だった。
彼女はパッと顔を上げて僕を見た。
その黒い瞳が揺れる長い髪が抜けるように白い肌が、全てが目に飛び込んで来た。彼女以外の世界が急速に遠のいていく。ガシッと胸を鷲掴みにされたような感覚に襲われ、ドクンドクンと怖いくらいに胸が高鳴っていた。
なんだこれ!?
彼女から目が離せない。
この人だこの人だこの人だ。
脳内に出会いを祝福する鐘の音が聞こえる。
彼女の周りがキラキラと光り輝いていた。
ちょっと待って。本当に!?
本当に、彼女が僕の運命の人!?
そう思って焦っていると、彼女は苦痛に耐えるような表情で眉を顰め、そのままぐらりと身体がかしいだ。
「え、大丈夫ですか!?」
驚いて両腕で彼女を抱き止める。ぶつかった時の衝撃? いや、そんな勢いでぶつかってはいない。
「すみません。大丈夫です」
彼女は気丈にもそう言うが、全く大丈夫そうには見えなかった。
ん? この匂い……。もしかして。
「とにかく、端に移動しましょうか」
通勤時間帯の駅側は人通りも多い。彼女を支えて道の端に移動する。
「座った方が楽かな」
と言っても、ベンチがある訳ではないけど。
「あ、いえ、えっと壁か何かあったら」
言われるがままに壁に寄りかかれるようにしながらも、壁に寄りかかるくらいなら、僕が支えるのにと思ってしまう。
この人だ。絶対に離しちゃダメだ。
目が彼女に釘付けだ。
最初に見た時より明らかに血の気が引いている彼女は、そのままズルズルとしゃがみ込んでしまう。倒れ込んだりしないように、そっと支えながら一緒にしゃがみ込む。
顔色悪いな。貧血か?
助けなきゃ。僕の大切な人。
まともな思考とおかしな思考が混ぜこぜにやってくる。
貧血か立ちくらみか。いずれにしても早くどこかで休ませないと。それと身体を支えた時に感じた体温が少し気になる。熱があるんじゃないかな?
携帯電話の短縮番号をワンプッシュ。
「真鍋さん、ごめん。さっきのコンビニの辺りにいるから戻って来て」
サッと一言いって電話を切る。
彼女は聴こえていないみたいで、壁にもたれてしゃがみ込みながら、苦しそうな表情で呼吸を整えていた。
「大丈夫……じゃなさそうですよね」
どうすれば楽になる?
「いえ、ただの貧血なんで、じき落ち着きます」
ようやく薄く目を開けた彼女がそう教えてくれる。
じき落ち着くって。そんな感じにはとても見えない。
「……でも、熱ありそうですよ?」
気がついたらおでこに手を当てていた。
しっとりとした肌触り。と言うか、冷や汗? 思った通り、少し熱い。
この先に大学病院があったっけ。ものすごく疲れてそうだし、多分この人はお医者さんだ。父さんと同じ匂いがする。
看護師ではなく医師だと思ったのはただの勘。だけど、だてに総合病院を経営する医者の子どもとして育っていない。どうしてかは分からないけど何となく見分けらる。
「えーっと、夜勤明けかな? 家ですよね。送ります」
思わず口にしてから慌てて言い訳をする。
「あ、不審者じゃないですよ。出勤途中の善良な市民です」
自分で言いながら、善良な市民ってなんだよと突っ込みたくなる。しかも出勤途中と言ってしまったけど、今向かっているのは取引先で厳密には出勤ではなく客先訪問だ。
だけど、僕の言葉に言葉に彼女は笑ってくれた。
満面の笑みではないけど、苦しげな表情が和らいだのでホッとする。
ゆっくりと青白い顔が僕の方に向けられた。少し潤んだような黒い瞳が僕を見る。
彼女が僕を見る。
この人だ。やっぱりこの人だ。
この人だこの人だこの人だ!
またしても盛大な福音と喜びの声が脳内に鳴り響く。
落ち着け自分!
「良かった。視界、戻りました?」
この出会いに心からの感謝を!
そう思いながら、彼女に、少しでも好感度の高そうな笑顔を向ける。すると、お礼を言われた。
「ありがとうございました」
そのまま、彼女は両膝に手をつき立ち上がる。
まだ休んでいた方がいいんじゃ……と思っていると、案の定、彼女は苦しげに眉根を寄せた。
守らなきゃ。
僕の運命の人。
「送ります」
気がついたら言っていた。
普通に考えて、かなり引く。初対面の相手に何言ってんだ、自分。いやでも言い方はともかくとして、既に車は呼んでしまった。
だって、こんな状態の人を一人では返せない。
「いえ、すぐそこ駅なんで」
当然のように、彼女は自力で帰ろうとする。
ダメだ。離さない。
いや、そうじゃなくて、このまま帰したら危ないでしょ。本人自覚薄いけど、相当体調悪そうだし。
左手……指輪ははめていない。さりげなくチェック。結婚はしていない、よね?
