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第4話 『本気モード! ロード・トゥ・〝ぜんぶに勝つ〟』
⑤
しおりを挟む肝心の竹内兄は妹と一緒に、男子プレイヤーに絡んでいた。でもそいつは昨日までべたりだった腰ぎんちゃくヤロウ(たしか、中島とか呼ばれてたな)じゃない。
なんか、おかしいな。
「どうしたの、フウキ?」
「……ホマレ、あのバカ双子と今しゃべってるヤツのこと知ってるか?」
「え? あっ、2組の小野くんだ。図書委員で一緒だよ」
「竹内たちはやたらなれなれしくしてるけど、仲いいのか?」
「いや……前に聞いたことある。2組は竹内くんたちが中心になってパリピなクラスだけど、ちょっとついていけないときがあるって」
「そっか……じゃあひとつ、頼みがあるんだけど」
俺はそれまでの考えをひととおり、ホマレに話す。そのなかには、今日この後の狼投票でどうするかのプランもあって、聞いたときにはびっくりしていたけど……最終的に、ホマレはうなずいてくれた。
「わかった……! 行ってくるよ」
「サンキュ、そっちはまかせた!」
ホマレと別れた俺は、キョロキョロと辺りを見回す。そしてお目当ての顔を見つけて、そちらへ進んでいった。
大きな木の影に置かれたベンチ――そこに、あのフランス人形みたいな女子は、ひとりポツンと座っていた。彼女が足音に気づいてとそっと顔を上げたので、俺は頭を掻きながら挨拶を試みる。
「……ちっす」
「あ、う、えっと、」
女子は、口をパクパクさせたが、目を俺に合わせようとしない。うーむ、昨日竹内兄妹に吹き込まれたせいか……。
俺は無害アピールをしようと、陽気に両手を広げて見せる。
「大丈夫、取って食ったりなんてしねーって。竹内は俺のことオオカミ少年だなんだって言ったけど、あの話のオチ、知ってるだろ? 最後にゃ誰にも信じてもらえなくて自分が食われちまう……俺、どっちかってーとそっち側なんだわ」
そして、手で自分の首を絞めるジェスチャーをして、フウキくんとっておきの変顔をお見舞いする。両目が反対方向に向いてだらしなくベロを出した、せっかくのイケメンが台無しのシロモノだ。
でもそのかいあって、怯えてた女子はプッとふきだして、固い表情がほぐれた。
俺も姿勢を正して、真剣な表情になる。
「でも、これだけは信じてくれ。大事な友達が〝追放〟された――その、信じられねーくらいサイッテーな気持ち、俺にもわかる」
「え……!」
「あんたも友達だったんだろ、炉辺ってやつと」
俺が隣に座っても、女子は嫌がらなかった。
きっと、誰かにずっと話したかったんだろう。
一度言葉がこぼれると、あとはもう止まらなかった。
「……アイカちゃん、とっても優しかったの。わたしがうまくしゃべれなくって、他の男子にからかわれても、いつもかばってくれた……なのに……! いなくなっちゃった……! それを、現実のわたしはまったくなんとも思ってない……アイカちゃんのこと、忘れちゃってる……! さっきここに来て、やっと思い出したの……!」
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