夢の中で人狼ゲーム～負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが～

第４話 『本気モード！ ロード・トゥ・〝ぜんぶに勝つ〟』

⑦

　そこで、ガランゴロンとどこからともなくベルの音が鳴る――自由時間の終了だ。

　俺とルリアは立ち上がり、ＧＭ・ジュースの元に向かう。他のプレイヤーたちも。七人がそろったところで、ジュースが弾むような声で言う。


「さてはて、それでは狼投票前の議論といこうか。今回の争点はなんといっても、二人の霊媒師のうちどちらが本物でどちらが偽物かに尽きると思うが……意見のある人は？」


　ところが、誰もうんともすんとも言わない。ジュースが肩をすくめた。


「おやおや、自由時間中に意見の調整は終わっている、ということかな。ならよろしい、諸君らのご希望どおり、いざ――投票の時間だ！」


　その宣言とともに、俺たちのまえに光球が現れる。

　ひとりひとり、追放すべきプレイヤーを思い浮かべながらその白い光に触れた。そしてすごい勢いで天空に飛び立ったそれぞれの光球は、どれが誰のものだかわからなくなった状態で舞い戻り――選ばれた者たちの周囲を、ぐるぐると飛び回る。


「なるほど……いや、実に興味深いね」


　結果は――竹内兄に１票。ホマレに３票。
　そして――この俺、蒲帆フウキくんも３票だ。

　それがなにを意味するかを知りつつ、俺はマヌケ顔でジュースに問う。


「あっれあれー？　えーっと、同票の場合ってどうなるんでしたっけー？」

「今回の追放者は、なしということだね」


　そう、それははっきりルール板に書いてあったこと。このバクストマック・ゲームでは、同票一位が出た場合、その回の追放者はいなくなる。

　でも、この結果を想定してなかったヤツがいた――竹内兄だ。


「小野、てめぇっ……裏切りやがったな?!」

「ヒッ!!」


　カンシャクを起こした竹内兄は、別の男子プレイヤー……小野に掴みかかろうとする。

　そのタイミングを見計らって俺は二人の間に割って入った。


「どけ、蒲帆！」

「おいおい、さすがにスマートじゃねーんじゃん？　これってば人狼ゲームよ、もっと頭使えって」

「頭を使う……？　おまえみたいな自殺スレスレのプレーもそうだってのか！」

「あれっ？　俺に票入れてくれたの竹内きゅんじゃねーの？　おっかしーなー、じゃあ他に誰が入れたんだろぉーなー？　ちな、俺が入れたのは竹・内・きゅん❤　だから小野クン責めるのはオカドちがいって、アンダースタン？」

「このっ、よくも見えすいたウソをぺらぺらと……この、ペテン野郎がっ！」


　よしよし、竹内、いつもみたいに耳をバリバリ掻き出した。
　いい感じにゆで上がってるぞぉ……ここでハイ、ゲラゲラ笑って強火！


「おまえさぁ、自分で言ったこともう忘れたの？　俺は自分が勝つためだったらいくらだってウソをつくオオカミ少年なんだぜ。ははっ、やっぱ頭が竹みたいに割れて中身が出て行ってんだな！」