「でも、ホント、顔色悪いですよ。車呼んだんで」
そんな会話の間にも彼女は何度も辛そうな表情を見せる。これは、どこか痛いのか?
「ごめんなさい」
嫌だ。断らないで!
そう思う気持ちが表情に出ていたらしい。
「ああ、いえ、そうじゃなくて」
彼女が慌てたように言った。
「え?」
じゃあどう言う意味?
「これ」
と、彼女は僕のスーツの胸元を指す。
「ごめんなさい。ぶつかった時に私が付けたんだと思います」
見ると彼女の口紅の痕らしき赤いシミが着いていた。
なにこれ、ご褒美か!?
「ああ、そんなのお互い様なので気にすることないですよ」
これをダシにもう少し話せるか?
連絡先を知りたい。もっと話したい。
脳内で身悶えしていると、呼び戻した車が歩道に横付けされた。
「社長。お待たせしました」
「ごめんね。呼び付けて」
「いえ。いつでもお呼びください」
取引先の近所まで車で来て、すぐそこで下ろしてもらった。僕の用事が終わるまで、車は近所のパーキングで待機予定。時間的にパーキングに着く前に僕からの電話を受けて、ぐるっと回って戻ってきてくれたのだと思う。
ありがたい。クイックレスポンスに感謝だ。
「車、乗ってください。私はこの後用事があって送っていけないのだけど彼に家まで送ってもらうから。プロの運転手さんだし安心して任せて大丈夫」
大概怪しい人物だろうと思いつつ、運転手の真鍋さんに送ってもらう提案をする。
「いえ、そんなとんでもない」
彼女は断ろうとするが、真鍋さんはサッと車を降りて来て後部座席のドアを開けてくれた。
「真鍋さん、この方を家まで送ってあげて」
「かしこまりました」
ビシッとスーツ着て手袋はめてる本職の運転手さん。ほら、怪しくないよ。
「どうぞ、お乗りください」
「あ、この方、体調が良くないから気を付けてあげて」
「かしこまりました」
「え、だから……」
電車で帰ると言おうとする彼女をどんどん追い詰めていく。
「あ、そうか」
と彼女の戸惑いに気づかないふりをして名刺を一枚取り出し、
「牧村商事の牧村と申します」
と差し出した。
半ば反射的に受け取ってくれが彼女は、マジマジと僕の名刺を見る。
何を考えているのか読み取ろうとしていると彼女の表情がまた苦痛に歪む。
「大丈夫ですか?」
心配で心配でたまらない。大丈夫だろうか? このまま病院に連れて行った方が良いのだろうか?
いや、ダメだ。冷静になれ自分。不審者になるな疑われるな。
第一印象、大事だろ?
多分これは過労だ。父さんもそういう時、あっただろ? 救急外来のあるような大きな病院の若手の医師は大変だって、僕はよく知ってるだろ。
「とにかく、座って」
目の前の車の後部座席に座らせる。
「過労……かな? 無理しないでね」
そうだ。こんなものだけど、ないよりマシかも。
と鞄を漁る。取引先からもらった栄養ドリンク。一本飲んだけど味も悪くなかった。もう一本は疲れた時に試そうと思って持ち歩いていた。
「良かったら飲んで。試供品で申し訳ないけど、胃に負担が少なくて空腹でも飲めて、身体に必要なものが色々詰まってるらしいですよ」
彼女はあまり考えずに受け取ってくれた。良かった。もらいものだけど、取引先渾身の一品、悪くはないと思う。
「じゃあ、真鍋さん、後はよろしくね」
真鍋さんがドアを閉めたのを見てから、
「この方、未来の私の奥さんだと思って、大切にして」
「え? 社長の、ですか!?」
初対面だしまだろくに話していないけど、出会えたのだからもう離せない。
「うん。必ず家まで送り届けてね。で、住所、控えておいて」
「……はい。かしこまりました」
色々と疑問に思っただろうに。それでも真鍋さんはプロらしく何も言わず、静かに一礼した。
「じゃあ、くれぐれもよろしくお願いします」
車の中の彼女に目をやると、こめかみに手を当てグリグリと動かしていた。頭痛がひどいのかも知れない。
後ろ髪を引かれながら、僕は取引先への移動を開始した。コンビニに寄る時間はなくなったが別に良い。早めに出て来ていたので、約束の時間には十分間に合う。
今日の予定は……。歩きながら思い起こして愕然とする。今日は夕方まで空き時間がゼロだった。ずらせそうな予定もない。
十七時、最後の会議が終わったらすぐ帰ろう。それまでに何をするか何をしなきゃいけないかをしっかりと計画しておかなくては。
1
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる